2014年09月02日(火) |
「暴れん坊少納言」は面白い! |
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ブックオフで何気なく本を探していて、オレは「暴れん坊少納言」というコミックを見つけた。ちょっと立ち読みしてみると、なかなか面白い。古典を教える教員として、ぜひとも手に入れたいと思ってオレはその場にあった1〜5巻を迷わず購入したのである。なんと一冊108円だったのだ。
清少納言はツンデレで竹を割ったような性格の女の子である。和泉式部は色っぽいお姉さんで、中宮定子は面白いことが大好きという姫君だ。そこに傲慢不遜な性格の彰子、その教育係の紫式部が出てきて、定子に飼われている犬の翁丸も出てきて、宮中で大暴れしてもうハチャメチャな内容なのである。一条天皇は、なんだかよくわからないいつもポーッとしてるお兄ちゃんなのである。
作品中のさまざまな場面は、どれも「枕草子」に関係する描写がある。つまり、「枕草子」を知ってるからこそ楽しめる内容が盛りだくさんなのだが、もちろん知らなくてもそれなりに楽しめるように作られている。娯楽作品としても十分によくできた漫画である。いやはやこんな面白い本があったとは・・・・と驚いているのである。
古典を好きになるにはどうすればいいのか。そのためには古典の面白さに気がつけばいい。しかし、多くの受験生は古典が苦手で嫌いである。古典の時間は気を失ってる者も多い。その理由にはやはり「授業がつまらない」ということがよくあげられる。確かに文法中心の解釈をする授業は退屈きわまりないだろう。
そこに描かれているのは生身の人間であり、恋愛もすれば愛憎の感情も持つ。嫉妬もすればいじめもある。そういう現代社会にも通じる人間描写こそが文学の面白さであり、それを理解するためにはどんな形で接してもいいとオレは思うのだ。そういう意味でこの漫画「暴れん坊少納言」は、ぜひとも中学校の図書館に入れてもらいたい作品だと思うのである。「はだしのゲン」を排除しようとする右翼思想の持ち主の方々も、古典文学をテーマにした漫画を排除することはないだろう。
この作品の中にはさまざまな和歌が引用されている。もちろんそのままではみんな意味がわからないわけで、丁寧に口語訳されている。オレがこの作品を支持したいのはその部分である。和歌を理解しないと平安時代のことを理解することはできない。だからあえて和歌をきちんと使っているのである。「こんな場面にはこんな和歌がいい」という形で当意即妙なやりとりが展開されるのだが、実際にあの時代の男女はそうして和歌をやりとりしたのである。今の若者がメールで愛を語り、LINEで恋人とつながってるように、平安時代の男女は和歌で恋心を伝え、三十一文字に命をかけた。だからこそその珠玉のような恋人たちのメッセージは、今に伝わる恋の和歌として残っているのである。
もう高校3年とか浪人という受験生にとってはこんな本を読む余裕はないだろう。だからできれば中学生、高校1年生くらいのうちに読むことをオレは勧めたい。そしてできれば「枕草子」の方も読んでもらいたいのである。
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