江草 乗の言いたい放題
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2013年01月17日(木) 阪神大震災から18年〜未来に語り継ぐもの        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 今日で阪神大震災から18年になる。あの激しい揺れの中、ベビーベッドに寝かせられていた長男も大学受験を迎える。揺れがおさまった時に母が血相を変えて、「あんたら何してるの!」とまだ一歳にもならない長男のところにいたことを覚えている。幸い我が家にはそれほど大きな被害もなく、棚の上のものが落下したくらいだったが、その揺れの中で神戸では多くの家が瞬時に崩壊し、家の下敷きになって多くの犠牲者が出ていた。

住宅の耐震基準はあの震災をきっかけに大きく見直された。もし、今同じ規模の地震が起きてもかなり被害は小さくなるだろう。新幹線や高速道路の高架が崩落したことで、耐震補強工事が進められた。我々はあの震災から多くのものを学んだはずである。あれだけの悲劇を目の当たりにしながらもしも何も学んでいないならば、亡くなった人たちに申し訳がないのである。

 毎日新聞では震災を特集した記事が連載されていて、その中で1月10日の記事に、震災で家族全員を亡くしてひとりぼっちになった当時4歳の大野成郎(しげお)さんの記事があった。隣で寝ていた母と兄、階下で寝ていた父という3人の家族を失った彼は、30時間後に救出されたのだった。靴加工の内職をしていた祖母に引き取られたが、一時期生活は乱れ、授業中に漫画を読んだりしていっぱしの不良気取りだったという。そんな彼のことを心配して必死で学校に通って先生と面談し、親代わりにを全うした祖母は彼が中学2年の時に膵臓癌で亡くなった。祖母の気持ちを知った彼はまじめに自分の人生に向き合うようになり工業高校に進学し、サッカー部主将を務め、川崎重工業に就職した。オレはその記事を読んで涙があふれてきたことを覚えている。6434人が犠牲になった阪神大震災の中にはそうした無数の悲劇が存在したのだ。

 今神戸に住んでいる市民の4割は震災後に転入してきたり生まれた人たちだという。今も災害復興公営住宅に住む震災の記憶を持つ人たちの多くは高齢化し、入居者の高齢化率(65歳以上の割合)が昨年11月時点で48.2%と過去最高を更新している。1人暮らしの高齢世帯は10年前に比べて9ポイント増の44.2%を占め、昨年1年間の孤独死は高齢者を中心に61人に上った。民間から借り上げた復興住宅では20年間の契約期限があと2年に迫り、お年寄りたちは転居の不安を抱えているのである。

 最大350万円が被災者に貸し付けられた国の災害援護資金は、約2割にあたる約1万2000人分が未返済だという。これらの資金は小規模商店主らが当面の生活資金にあてたケースが多く、店が再建できないままで今も震災の影響から脱し切れない被災者たちが多いのである。土地区画整理事業によってかつての街並みは完全に破壊され、そこで暮らしていた人たちの生活基盤は崩壊した。JR新長田駅南地区では今も空き店舗が目立ち、神戸市による区画整理(実際はただの地上げ)は完全な失敗となっている。

 成功から学ぶ以上に我々はこうした失敗から多くのものを学ぶ必要があるのだ。東日本大震災にこの阪神大震災の失敗の教訓がどれだけ活かされているのだろうかとオレは思うのである。原発事故のためにいつまで経ってもふるさとに帰れないという新たな悲劇も生まれた。原発の再稼働を叫ぶ人たちはあの震災からいったい何を学んだのだろうか。

 これからも大きな災害は必ずやってくる。地震や津波、台風などの自然災害を逃れることができないのは日本という土地の宿命である。それを理解した上でいかにその国土で暮らすかということを我々は常に意識していないといけないのである。災害に真っ向から立ち向かうのではなく、いかにそれを避けて生きていくかを学ばなければならないのだ。

 防潮堤を過信して逃げ遅れた人たちが居た。すぐに目の前の山に登ればよかったのに逆方向に避難して津波に呑み込まれた子どもたちが居た。もしも今同じ規模の津波に襲われたとしても犠牲者ははるかに少ないだろう。それは少なくとも我々があの大津波から学んだ結果ではないのか。

 今の我々が共有している記憶が、何十年、何百年という歴史の中で忘れられることのないように語り伝えることが今を生きる我々の大きな責務なのである。未来に語り継ぐことこそがもっとも大切なことなのだ。多くの悲劇を乗り越えて生きてきた者たちにとって。未来の日本にとって。


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