2011年05月30日(月) |
ナメクジに塩を掛けた思い出 |
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オレは子どもの頃雨漏りのする家に住んでいた。激しい雨になると、天井に水滴ができて、それを受けるためのバケツが部屋に置かれていた。台風で屋根瓦がそっくり吹き飛ばされた時、部屋の中から星空が見えたという。いちおう応急修理はしたが屋根瓦はないままで、瓦の代わりにトタン板を張って暮らしていた。トタン板が熱せられて夏はものすごく暑くなったことを思い出す。
その家にはよくナメクジが出現した。ネズミもいた。みんなが寝静まった夜に天井裏でバタバタと音がして、それはネズミが走り回っている音だった。ゴキブリなんてあまりにもありふれていた。ナメクジが畳を這った所には銀色の跡ができていた。ナメクジが出現するといつも塩を掛けた。するとナメクジは小さくなってしまう。それを母は紙に包んで捨てに行った。一度に大量の塩を掛けるとナメクジが塩に埋もれてしまって面白くないので、ほんのひとつまみパラパラとふりかけ、それにナメクジが反応するとまた少し掛けるというふうにオレは残酷にナメクジをいたぶる子どもだった。今と違って娯楽の無かった当時の子どもにとって、ナメクジに塩を掛けるというのは面白い遊びでしかなかったのだ。
今日、久しぶりにナメクジを見た。そのナメクジは自動ドアのところにしっかりと張り付いていた。自動ドアの無機質なガラスの上を這いながら、台風が近づく雨の中でナメクジは元気よくその身をいっぱいに伸ばしていた。
ナメクジを見たらいつも即座に塩を掛けていたことを思い出したのだが、残念ながら今朝のオレは塩の持ち合わせがなかった。元気に自動ドアのガラスの上を這っているナメクジを見ると、なんだか健気に思えてその勇姿をデジカメで撮りたくなった。世間にはナメクジを見るだけで気分が悪くなる方もいるかも知れない。しかし、こうして間近に見るとなかなかかわいいじゃないか。オレは子どもの頃にこんなかわいい小動物をどうしていつも塩責めにしていたのだろうか。どうしてあんなに残酷だったのだろうか。
梅雨になると母がいろんな花や木を育てているベランダにもナメクジが発生する。園芸家の多くはナメクジを敵視しているようで、母ももちろんその一人である。いつも母はお箸でつまんで駆除しているのだが、どうやらナメクジはビールに引き寄せられるらしい。ビールの飲み残しを小さな容器に入れて置いておくと、そこにナメクジが誘引されるので簡単に捕まえることができる。ビールに落下すれば溺死する。ただし、ナメクジの中には酒に強い個体もいて飲み逃げされることもあるらしい。今度母に教えてやろう。(ナメクジがビールに寄ってくるのはビール酵母と麦芽の香りによるものと言われているが、詳しいことはわかっていない。ビール大国であるドイツでは、この習性を利用してナメクジを駆除するのにビールを使うこともあるという。)
まだ10歳くらいの頃、カブトムシやクワガタを捕るために山に入った時に、木に張り付いた巨大なナメクジを見て怖くなって逃げ出したことがあった。それはヤマナメクジという種類で体長10センチくらいになるということだった。あの巨大なナメクジに一度でいいから塩を掛けてみたかったのである。
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