2011年03月11日(金) |
海賊を裁くのは誰の役目なのか? |
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今、ソマリアは無政府状態である。何の産業もない国で人々が生きていくためには盗むしかない。それで沖合を航行する船舶を襲っては身代金を強奪するわけでそれが彼らにとっては一種の通行税みたいなものなのである。しかし、襲われる国々にとっては迷惑な話で、軍艦が護衛して安全を確保したり、人質を奪い返すために戦闘になったりするのである。海の上で起きた事件を裁くのはどの国の法律が適用されるのか。
商船三井が運航するタンカーの上で起きた海賊事件を日本の国内法で裁くということになり、その海賊4人がこのたび日本に移送されることになったのである。
海賊4人に逮捕状…対処法違反容疑で
アラビア海で商船三井が運航するタンカー(バハマ船籍)が海賊に襲撃された事件で、現在米軍に身柄を拘束されている海賊4人について、海上保安庁が海賊対処法違反容疑で逮捕状を取ったことが10日、捜査関係者への取材でわかった。
2009年施行の同法で海賊を逮捕するのは初めて。アデン湾を西進している海上自衛隊の護衛艦には、取り調べや逮捕に備えて、海上警察権を持つ海上保安官が同乗しており、政府は、身柄引き受けや逮捕状執行のタイミングについて関係国との調整を急いでいる。
(2011年3月11日06時06分 読売新聞)
海賊を生業としていて、それ以外に生活の手段のない彼らにとってはそれが犯罪であるという認識すらないのかも知れない。また日本で裁判を行うとして、その裁判の意味を果たして彼らに理解させることが可能なのか。裁判の時にちゃんとした通訳はつけられるのか。アラビア語なら通訳はできるだろうが、もしも彼らがソマリ語しか話せなかった場合、日本でその通訳ができる人がどれだけいるのか。裁判の時にその人材は確保できるのだろうか。
身柄を拘束されている彼らはどんなものを食べてどんな部屋でどんな生活を送ってるのだろうか。それはソマリアでのふだんの彼らの生活と比較してどうなのだろうか。日本の刑務所生活は諸外国と比較してとても快適だそうである。罰を受けているというよりは快適なホテル住まいのように思えるらしい。だったらそれで罰を与えたことになるのだろうか。
海賊なんか海にたたき込んでしまえばいい。裁判など不要だと強硬論を語る人もいるかも知れない。しかし、ソマリアが無政府状態になってしまったのはそもそも何が原因なのか。アフリカの諸国の問題は全て、植民地を拡大して搾取した先進国の身勝手さの果てに生まれたものであり、欧米の諸国がその問題解決を放棄したために今の惨状があるわけで、海賊被害というのはいわばそのツケを先進国が払わされているようなものなのである。
オレはこの裁判を通じて、今のソマリアがどんな状態なのかということが広く日本人に知られ、崩壊した国家を再建するために日本はどんな支援を行うことができるのか考えるきっかけになればいいと思っている。「処罰ありき」ではなくて、彼ら海賊たちが自分たちの置かれた状況を訴える場としてこの裁判が役立てばいいと思っているのだ。
海賊は航行する人たちの生命を奪いたいわけではない。欲しいのはゼニや持ち物だけである。必要なのは海賊を武力で制圧して皆殺しにすることではなくて、海賊しなくても生活できるように秩序を取り戻すことである。ところが中国にしてもアメリカにしても、圧倒的な軍事力で彼らを制圧することしか考えてないようなのである。そんなことをしても残るのは怨嗟の連環だけである。
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