2014年08月08日(金) |
ロシア経済制裁で誰が得をするのか? |
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ウクライナがロシアに占領されようとそんなことはどうでもいい。おそらく多くのアメリカ人はそのように考えているだろう。EU諸国だって同様である。もともとウクライナなんてソ連の一部だったわけで、今起きている内戦もそういう意味では身内のケンカに過ぎないという見方をしている者が多いのじゃないか。
それでもアメリカやEU諸国がロシアを非難するのは、ただ単に「武力で他国を侵略するのはよくない」という建前をアピールしたいからである。実際はさまざまな利害が絡むわけだが、表面上は「和が国は平和を望んでいる」と国民の前に表明したいだけだ。「オレは戦争が大好きだ」なんて、政治家は思っていても決して口にはしない。しかし高価な武器を輸入し、軍備を増強して戦争への準備は余念なく進めている。政治とはそういうものである。安倍晋三だって戦争したいわけじゃない。彼なりの価値観で自衛隊に戦争体験をさせる方がいいと思ってるのだろう。
さて、ロシアは経済制裁の対抗措置として欧米農産品禁輸を決定した。食糧の多くを輸入に頼るロシアにとって、そんなことをして困るのは自国民だろうと思うのだが、昔やはりロシアが経済危機にあえいでいたときに「明日のパンもないのです」とぶくぶくと肥え太ったおばはんが語っていたことを思い出す。国民に与える情報が操作されている国では、先日のマレーシア航空機撃墜事件でさえも「ウクライナ国軍の仕業」という見解を多くのロシア国民が信じている。真実を伝えようとするメディアは弾圧されることを思えば、ロシアのマスコミが政府に都合良く国民へ情報発信するのは当然のことである。
今回の経済制裁だが、そもそも実効性があるのか。たとえば中国は今回の経済制裁合戦とは無関係である。ロシアがEU諸国からの輸入を差し止めても、それが中国経由の形になれば無制限に輸入できるのである。こんなものにはいくらでも抜け道があるのだ。もしかしたら漁夫の利を得るのは中国かも知れない。
シベリア上空を通過する民間機は高額の通行料を支払っている。もしもロシアがシベリア上空を飛行禁止にすればそのゼニが入ってこないわけで、ロシアにしてみればゼニは入ってくる方がいいに決まってる。ただ、「飛行禁止」というブラフは交渉の道具になる。そういうわけでまだ何らかの駆け引きは行われるだろう。民間機を平気で撃墜できる無神経な連中が相手である。もしも日本に対してプーチンが「シベリア上空を通過する日本の民間機を飛行禁止にするかも・・・」と脅してくれば、安倍晋三は譲歩せざるを得ないだろう。
ロシアのように情報操作がされていてマスコミが機能しない国では、政府が間違った方針を持っていても国民がそれを変えることができない。選挙をすればプーチンという独裁者を国民は圧倒的多数が支持するだろうし、クリミア半島の問題にしてもおそらく我々とは全く違った説明がロシア国民にされているのである。
世界はこのロシアという独裁国家とどう共存していけばいいのだろうか。冷戦構造が崩壊してアメリカの一人勝ちになるかと思いきや、アメリカの経済が弱くなってしまって軍事費にゼニを回せなくなったために中国・ロシアという二大軍事国家の台頭を招いてしまった。そしてアメリカは極東地域で優位を維持できなくなったので日本の自衛隊の戦力をあてにするようになり、安倍晋三に「集団的自衛権」という概念を持ち出させたのである。これは憲法解釈の問題などではなく、すべては大きな枠組みの中で動いているのだ。そのことを忘れてはならないのである。
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