江草 乗の言いたい放題
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2011年03月06日(日) ゼニをだまし取るなら国からが一番簡単ですわ        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 詐欺師と言われるような連中はどこからゼニを手に入れるのだろうか。もちろんゼニを取られた人はだまし取った相手を訴えるだろうから個人からだまし取るのはなかなかハードルが高い。だったらどこから取ればいいのか。ここにゼニをだまし取られていてもあまり文句を言わないお人好しな組織がある。国である。適当に口実をでっち上げて国にその補助金を請求すれば、なぜかホイホイとゼニがもらえるのである。もしもオレが悪人ならばいかに合法的に国からゼニをだまし取るかということを考えただろう。それは国の制度の盲点をついただけであり、詐欺という犯罪として認定されることもないからだ。

 朝日新聞の記事を引用しよう。

雇用創出事業めぐり不適正経理か NPOに立ち入り検査 2011年3月6日3時3分
 総務省の雇用創出事業をめぐり、交付金の支給決定先で不適正経理の疑いが浮上し、同省が立ち入り検査をしていたことが分かった。同省は近く、外部の弁護士らによる調査チームを立ち上げ、これ以外にも事業37件、計約27億円の交付決定先を調べる異例の対応をとることを決めた。
 立ち入り検査を受けたのは、東京都内の特定非営利活動法人(NPO法人)。交付金の支給が決まったこのNPO法人で不適正な経理が行われている疑いがあるとの情報を得たため、総務省は今月、補助金適正化法にもとづく初の立ち入り検査を実施した。
 この事業は、情報通信技術(ICT)を使って地域の公共サービス向上や雇用創出を図る狙いの「ICTふるさと元気事業」。同省は昨年5月、企業、NPO法人などが提案した事業59件に対し、計約47億円を交付することを決定した。このうち立ち入り検査を受けたNPO法人への交付金は7900万円。同省は今年1月、法人側から事業の実績報告書や経費精算の書類の提出を受け、今月末までに交付金を支払う予定だった。
 同省は立ち入り検査などの結果から、このNPO法人の請求経費は実際より高い疑いがあり、システム開発などでNPO法人が法人役員の経営企業に再委託していることも問題だとみている。
これとは別に、同省は、地方自治体の事業を除く約27億円の交付決定先37件についても、不適正な経理処理がないか調べる方針を決定。弁護士や公認会計士、コンピューターシステム専門家らのチームに調査してもらう。
 同省の立ち入り検査を受けたNPO法人理事は「総務省からは『金額が適正ではないのでは』と言われている。立ち上げたばかりのNPO法人のため、事務員もいないので足りないところはあるが、やっている内容に問題はないと思っている」と話している。
 元会計検査院局長の有川博・日大教授は「交付決定先が提出する経費の領収書などのチェックは、国側の時間も人手も制限されるため、十分に手が回らない可能性がある。今回、全体的に調査するのは、不正防止のシステム作りが拙速だった疑いもある」と指摘している。


 この雇用創出事業というのは要するに失業者や求職者に職業訓練を実施して、その訓練を受けた人にも、その訓練を行った事業所にもゼニが支払われるという仕組みなんだが、そこで八百長を巧妙に行うのである。求職者をどこかでかき集めてきて、そして形だけの職業訓練を実施したら、ゼニがどーんと支給されるのだ。その訓練の中味をチェックする機関もなく、その求職者の実態をチェックすることもないのである。もう不正はやり放題である。

 現在失業して求職中の人たちの大部分は、何のスキルもなくて単純作業しかできない人たちである。その人たちに職業訓練を行って安定したところに就職させるという大義名分はいかにも正しそうである。しかし、働く上でのスキルというのは若いときに各人が自助努力で身につけておくべきものではないのか。それを身につけられないまま中高年になってしまうというのは自己責任であり、その場合はスキルを必要としない単純労働のバイトに就くか、一念発起して専修学校などに通って資格を取ってみるか、そのいずれかである。つまりその求職者本人たちが決めることである。もしも専修学校に入ってしっかりと学び尚したいという者が多いのであれば、その援助をする仕組みが整備されればいいだけのことだ。

 しかし、教育機関でもないうさんくさいNPO法人が職業訓練と称して怪しげな講習を行った形を装ったのを見破れず、そこに公的資金を支給しているのがこの「雇用創出事業」の実態なのである。まともな人間が居て現場でチェックすれば、つまりその事業を視察し、求職者と面談すれば一発でイカサマであることは見破れるだろう。そのチェックをろくに行わずに詐欺師どもにゼニをばらまいたのである。それにしても「時間も人手も制限されるため、十分に手が回らない可能性がある」と領収書もろくにチェックしないという実態ががあったわけで、詐欺師の側からすればだまし放題だったわけだ。

 誰でも入れるようになったFランク大学よりも、さらに能力の低い生徒も多数入学する中で専修学校はよくんばっているとオレは評価している。効果のある雇用創出事業を行いたいならば、ちゃんとした大手の専修学校と提携してやれば済むだけのことだし、まともな学校ほど「手抜き」なんかできないのである。

 NPO法人の実態がヤクザの隠れ蓑だったり、脱税目的の変な組織だったりということもあるらしい。そんなことは書面のチェックではなくて立ち入り調査すれば即座にわかることだ。そんな努力もせずに名前だけの役員を配置して高額な報酬を与え、実際は何にも仕事をしないというのがお上のこれまでのパターンである。ただ、今回のことを詐欺罪として立件するのはなかなかハードルが高そうだ。納税者のオレとしては実に腹立たしいことである。


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