2019年03月02日(土) |
真のインサイダーは誰だ? |
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欠陥エアバック問題で経営破綻したタカタの社員が、タカタが民事再生法を申請する前に持ち株を売却したことがインサイダー取引にあたるとして証券取引監視委員会は9人の元社員の男女に合計770万円の課徴金の納付を勧告した。この9人は管理職で、経営破綻の事実を会議やメールで知ったという。
株式投資をしていて、自分が株を所有している会社がヤバいと思ったら売却するのが普通の行動である。自分が勤務している会社の株を愛社精神から保有していたとしても何もおかしくはない。個人が購入することも売却することも全く自由であるとオレは思っている。そういう取引をいちいちチェックして「インサイダー取引」だと告発することに何の意味があるのか。せいぜい数万から数十万の金額のことだし、それが日本の株式市場の大きな悪影響を与えているわけでもない。どうして倒産する会社の株を「社員だから」と紙切れになるまで売ってはならないなんて言われるのか、ふざけるなと言いたい。
2007年1月、大手菓子メーカーの不二家が賞味期限切れの牛乳を使用したシュークリームを出荷していたことが発覚して洋菓子の製造販売を一時休止し、不二家の株価が暴落したことがあった。一日休業すれば1億円の売り上げが失われるという。株価はわずか二日間で15%も下落した。ただ、事件発覚後すぐに不二家株は空売り禁止の措置がとられて個人投資家は空売りできなかった。
ところがその不二家株をゴールドマンサックス証券は空売り目的で5%以上大量保有していたのである。11月中に不祥事を知った不二家の幹部はその対策やもみ消しの方法について協議していた。ゴールドマンサックス証券はその情報をなんらかの方法で手に入れたから借り株などの方法で調達して大量保有していたのである。
大量保有の報告と、実際の取引の間にはタイムラグがある。暴落した理由の一つが、ゴールドマンサックスが借りた株を売却したからだと考えれば説明がつく。ゴールドマンサックスは後で値下がりした株を買って返却すればよかったのである。この明らかなインサイダー取引は全く問題にされることもなかった。証券取引監視委員会というのは名ばかりの組織であり、本当に問題にしないといけない悪質なものを告発したことは一度もないのである。おそらくそうした大掛かりなインサイダー取引の背後には政治家や暴力団が関係していて、下手に告発すると「余計なことをした」という理由で自殺に見せかけて殺されたりするのだろう。そうした闇の部分には手出ししないというのがお約束なのだ。
2008年9月、東証一部に上場していた新興不動産のジョイントコーポレーションはマンションが売れず経営不振のために株価が80円まで下がっていた。ところがオリックスが100億円出資するという救済案を発表した直後に株価は連日のストップ高を続け、9月11日には321(+80)円、12日は401(+80)円の買い気配をつけていた。400万株近い買い注文に対して、売り注文は100万株しかなくそのまま高値に張り付いていたのである。ところが前場終了間際に突如300万株の売り注文が出て一気に崩れた。おそらくインサイダー取引の本尊が平均100円程度で集めた株をこのタイミングで一気に放出したのである。入手した株の平均単価が100円で300万株あれば、300×300万株=9億円という利益を得たことになる。
誰がこのインサイダー取引の主役だったのか。情報を入手したオリックスの関係者か、それともメインバンクのみずほコーポレート銀行か、それはオレのような一般人が知ることはできない。
ジョイントの東海林社長は経営不振が報道された2008年夏の時点ですでに民事再生の方向を模索していた。2008年5月の前期決算発表時に出した「2年間で1000億円の棚卸資産の圧縮と有利子負債の削減」という計画なんてとうてい不可能だということは社長の彼には最初からわかっていたのである。彼はジョイントの影の親会社である持ち株会社ジョイント・リビングサービスのオーナーとして莫大な現金・預金を保有しており、彼なりの生き残り策もちゃんと考えていただろう。ところがその時点で民事再生されてしまうとメインバンクのみずほコーポ銀行は貸したゼニが返ってこなくなる。そこでみずほコーポはオリックスの宮内に働きかけ、100億の見せ金(普通株40億+優先株60億)で救済劇を演出させたのではないだろうか。
その結果ジョイントコーポレーションは2009年5月に倒産するまで約9ヶ月延命された。この時間稼ぎの9ヶ月の間にみずほコーポ銀行は債権回収を行い、オリックスは美味しい物件を引き抜いた。そのあたりが真相ではないだろうか。こんなことは調べればいくらでも証拠が出てくるだろう。オレは当時この疑惑についてブログに書いて告発したが、大手マスコミは動かなかったし、証券取引監視委員会はこの異常な株価の動きを見ても全く動かなかった。名ばかりの無意味な組織だからである。本気で取り締まるつもりなど全くないのだ。
オレがジョイントコーポに関する記事を書いた10年前、ジョイント関係者から告発メールをいくつもいただいた。彼らが訴えたかった正義を実現できなかったことをオレは申し訳なく思っている。
今の日本には正義などない。不正が横行し、官僚や政治家の犯罪は立件されずに闇に葬られる。たまに出る議員の不祥事は不倫疑惑とか淫行とかであり、そんなものは政治には何の影響もない。辺野古の新基地建設で投入される2兆5000億円というゼニの中から自民党や公明党に議員にはいくらゼニが渡るのだろうか。その埋め立て工事に関わっていて、しかも菅官房長官の息子が勤務する大成建設から自民党にはいくら献金されるのだろうか。
マスコミも腰抜けである。週刊誌で報道されるのは不倫やわいせつ事件のニュースばかりであり、ゼニにまつわる与党政治家のスキャンダルは報道されない。森友・加計学園の問題ももう忘れられたかのようである。安倍晋三は見事にウソを貫き通し、自民党は挙党一致でごまかし切ったのである。新聞やテレビなどのクソマスコミは政権に対して真っ向から勝負する気は全くなかった。圧力をかけられるのを恐れたからであるし、そんな報道をすれば電通から広告を切られてしまう。電通は政治家とつながっている。そうして正義はいつも踏みにじられる。今の日本はそんな国なのだ。
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