2015年10月10日(土) |
北陸新幹線と原発 |
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金沢まで開通した北陸新幹線はいま敦賀まで延伸工事中である。そこから先のルートは未定だが、オバマじゃなかった小浜を通る可能性が高いという。さて、どうして敦賀とか小浜という地方都市がそうして新幹線で結ばれる必要があるのか。オレは自分なりにその意味を考えてみた。
敦賀はかつては日本海の大きな玄関口だった。そこからウラジオストックに行く定期船が出ていて、杉原千畝の命のビザで日本を通過できることになったユダヤ人たちもここに上陸したのである。今はかつての賑わいはなくなったが、代わりに原発がたくさん周辺に作られている。
小浜もやはり原発の街である。敦賀・小浜の2都市に共通するのはそこが原発の存在と切り離せない立地であるということだ。その土地の人間を手なづけて、原発を受け入れ、再稼働を容認するようにするにはどうすればいいのか。新幹線というエサを与えて「協力すればこんなものも作りますよ!」というふうに利益供与すればいいのである。そう考えると敦賀・小浜というところに新幹線を通すことには十分な理由が存在するのだ。
小浜から大阪まではトンネルを掘りまくってまっすぐに通すのだろう。もちろん京都経由というルートも不可能ではない。滋賀県を通らずにまっすぐ山の中を通って亀岡あたりに駅を作るというのも一案だろう。亀岡に駅を作ればそこから山陰本線で観光客を京都に送り込むことができる。京都駅からの表ルートのバイパス的な存在として機能するだろうし、保津川下りにも便利である。そして「新幹線」というご褒美をもらった以上、地元は原発の再稼働を受け入れるしかない。
もしも日本海で大地震が起きて30mの大津波が来れば、若狭湾の原発はすべて壊滅する。それは東日本大震災で明らかになったことである。そしてその事故によって琵琶湖も汚染され、その水を水道水に利用している京阪神はたちまち水不足に陥るのだ。
こういうことを書いたら、「そんな大きな自然災害は来ない」と反論する人がいるのだが、そんなことはない。大きな地震や噴火は今後必ずやってくるのだ。たとえば九州地方である。9万年前に起きた阿蘇カルデラの爆発による火砕流は九州全島を覆い尽くしてその土地の動植物を死滅させた。このような大噴火が起きれば九州に居住する人は誰も助からない。川内原発は火砕流に埋まってしまう。どうやって使用済み核燃料を取り出すのか。そもそもどうやって近づくのか。そのときは人類そのものが生存できないかも知れないのである。
川内原発を再稼働させた政府の判断は大きな間違いだったとオレは思っている。巨大噴火で原発が一瞬にして破壊された時には大量の放射性物質がそのまま空気中に飛び散るだろうし、原発が火山灰に埋まってしまったらそのまま制御できない核分裂反応が暴走して地中でメルトダウンしたり大爆発したりするのだろうか。もしも原発がないのならばそれは日本だけの事故で済む。日本は九州を失うことになるが事前に住民がきちっと避難すればいいだけのことだ。しかし原発を巻き込んだ事故になれば迷惑は日本一国にはとどまらないで世界中に及ぶ。日本は巨大噴火や巨大地震が起きる火山国であることを自覚すべきである。もしもの時に世界を道連れにしてしまうような施設を建設するのは間違っている。日本のせいで地球を危機にさらしてはならないのだ。日本はすみやかに原発をあきらめるべきなのだ。
先日の安保法案の時は国会前にデモ隊が集結したが、オレはあれを国民投票にかけてもよかったと思っている。そこで法案支持がもしも多数ならば、反対運動してるデモの人達が「頑固で迷惑な少数者」ということになる。大阪都構想を住民投票にかけたように、安保法案も国民投票にしたら誰も恨みっこなしだったんじゃないかとオレは思うのだ。
北陸新幹線という利権と原発という利権が見事に結びついた政治の世界、まあとりあえず敦賀から小浜までは伸びるだろう。そうして北陸新幹線は原発を廃止しない口実としても使われるのである。
日本は地震国であり火山国である。九州全島を巻き込むような大噴火は数万年に一度起きていて、次がいつ発生してもおかしくない。もちろん住民の被害は防がないといけないが、そもそも半径100キロを埋め尽くすような火砕流の前では我々にできることはなにもない。それだけの噴火が起きれば日本という国家が存続できるかどうかという危機である。人類の存亡がかかっているのである。そんな場所に原発を作ってしまったという大きな間違いをなぜ認めないのか。日本列島に原発が存在することがそもそも間違いなのだ。あの福島原発の事故を通じてさえも何も学べてない日本政府はいつか世界に大きな迷惑をかけることとなるだろう。
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