2013年12月19日(木) |
「日本維新の会」終了のお知らせ |
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大阪府議会は12月16日、泉北高速鉄道などを運営する第三セクター「大阪府都市開発(OTK)」の株式を米投資ファンド・ローンスターに売却する議案を反対53、賛成51で否決した。「維新の会」が過半数を握っていたはずの府議会で、「維新の会」の提案が否決されたのである。維新の府議会議員の中から4人が造反して反対に回ったためにこの議案は否決され、維新の会は4名のこの造反議員を除名処分とした。
なぜ外資のローンスターは「大阪府都市開発(OTK)」を買おうとしたのか。利益剰余金が259億円近くある優良企業で、しかも毎年黒字を生み出しているからである。年間の黒字額が約18億あるので、投資金額の781億円に対する利回りは2.3%だ。しかし、利益剰余金を引いた差額から見れば年間の利回りは3.4%に跳ね上がる。ローンスターにとってかなりおいしい投資である。
しかもローンスターは高値で転売するために買うのであり、もしも営業努力を放棄して人員削減、間引き運転などで「利益重視」路線で来られたらどうなるのか。合理的な経営というのはそういうものである。住民が困り果て、そのときにあわてて「買い戻す」と言っても今度は1000億円くらいの金額を提示されるだけである。781億円で買った物を5年後に1000億円で売るというようなあこぎなビジネスを外資がやろうとしてるのに、党議拘束とかいうものにしばられてあえて間違った判断に賛成させられたのが維新所属の議員であり、まともな常識人の思考をして反対票を投じたのが、共産党をはじめとする府議会の野党議員と、今回維新を除名された4人である。それにしても維新のこのやり方は情けないのである。
「(まちがった決定であっても、住民に不利益でも)党の決定だから従え!」
組織の統制がとれなくなって、「除名」などの言葉で脅してメンバーを縛り付けなければいけなくなったとき、もうその組織は死に体である。今の維新の会の状況がまさにそのありさまなのだ。党の方針に対して反対するメンバーがいれば、その反対意見に耳を傾け、そしてそちらに理があれば方針を変えることもトップには求められる。それが「民主的な」組織である。恐怖や恫喝で支配するのではなくて、個々のメンバーの意見を取り入れることで組織はよりよく変わっていけるのである。
所属議員たちは沈みかけた船からの脱出をはかろうとする。東国原氏が国会議員を辞任して離党することを北野たけし氏は8月の段階で予言していた。大地震が起きるときにネズミが避難したりすることにたとえて、「あいつは嗅覚がきくから」と揶揄していたのだが、その予言通りになったのである。今回造反した4人にとって、維新を抜けるための大義名分としては格好の材料だったわけだ。「たとえ党から除名されても地元民の利益優先」という行動を取った議員は次の選挙ではきっと当選できるだろう。地方議員にとって大事なのは地元有権者の支持であり、自分がどの政党にいるかなんて二の次である。当選さえできればどの党だっていいという議員もいるはずだ。だから政治家は離合集散するのである。
ローンスターは手に入れた大阪府都市開発を永久に保有するつもりではないのは明らかだ。投資ファンドとして買った値段よりも高く転売することしか考えてない。それを買うのは誰か。結局誰かが負担しないといけないのである。事業を切り売りしてすぐに利益を出そうとするかも知れない。極端な話、その駅や線路の土地を更地にして売り飛ばしてもいいわけだし、その簿価は781億どころではないだろう。そのマネーゲームの手伝いなんかする必要はないのである。
国民が特定の政党を支持するのは、その政策や主張に共感できるからである。政策や主張、そして実際の行動が?となった時、それが明らかに住民の不利益をもたらすものだとわかったとき、政党は支持を失う。民主党がなぜ壊滅したか。それは原発事故以降の迷走ぶりや、何を考えてるのかわからない売国奴の鳩山や、消費税増税のために財務官僚に丸め込まれた野田とそろいもそろって凡庸な馬鹿がトップにいたからである。こんな馬鹿どもに政治を続けさせると日本は終わってしまうという危機感を抱いたからだ。今回のOTK売却問題で「維新の会」が同様の不信感を堺市民に与えたことは紛れもない事実である。
「維新の会」の賞味期限は終わった。もしもチャンスがあるとしたら石原ではなくて小沢や渡辺喜美、そして民主党の一部などと大連合を組んで昨年暮れの選挙で一気に政権奪取を狙うべきだったのだ。「維新の会」が中途半端な議席に終わったことと自民党がそつなく景気回復への流れを作り出したことで、もはや政権奪取のチャンスは消滅したのである。
松井知事や橋下市長の頭の中には大阪をどのようにしたいのかというイメージがあるのだろう。問題はそれが府民や市民の望む姿と乖離しつつあるということである。その時に今回のように「府全体の利益」(本当は利益なんかじゃないけど)というものを振りかざしても野党各党は応じてくれなかった。モノレールの延伸を望む東大阪市長が「5年遅れる」と語ったようだが、高運賃に苦しむ泉北ニュータウン住民への思いやりの気持ちは全くなく、ただ自分の市のことしか考えていない発言だった。モノレールが通れば地価が上昇して固定資産税が増えるとか、そんなくだらないことしか考えてないんだろう。
次の大阪府知事選挙、大阪市長選挙で維新は必ず負ける。大阪都になることが何のメリットなのかきちっと示せていないだけではなく、行政のスリム化というただゼニだけの問題が結局は府民や市民の具体的な利益にはつながっていないこともまた我々は理解した。そして期待した生活保護行政や同和行政への切り込みは全く進んでいない。同和利権は温存されたままだし、生活保護の不正受給が一気に減ったという話も聞かない。教員の給与がカットされた結果、教師はやる気を失って教育水準はさらに下がった。優秀な人材も集まらなくなった。
教育はすべての根本である。そこがダメならその国はダメになるし、そこがしっかりと守られていれば未来の発展が期待できる。その大事なことを「銭金の問題」としてしか処理できなかった現実主義者がさっさと退場して、大阪府の教育が正常化することをオレは切に願うのである。
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