2011年04月21日(木) |
クルマを運転する権利とは何か? |
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突然意識を失う持病がある場合、車の運転というのは許されるのだろうか。オレはそこに割り切れないものを感じるのである。特に今回のクレーン車が一瞬にして6人の児童の命を奪った事故に関してその思いを強くしたのである。「てんかんの持病のある人にも車を運転する権利がある」ということなら、危険が発生しないようになんらかの対策を講じるべきである。柴田将人容疑者は3年前にも同様の事故を起こしていた。なぜそのときに免許取消にならなかったのだろうか?オレはそれも不思議なのである。そのときは居眠り運転と申告したらしいが、それなら病気を隠していたわけで、虚偽申告で免許を取得した疑いが感じられる。少なくとも子どもをはねて民家に突っ込むような事故を起こしたドライバーは、いかなる理由があっても免許は永久に剥奪すべきだろう。また自分の病気を知っていて、それでなおかつ重大事故を一度でも起こしたのなら、まっとうな感覚の持ち主なら「もう運転はやめよう」と思うはずだ。クレーン車を運転する必要がある職場で、彼の上司は過去の重大事故について知っていたのだろうか。
てんかん患者の運転免許について調べてみると、以前はてんかんの持病のある方は免許をとれなかったのだが。2002年から「過去5年以内に発作を起こしていない」「薬によって発作が起きないように抑制できる」などの条件付きで診断書を提出した場合にのみ取得が認められてるということだった。それならオレも納得がいくのである。
毎日新聞の記事を引用しよう。
クレーン車事故:3年前にも男児はね、民家に突っ込む
栃木県鹿沼市の国道で登校中の市立北押原(きたおしはら)小の児童6人がクレーン車にはねられ死亡した事故で、同県日光市大沢町、運転手、柴田将人容疑者(26)が約3年前にも、鹿沼市内で車を運転中に登校中の小学5年の男児(当時10歳)をはねて重傷を負わせ、民家に突っ込む事故を起こしていたことが捜査関係者への取材で分かった。また、柴田容疑者には発作を伴う持病があり、県警鹿沼署は、病院の診察券や薬などを押収し、日ごろの薬の服用習慣や当日の健康状態も調べている。
捜査幹部によると、柴田容疑者は08年4月9日午前7時半ごろ、同市御成橋町の交差点で歩道を歩いていた男児をはね、民家に突っ込んだ。男児は右足を複雑骨折する大けがだったという。当時の取り調べに「前日は深夜0時過ぎに寝て午前6時半に起きた。事故当時は居眠りをしてしまった」と供述したという。突っ込まれた民家に住む女性(92)は「ドスーンというすごい音がして車がフェンスを吹き飛ばして家に突っ込んできた。外で小学生ぐらいの子供が『痛いよ、痛いよ』と泣きながらうずくまっていた」と話す。再び同様の事故が起きたことに「事故後に謝りに来て素直でいい子に見えたあの子がなぜまた……」と驚いていた。
一方、今回の事故については、柴田容疑者の症状と事故との因果関係は不明なため、血液検査もして、詳しく調べるという。【吉村周平、岩壁峻、松本晃】
深夜にはこういう記事も出ていた。やはり持病を隠していたのか。
クレーン車事故:柴田容疑者、持病隠し免許取得
栃木県鹿沼市で登校中の市立北押原(きたおしはら)小の児童6人がクレーン車にはねられ死亡した事故で、逮捕された運転手の柴田将人容疑者(26)=自動車運転過失致死容疑で19日送検=は、発作を伴う持病があることを隠して運転免許を取得していたことが、捜査関係者への取材でわかった。県警は事故と持病の因果関係について捜査を進めている。
捜査関係者によると、柴田容疑者の持病は薬を適切に服用していないと運転に支障をきたすことがあり、免許取得には一定期間以上発作を起こしていないなどの条件が課されている。しかし、柴田容疑者は免許取得や更新の際に持病の申告をしていなかったという。
また、08年4月にも鹿沼市内で登校中だった小学5年(当時)の男児を車ではねて重傷を負わせていたが、当時の取り調べでも「居眠りをしていた」などと供述し、持病の説明はしていなかったという。県警は20日、勤務先の「小太刀重機」(鹿沼市)にあった柴田容疑者の車から薬など計27点を押収。事故時の健康状態や薬の服用状況を調べている。
小太刀重機によると、柴田容疑者は10年5月入社。3カ月の試用期間を経て、同年8月から正社員になった。年1回実施している健康診断で異常はなく、本人から持病についての申告もなかったという。副社長の女性(66)は「薬を持ち歩いているのを見たことはない。若いので病気があるとは思わなかった。面接の時に(大型特殊とクレーン運転士の)免許を持参したので大丈夫だと思った」と話している。
てんかんの持病のある方が「クルマを運転する権利」を主張することは、事故で誰かが死ぬかも知れないという危険と背中合わせなのである。もちろん日本では毎日多くの交通事故が起きていて、そのほとんどは病気とは無関係に起きているわけで、クルマを運転する権利そのものが常に他者を危険にさらすことにつながるわけだ。オレは毎日クルマを運転しているが、オレのクルマの前に歩行者が飛び出してきてオレがそれを避けられなかった時は殺人者になってしまうかも知れないし、オレが絶対に運転ミスをしないということは言えないのである。
