2016年03月31日(木) |
アベノミクスはなぜ失敗したのか? |
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金融緩和は景気回復のためのひとつの手段である。しかし、金融緩和だけで実体経済を回復することはできない。
安倍首相就任後、黒田日銀総裁の行った金融緩和政策で円安、株高は実現した。その結果大手企業の収益は向上したことは事実だ。自動車などの裾野が広い輸出企業の業績が好転することで緩やかな景気回復の波が発生し、それが社会の隅々まで行き渡る・・・ということを安倍首相は考えていたのかも知れない。
安倍首相は「雇用を増やした」ということを強調する。しかしその雇用というのは非正規雇用が中心である。正社員率はむしろ低下した。業績がよくなった企業はその利益を内部留保や役員の報酬に回し、社員に還元することよりも「巨額の政治献金」という形で儲けさせてくれた自民党政権への恩を返した。
この2年ほどの「アベノミクス」によって起きた結果というのは本当に国民を幸福にしたのか。なぜ今保育所が不足してるのか。どうして労働者の総賃金はずっと減少し続けているのか。そうしたことに対してもっと政治家は目を向けないといけないのである。政治献金をくれる大企業の利益を守ることしか考えていないクソ政治家どもはさっさと退場してもらい、真に国民の幸福を考える人こそ首相になるべきだ。オレはそんな夢みたいな実現不可能なことを願うのである。
子どもが減っているのに保育所が足りない理由は明白である。オレは以前にその理由を「かつて家にはお母さんが居た」というテキストを書いて説明したことがある。労働者の賃金が低いから共働きしないといけない。だから保育所が必要になったのである。しかし、住宅ローンや家賃、高額の教育費という負担がなければ別に今の賃金水準でも全く問題はない。もしも公営の安価な賃貸住宅が豊富に供給され、大学までの教育費が完全無償化されていれば少子高齢化という問題そのものが発生しなかったとオレは思っているし、昭和30年代の日本はそうだった。当時の国公立大学の学費なんてほとんどタダみたいなものだったから、努力して国公立大学に入りさえすればあとはバイトをしながらなんとか卒業できたのである。
土地の値段が高騰し、庶民がマイホームを手に入れるために長期の住宅ローンを組まなければならなくなることで誰が得をしたのか。GHQによって行われた農地解放によって都市近郊に土地という資産を持つようになった人たちと銀行である。その結果都市近郊の田畑はどんどん住宅地となった。そうして開発され、狭い敷地にぎっしり建てられた粗悪な建て売り住宅の多くが、今は空き家になってしまい中国人に安く買いたたかれてるのは皮肉なことである。国家100年の計を立てることなど目先の選挙のことしか考えてないクソ政治家どもには無理だし、その結果が悲惨な原発事故であることを我々は忘れてはならない。
アベノミクスによって企業の業績が回復した時、政府はその分をすべて収奪するべきだったのだ。そして国民に還元する必要があった。たとえばそれは大企業の正社員率を増やすことであるとか、非正規雇用者の待遇の劇的な改善とかいう形で企業の負担を増やせばよかったのである。
法人税を減税する必要などない。それよりも「日本には質の高い労働者がいる」「日本は治安がいい」「日本ではものが売れる」という理由で、たとえ法人税が高くても企業がそこで活動することを選ぶような状況を作るべきだったのだ。なぜそれが叶わなかったのか。どうしてそんな政策を日本の政治家は思いつけないのか。
今の政治家の質の低さを思えば、オレは日本の将来に対して暗澹たる思いを抱くばかりである。こいつらの愚かな思考力と、大企業の傀儡でしかない状況を見れば今の日本の抱えた問題に対して何の有効的な政策も打ち出せないことははっきりしている。そしてそんな政治家を飼っている大企業のトップどもの志の低さにもオレはあきれる。おまえらはどうしてその地位にいるんだ。なんで日本という国の未来のために働かないんだ。
来年に予定された消費税の再増税はどうやら延期というか中止されそうである。それによって財政再建の道が遠のくわけだが、そんな小手先の改革では何も変わらないとオレは思っている。どうすれば劇的に景気を回復できるのか。どうすれば世の中を大きく変えることができるのか。オレのアイデアを実現できるような実行力のある政治家も、ゼニを出してくれる企業人も残念ながら日本にはいない。緩やかに、そして着実に日本は滅びてゆく。残念ながらこの流れは食い止められないのである。
「かつて家にはお母さんが居た」
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