2012年04月03日(火) |
生きているミイラ |
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「死体遺棄罪」の構成要件は作為的な場所的移動を必要とし、殺人犯が死体を現場に放置したにとどまる場合には本罪を構成しないという。しかし、犯罪の露見を恐れて死体を移動させたり隠したりした場合には「死体遺棄罪」が成立するのである。ただ、通りすがりに死体を発見してそのまま放置しても「死体遺棄罪」は成立しない。埋葬せずに放置した場合に「死体遺棄罪」に問われるのは親族などの埋葬義務者のみである。同居中の親族が自宅で老衰や病気により死亡した場合にそのまま放置すれば「死体遺棄罪」が成立する。しかし、「まだ生きている」と信じている場合は果たして罪に問えるのだろうか?
読売新聞の記事を引用しよう。
ミイラ遺体に点滴、姉妹ら「生きている」と同居
2日午前10時頃、東京都小金井市の住宅で、住人の安否確認のために立ち入った警視庁小金井署員と同市職員が、ミイラ化した遺体を発見した。
遺体は、生きていれば88歳になる男性とみられるが、死後数年が経過しているという。同居していた長女(61)と次女(58)は同署に対し、「父はまだ生きている」などと話している。同署は3日に司法解剖を行い、詳しい死因を調べる。
同署幹部によると、遺体は2階の和室で、ブルーシートがかけられた状態で発見された。一部が白骨化し、点滴や酸素吸入器が取り付けられていたという。目立った外傷はなかった。
男性は医師で、自宅に併設された診療所で長年、診察を続けてきたが、数年前から姿を見かけなくなり、近隣住民が市に相談。市職員が訪問したところ、長女と次女に拒まれたため、2日、高齢者虐待防止法に基づき、署員と一緒に立ち入ったという。
(2012年4月2日23時18分 読売新聞)
故人が開業医だったということは、受領していたのは厚生年金ではなく国民年金だろう。その場合は年金を詐取しようとしていたとしてもたいした金額ではないだろう。ただ、財産がかなりあった場合、遺族は死亡を届けなかったことで相続税の支払いを免れようとしたのかも知れない。いずれにしても死亡して連絡が取れなくなったときに、亡くなった男性の友人や交流していた人たちは不審に思わなかったのだろうか。オレはそういう疑問を感じるのである。あるいはもうほとんど交流はなかったということなんだろうか。
今回のケースでは近所の方が「あのおじいさんはどうなったのだろう?」と不審に思って通報した結果、発見できたのである。これからも年金の不正受給を目的としたこのような事件はいくらでも起きるだろう。また、仮に不正受給だったとして罰則を与えるのに、それ以外に収入のなかった遺族からはどうやって賠償させるのか。それもまた疑問なのである。
今回の事件の「生きているミイラ」に対して「死体」という認識があったのかどうか。それを明らかにしないとこれを「死体遺棄事件」として立件するのはかなり困難だろう。
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