2016年11月21日(月) |
「内部留保」っていったいなんだ? |
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「富士そば」会長の丹道夫氏のインタビュー記事を読んだ。東京では何度も「富士そば」にお世話になってるが、今回の記事には大いに感動した。なんと「富士そば」ではアルバイトにもボーナスや退職金があるというのだ。従業員の待遇をよくすれば、長く働いてくれることになる。それが「内部留保」なんだと、W民とかいうどこかのブラック企業の社長とは全く違った方向を目指してることにオレは驚いたのである。そしてこういう企業がかつての高度成長の日本を支えていたのではなかったかと。
利益最優先でコストカットしか考えてない経営者をどこからか引っ張ってきて、短期的な利益を上げて黒字にして、下請けや従業員や取引先をみんな不幸にするというのが今の時代の企業のトレンドである。資本主義の究極の姿である「強欲資本主義」がそこにある。そうして産まれた貧富の差の拡大が今の世の中を不幸にし、それが国同士の関係で現れたのが今のISやボコハラムといった無法者たちの横行ではないのか。それが人殺しの道具であるということを一顧だにせず、武器を売ることで金儲けに走った連中のせいで多くの無辜の民が亡くなったのではないのか。
能年玲奈が声優を演じていることでテレビ局にそっぽをむかれたことでも話題になった佳作の映画「この世界の片隅に」は戦争の中で過ごす市井の人々の日常の細部を描く。あの戦争のさなかにも人々は毎日の生活をして、不自由さを嘆き、空襲におびえながらも暮らしていた。原爆投下直前まで広島には普通の人々の幸せな日々が存在した。我々の生活の中にある宝物とはそうした日常の中に存在する。
ところが企業のトップが金儲けのことだけを考えている時、その企業の末端で働く一従業員のことや、下請け企業の零細企業の町工場のオヤジがどんな日々を過ごしているかは全く考慮されない。グローバル化とは世界中の労働者の賃金の値下げ競争であり、みんなをどんどん貧しくしていく仕組みである。だからオレはグロ−バル化が無条件によいことであると信じてる連中が嫌いだ。
黒田日銀総裁の断行した大規模な金融緩和で輸出に依存する大企業は大きな利益を得た。しかしその利益はほとんど役員報酬や内部留保や自民党への政治献金に回され、下請け企業や労働者には届かなかった。国を豊かにするということは国の借金を減らすことでも税収を増やすことでもない。一人一人の国民を豊かにすると言うことだ。それが本当の国家にとっての「内部留保」なのである。
アメリカ大統領選挙は、強欲資本主義の行き着く果てが何であるかを示しているような気がする。米国民はアメリカの今の豊かさに疑問を持ったから変化を望んだのであり、その期待をトランプという一見むちゃくちゃなことを言うオッサンに託したのである。では日本の国民はどうなんだろうか。
自民党政治を支えてる財界・大企業というのが国民を搾取することしか考えてないクソみたいな連中であり、だったら野党の民主党はどうかというと日本の利益よりも中国や韓国の国益のために働こうとする売国政党だったりする。他には全く時代遅れになったイデオロギーを金科玉条とするサヨク政党しかないという無残な状況下では「棄権」というのがもっとも正当な意思表示なのだ。カスの中でよりましなカスを選ぶよりは、どのカスにも入れないということを主張している外山恒一氏の考え方にオレは共感する部分もある。
このまま日本はどうなっていくのか。沈没しそうな財政状況の中でリニア新幹線を作ろうとし、次の大規模災害が起きれば国家が非居住地域になるかも知れないのに原発をやめられない大戦末期の大本営の様な政財界の馬鹿集団が老害を発揮している。
50代半ばのオレは、もしかしたら生きてる間に日本という国家の崩壊を目の当たりにすることができるのではないだろうかと少し悪い想像をしてしまう。今、東日本大震災と同じ規模の津波が来れば、福島原発の廃炉工事作業の現場は完全に壊滅し、我々は福島県を日本国から放棄しないといけなくなるだろう。次に大地震が来るのは1000年先とでも思ってるのだろうか。阿蘇山がカルデラ爆発すれば九州全島が火砕流で埋まるのである。チマチマと内部留保のゼニを積み上げるのではなく、みんな労働者にばらまいてやれよ。明日なんかもしかしたらないかも知れないんだぜ。
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