江草 乗の言いたい放題
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2016年08月04日(木) 国民投票なんてやめてしまえ!        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan



 民意ってなんだ?国民の多数派の意見が「民意」なのか?もしも国民が真っ二つに割れて、49:51みたいな状況になってしまっても、その時の多数派である51%の方が民意なのか。そんなくだらない、ただ国民の分裂を誘うだけの国民投票なんか止めてしまえよと、イギリスの国民投票を見ていて思うのである。昨年のギリシャの国民投票もそうだ。ギリシャの場合は財政破綻を国民のわがままのせいにするために国民投票が利用された。国民に窮乏生活を体験させてみるという目的でチプラスは結果のわかった国民投票をさせたのだ。

 民意は常に正しいのか。たとえばナチスドイツ政権下では少なくともユダヤ人排斥運動は「民意」の支持を得ていたのだし、多数派のドイツ国民は結果的にユダヤ人が奪われた財産を手にしたのだ。日中戦争が拡大し始めた頃、日本人は中国に攻め込むことを支持していた。「通州事件」で日本人居留民が虐殺されたということもあり、少なくともあの当時の「民意」は、中国と戦争することを肯定していたのである。民意はよく間違いを犯すのだ。間違った民意でも従わないといけないのか。そこで正しい決定を下すのは政治家ではないのか。あの時ハルノートの内容を受け入れ、中国から撤退するという選択を当時の政権が取っていれば国民には暴動が起きただろう。

 なんのために選挙があるのか。決して全員一致などしない民意というものに配慮しつつ、できるだけ多くの人々の希望を叶えられるように工夫してくれる有能な人を「選良」として選ぶためじゃないのか。もしも個々の政策をすべて「国民投票」という形ですべて国民の意志に委ねてしまうならば政治家は不要だ。そして仮にそうして国民の意志に委ねてしまったとして、それが51:49という結果ならば49の側にとって大きな不満を残すことになってしまうのだ。

 しかも国民投票は2択である。イエスかノーか、さまざまな中間的な立場の意見をたった二つに絞らないといけないのだ。それが果たして正しいのか。そんな形で絞り込んだものが本当に民意と言えるのか。

 原発の問題にしてもそうだ。原発反対を叫ぶ人たちの主張は正しいと思う。日本みたいな地震国でこんなに多くの原発が稼働していれば、いずれ想定を超えた大地震で福島原発を超えるような大事故が発生して、日本列島は人が住めない土地になってしまうだろう。数千年の間にそれは確実に起きることである。しかし、それが20年や30年という短い時間の中で起きるかというと、多くの人は「今すぐには起きないだろう」と思っているわけで、「だから今は再稼働させる」という考えも出てくるわけだ。仮に原発を投票に掛けた場合「やめる・やめない」の二つしか国民投票では選べないのである。

 しかし、本当に今我々が取れる方法は2つではない。 

1、即座に全ての原発の運転を停止して、休止中も含めて全て廃炉にする
2、将来にはすべて廃炉にするが、安全性が確認できたものは再稼働を暫定的に認める。
3、将来はすべて廃炉にするが、建設後40年未満のものは40年までは稼働させる。 
4、原発は必要なのでそのまま運転し続ける。しかし新規の建設は行わない。
5、原発を積極的に建設してどんどん増やしていく。


 オレが考えるだけでもこの5つのプランがある。この5種類の選択の中で、2択にしてしまった場合、3を希望している人はいったいどちらに投票すればいいのか。現時点で5を考えてる人はいないだろう。ただもしも3の人がすべて「原発をやめない」の側に投票した場合、政府はその結果を勝手に5に解釈して、「積極的建設が国民の意志だ!」と主張するかも知れないのである。二択しかないということは、投票の作り方次第で本来の意志とは違った方に投票してしまうという多数の国民を発生させることにつながるのである。そんな国民投票なんて百害あって一利無しである。

民主主義というのは多数派の意見に従うということが基本だ。政党別の支持率で言えば今は自民党の支持率が一番高いので結果的に自民党が政権与党となっている。そして共産党や民進党を支持する国民の数が相対的に少ないことも事実である。集団的自衛権をめぐる議論に際して国会前で多くのデモが行われたが、「こんなに大勢集まったからこれが国民の多数派だ!」ということではない。サヨクの側を支持する人たちが全国民の何%いるのかはわからないが、右も左もごちゃまぜの民進党が必ずしもサヨクとは言えない以上、純粋なサヨクは共産党と社民党の支持者に限られるだろう。そうなると全国民の中に占める比率は極めて少ないのである。

オレは原発に関しては即座に全面停止が望ましいと思っている。だったらサヨクかというと、集団的自衛権の問題に関しては微妙なのである。確かに欧州や中東の戦争に自衛隊が動員されるのはどうかと思うし、同盟国だからとアメリカの軍事行動に従わないといけないと言われれば断固として拒否したい。ただ争大好きで人が死ぬことなどなんとも思っていない帝国主義国家が隣にあり、その国がチベットやウイグルで大量虐殺をしてきたことを全く認めていないという現実を考えた時、少なくとも我が身を守るために日本はどうするべきかということを考えてしまうのである。

 南シナ海の広大な地域を「全部オレのものだ!」と勝手に埋め立てて基地を作ってしまうような時代錯誤のキチガイ国家が隣にあるのだ。共産主義といいながら実は習近平皇帝の独裁国家なのだ。北朝鮮と違って中国は強大な軍事力も、世界を破滅に追い込めるだけの核兵器も所有しているのである。だったらそんなキチガイから国土を守るために何らかの手段を取らざるを得ない。それが憲法解釈を変更して集団的自衛権を行使できるようにしたことではないのか。 

国民投票は危険だ。さまざまな選択肢があるのに、たった二つのものを無理矢理選ばせられて、しかもその投票結果に拘束されてしまうのだ。これが極めて危険なことであることに気づいてるだろうか。

 そう考えると、オレは安易に「国民投票」に頼ることに警鐘を鳴らしたくなるのである。そんなことよりも、もっと民主主義を正しく実現できるように今の政治家のレベルを上げていくしかない。ガソリンのプリカを年間200万円買って金券屋に流して蓄財や裏金作りしているおばはんとか、200億円掛けて釣り堀にしか使われない港を無駄に作らせて土建業者から献金を受けている和歌山のクズ議員とかみたいな連中を排除しないといけない。もしも国民投票の案件が「政治献金の全面禁止」ならばオレは両手をあげて賛成に投票したい。おそらくそんな改革を今の国会議員は誰も実現できないからだ。


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