それではこのケースはどうか。これも毎日新聞の記事である。
四日市踏切事故:被告側、無罪主張へ「発作予見は困難」
三重県四日市市で昨年12月、踏切待ちをしていた自転車の男性2人に乗用車で追突、電車にはねられた2人を死亡させたとして、自動車運転過失致死傷罪で起訴された同市羽津中1、歯科医師、池田哲被告(46)の弁護側が無罪を主張する方針であることが19日分かった。被告にはてんかんの持病があるが、発作がいつ起きるかを予見して運転を控えるのは困難という筋書きだ。初公判は20日、津地裁四日市支部で開かれるが、検察側と全面的に対立する構図になる。
池田被告は昨年12月30日午後1時半ごろ、乗用車を運転中に意識を失い、同市羽津町の近鉄名古屋線踏切で自転車3台に追突、3人を死傷させたとされる。津地検四日市支部は今年1月、被告には突然意識を失う発作があり、車の運転を控える注意義務があったなどとして起訴した。
これに対し弁護側は(1)医師の指示通り薬を服用していた(2)医師から車の運転を控えるよう指導されていなかった(3)発作を予見することは不可能−−と主張、「注意義務自体がなく刑事責任は問えない」と全面的に争う姿勢だ。
池田被告の弁護士は「2人が亡くなった重大な事故だが、罪は成立せず無罪だ。どういう条件がそろえばてんかん患者は運転を控えるべきなのか、法廷で問いたい」と話している。【谷口拓未】
これは踏切で待っていた3人の若者が後ろから来たクルマによって踏切内に押し出され、そこに電車が来てはねられたというなんとも痛ましい事故である。しかし、事故を起こした側の弁護士は「てんかんの発作の発生を事前に予測するのは困難である」として無罪を主張している。てんかん発作による交通事故において、裁判所の判断は有罪、無罪と分かれている。以下、ウィキペディアにあった過去の判例を示したい。
1999年10月26日、兵庫県三木市で、てんかん患者の女性が自動車を運転中にてんかん発作を起こし、小学校から下校中の児童3人の列にクルマが突っこんだ。この事故で1人が全身打撲で死亡、2人が重傷を負った。神戸地裁は、心神喪失状態だったという女性側の主張を受け入れ、無罪を言い渡している。
2002年9月27日に、滋賀県栗東市で、てんかん患者の男性が乗用車を運転中にてんかん発作を起こし、対向車線側に逸脱、軽トラックと正面衝突し軽トラックを運転していた男性が全身を強く打って死亡した。大津地裁は、運転中止義務違反の過失がないと指摘し、被告に無罪を言い渡している。
2004年3月7日午後3時40分ごろ、長野県長野市川合新田付近の国道18号で、てんかん患者の男性が自動車を運転中にてんかん発作を起こし、信号待ちのために停車していた乗用車5台に追突、クルマ数台が関係する多重衝突事故に発展した。この事故で1人が全身を強く打って死亡。6人が重軽傷を負った。長野地裁は、事故を起こした被告に対して懲役4年の実刑判決を言い渡している。
2008年3月9日午前に、神奈川県横浜市鶴見区下末吉3丁目付近の県道で、てんかん患者の男性がトラックを運転中にてんかん発作を起こし対向車線に逸脱、そのまま道路右側の歩道に乗り上げ、信号待ちをしていた歩行者2人を次々にはねた。このうち14歳の男子中学生が死亡、27歳の男性も重傷を負った。横浜地裁は、事故を起こした被告に対して禁固2年8か月の実刑を言い渡している。
2010年12月30日午後1時半ごろ、三重県四日市市羽津町の近鉄名古屋線踏切で、てんかん患者の男性が乗用車を運転中に意識を失い自転車3台に追突、踏切内に押し出された男性3人のうち2人が踏切に入ってきた急行列車にはねられて死亡した。
もしも「てんかん患者であってもクルマを運転する権利はある」ということならば、交通事故を起こしたときはきちっと責任を取るべきだ。だからそこで「無罪」主張をするのは間違っているとオレは思うのだ。だから過去の事故で運転者に実刑判決を下した裁判官の判断を支持するものである。もしもてんかんの発作時に起こした事故について責任が問われないのならば、それは他者に対して重大な危険を与えることになる。だから最初から免許がとれないようにルールとして定めるべきである。
運転免許を与えられたということは、それによって起きることに対して自分で責任をとれるということである。それを「病気の自分の運転を禁止しなかった医師が悪い」と開き直って主張するクソ野郎をオレは許せない。てんかんは適切に薬を飲んでいれば発作はほとんど起きないので通常の社会生活が営めるし、交通事故も起こさずに済む。「病気だから責任はない」と主張するクソのせいで、かえって病気に対して偏見を持つ人が生まれてしまうわけである。
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