2014年09月10日(水) |
もはや家を建てる時代ではない |
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高度成長期に政府の推進した持ち家政策は完全に破綻した。もともと持ち家政策というのはサラリーマンの所得を住宅ローンという形で銀行がぶんどる仕組みをサポートするために編み出されたのであり、企業に貸し出すよりもリスクの少ない商品として銀行は積極的に住宅ローンを販売した。しかし、今や「ローンを組んで家を買う」時代ではないのである。家がこんなに余ってるのにどうしてそんなものに大金を払うのか。将来無価値になることがわかってるものをどうして借金までして買うのか。オレはそれが言いたいのだ。
空き家率は年々上昇してるのに、新築住宅は年間に200万戸以上供給されている。このままいけば、2040年頃には空き家率は5割近くになるだろう。大阪市に隣接していて、天王寺まで準急で10分程度で出られるオレの住む街でもかなり空き家は多い。かなり値下げしないと中古住宅に買い手はつかない。そんな悲惨な状況なのである。
バブルの頃に1億円以上の豪邸を買った人たちが、高齢になって今度は便利な駅前のマンションに引っ越したいと考えて家を売ろうとしても、駅から遠い郊外の住宅地の家は暴落してるから買い換え資金には足りないのである。
かつて日本には伝統的な家制度が存在した。都会で暮らす人たちにはたいてい帰るべき実家があった。都会というのは「仮の住まい」であり、そこで働くのは次男や三男で長男はたいてい本家を継いだのである。失業したり離婚してシングルマザーになったりすれば実家に帰ることになり、そこには余ってる部屋があってちゃんと出戻り娘を受け入れてくれたのである。オレの父の実家も和泉市の山奥にある。時代錯誤な純日本建築の立派な家である。建て替えなくてもこのまま300年くらいは大丈夫だろう。しかし、その地域は高齢化が進んでもう限界集落に近づいている。子どもがいないのだ。子どもたちが巣立って老人だけが住む家が残され、その老人たちが死んだらあとは空き家となるだけである。都市に人口が集中する一方で、地方はこうしてどんどん過疎化が進行し、ゴーストタウンとなっていくのである。せっかく高速道路が通って便利になってるのに、少しもその恩恵を受けていないのだ。
少子高齢化で日本の人口はこれからもどんどん減っていく。人口が減るのに大学の定員を増やした結果どうなったか。誰でも入れるFランク大学を大量に生み出し、そこは実質ニート養成所になってしまった。またその高額な学費を利子付きの奨学金で払わせたために多くの借金奴隷の若者を生み出した。Fランク大学がパチンコ屋同様に貧民からの搾取の装置となってる実態を見ても、文部科学省は「大学削減」という方向性を打ち出せないのだろうか。
安倍首相は海外から低賃金の単純労働者を呼び寄せて、今の人手不足と少子高齢化を同時に解消しようとしている。オレがこの日記でたびたび書いてるような高邁な理想もなく、ただ単に企業の都合のために低賃金の移民労働力を導入すればどうなるのか。帰国せずにそのままとどまった移民たちは今度は社会福祉のお世話になる。生活保護を受けるかも知れない。払ってくれる税金よりも受け取る公共サービスの方がはるかに多いのである。
こんなに空き家があるのに、なぜ家賃を払って住むのか。いずれ所有者不明の物件を不法占拠する人たちが出現し、その中には怪しい外国人も混じるだろう。他人の家であっても公然と占拠して20年間住み続ければ取得時効が成立するのでいつかは自分の家になる。無住になって放棄されてる物件などそれこそいくらでもある。大阪市内でも、放置されて庭が荒れ放題の豪邸がたくさん存在する。どうすればその空き家を安く手に入れられるのだろうかとオレはその横を通り過ぎるたびに思うのだ。
もはやわざわざ家を建てる時代ではない。家なんかいくらでも余ってる。それなのに都心にはまだまだ新築マンションがどんどん建てられてる。作りすぎたものはいずれ売れなくなる。オレはそれをじっと横目で見ているのである。誰がこれを買うのだろうかと。
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