2016年10月31日(月) |
大川小学校津波訴訟判決に思う |
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東日本大震災で多くの児童・教員の犠牲者を出した石巻市立大川小学校の児童の遺族が起こした損害賠償請求訴訟は、学校側の落ち度を認めて14億円の賠償金を支払うという判決が出た。さて、今回の裁判では生き残ったわずかな人たちから得られた貴重な証言が大事な証拠資料だと思うのだが、石巻市はそれらの聞き取りのメモなどをなぜ廃棄してしまったのだろうか。オレが一番の疑問に思うのはそこなのだ。なぜ捨てたのか・・・それはおそらく教員による不適切な指示、つまり石巻市にとって不利なことがそこに書かれていたからこそ廃棄したのだとオレは憶測してしまうのである。
裏山に逃げることを主張した6年生の児童が居たという。実際に逃げた生徒もいたという。その生徒を引きずり下ろした教員がいたという。本当だろうか。もしもそれが事実ならば、今回の被害は現場を仕切った馬鹿教師が引き起こしたとてつもない人災だったということになるではないか。廃棄されてしまったメモにはそうした衝撃的な内容が含まれていて、それは石巻市にとってはあまりにも不利な内容だからこそ廃棄したのではないのか。オレのような性格のひねくれたオッサンはそんなふうに考えるのだ。
災害の時にどんな行動を取るべきか。教員にはパニックに陥った生徒を適切に誘導し、そして避難させる義務がある。大きな地震が起きれば海岸部では津波を警戒しないといけないということは地震国日本に暮らす人々にとっては常識だ。これまで何度も大きな津波の被害を受けてきた地域の学校に勤務する教員が、そうした危機管理能力を持たなかったということはやはり責められるべきことではないのか。オレはそう思うのである。
もしもオレがその現場にいた小学生の児童ならどうしたか。おそらく自分だけ助かりたいという一心で山に逃げただろう。大津波の映像はスマトラ沖地震などで見ているわけで、教員に阻止されても必死で振り切って逃げただろう。大津波警報の広報車が避難を呼びかけて回っていたという。それがただならぬ事態であることは小学6年生ならわかる。そして現場で教員が意見を対立させていたのならば、それを見て「こいつらアホか」と思うだけである。そんなアホはほっといて自分だけ逃げるか、もしも同じクラスに好きな女子がいれば、その子を引っ張って無理にでも逃げただろう。「キミだけは助けたい」(そのきっかけで想いが通じるかも知れない。)
教員は「裏山派」と「待機派」に別れて争っていたという。多くの教員が犠牲になったということは、おそらく待機派には他の教員に対して影響力のある教員がいたのだろう。判断力の欠けた人間が現場で指示をするということはこのような悲劇につながるのである。これは日本中の教育現場で共有されないといけない問題なのだ。
石巻市は控訴するという。これは裁判に負けた側の当然の行動であるし、また控訴する権利があるわけだからおそらくそうするだろう。メモを廃棄してしまったという石巻市の行動からわかるように、市の側は「明らかな落ち度はあったが、関係者の口封じさえすれば裁判は勝てる」と踏んでいるわけだ。なんとも卑怯な戦略である。しかし、賠償金が税金から支出されることを思えば市の財政にとっては大きな負担である。なんとかそれを阻止したいという意図、そしてこういうふうに国や自治体が訴えられる裁判では控訴審、上告審では行政側を勝たせる裁判官が多いということも考えておいた方がいい。裁判官は上級裁判所になるほど体制寄りになるからである。最高裁なんか実際に権力側の人間ばかりである。次に天下りすることを考えれば住民寄りの判決など出すわけがないのである。
今回の裁判に加わってない遺族たちも、今回の判決が確定ということになれば新たな訴訟を起こす可能性がある。おそらく今頃は賠償金から得られる訴訟手数料目当ての弁護士たちが、訴訟に参加しなかった児童の遺族を回って「裁判を起こしましょう!」と営業活動にいそしんでるのかも知れない。ただ、それは正当な権利である。オレは亡くなった児童の家族は全員訴える権利があると思っている。明らかにこれは人災だと思うからだ。
津波から逃げる場所がどこにもなく、あるいは建物の屋上まで逃げたのにそれよりも高い津波が来てしまったという場合はどうしても助からない。しかし大川小学校の場合は目の前に山があって、そこに逃げることはすぐにできたのだ。そういう安全な避難場所が目の前にあるのにあえてそれを利用しなかったことが教員の落ち度であったことは明らかであるとオレは思うのである。
粛々と避難した結果犠牲者を出さずに済んだ釜石中の場合と、逃げ遅れて多くの児童教員が犠牲になった大川小学校とは対照的である。なぜ釜石中のような防災教育ができなかったのか。教育現場にいる人間はそのことの意味を理解しなければならない。生徒の安全を守るとはどういうことか。それはいじめによって奪われる生徒の命を守ることと共通する課題でもある。
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