江草 乗の言いたい放題
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2009年09月20日(日) 乗鞍岳・畳平駐車場をクマが襲撃した件について        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 オレは乗鞍岳に3度登っている。そのうちの一度は自転車を山頂まで担ぎ上げている。他の二度は畳平の駐車場までクルマで行き、そこにクルマを置いて徒歩で登っている。今はマイカー規制で畳平にはクルマで入れなくなったが、シャトルバスが運行してるので観光には支障がない。マイカー規制されてる上高地同様に、昔のように簡単にクルマで乗り入れることはできなくなっている。

 畳平までクルマで登った時の印象は「空気が薄いとエンジンの吹き上がりが悪い」ということだった。空気を圧縮するターボチャージャーの逆の効果が発生してしまうからなのだろう。そうして何度も乗鞍に行ったことがあるからこそ、今回のクマ襲撃事件にはショックを受けたのである。もっとも詳しく報道しているアサヒコムの記事を引用しよう。

「クマだ逃げろ」背後から馬乗り 鋭いつめ、死の危険も2009年9月20日5時19分
 馬乗りになり、鋭いつめで何度も殴るツキノワグマ。逃げまどう行楽客らにも次々と襲いかかる。「やめてー」「急いで逃げろ」。登山客らでにぎわう岐阜・乗鞍岳のバスターミナルに19日、クマが突然現れて大暴れし、パニック状態になった。9人が重軽傷。大型連休初日の行楽気分が一気に吹き飛んだ。
 千葉からのバスツアーで訪れていた千葉県市原市の武石将光さん(24)によると、友人と2人で近くの魔王岳に登り、下って駐車場に戻る途中、「クマがいるぞ」という声が聞こえた。
 その直後、駐車場方向から登って来ようとした男性の真後ろにクマが迫っていた。クマは男性に飛びかかり、かみつくなどし、別の男性にも向かっていった。避難した武石さんが再び目をやると、クマは3人目の男性に飛びかかっていたという。
 バスターミナルビル2階の食堂にいた男性従業員(34)は、救急車を手配した後、1階に下りて他の職員と手分けして、外にいた観光客らをビル内に誘導した。
 だが、クマはビル内に入り込み、中にいた人々を次々に襲った。男性従業員も被害者を助けようとしたところをクマに襲われ、右腕などをかまれた。富山県高岡市の高岡市民病院に搬送されて手当てを受け、「クマは興奮しているようだった。体がつぶされるような衝撃だった」と襲われた時の様子を話した。
 ビルに入り込んだクマは、午後5時58分、現場で射殺された。高山市によると、クマの体重は推計90キロだった。
 興奮するクマに対し、高山猟友会の会員らは冷静に行動した。会員らはビルの外側から、金属製の格子状シャッター越しに、店内の鏡に映ったクマをとらえた。通路へ姿を見せた瞬間、3人のハンターが一斉に発射した。
 このクマが畳平駐車場に現れたのは、午後2時20分ごろとみられる。
現場から約200メートル離れた乗鞍白雲荘に避難した行楽客らが山荘職員に語った目撃情報によると、クマは魔王岳の斜面の上の方から、畳平駐車場に現れたという。
 畳平駐車場に出入りするバス会社の従業員によると、現場付近では7月ごろにもクマが目撃された。乗鞍スカイラインの道路わきには今年になって、「クマが出没するので注意してください」という看板も掲げられていたという。
 現場に詳しい高山市の男性(60)は「7月ごろから乗鞍スカイラインでクマの目撃があったと聞いた。人に近づくこともあった。木の実の生育が悪くて人里に出てきているのではないか」と話した。
     ◇
 NPO法人日本ツキノワグマ研究所理事長の米田一彦さんによると、クマに手で1発はたかれただけで頭の骨を折られ、死に至ることもある。
 クマが人を襲う場合の多くは、素早く立ち上がって両手で顔を押さえ、かじろうとする。人の指の長さほどのつめによる多量出血も危険だ。「首や頭を襲われるのが一番恐ろしい。逃げる余地がなければ対応は難しい」と話す。
 1953年以降、一度にけがをした最多例は5人だった。「今回のように狭い空間で人に出合うとクマが興奮し、けが人が増える」と注意を呼びかける。


 オレから何も補足することはない。アサヒコムの記事はクマ出現から射殺に至るまでの一部始終をくわしく解説している。それにしても今回の事故をどのように受け止めればいいのだろうか。凶暴なクマが一方的に人を襲い、危害を加えたという視点では語れないことは明白である。ただ、畳平駐車場には以前から大勢の観光客が出入りしており、クマにとってもそこは「近寄らない方がいい場所」に決まっている。なぜそこにやってきたのか。そして駐車場のクルマが威嚇のためにクラクションを鳴らしても、クマは山に帰らずにレストハウスに突入するという行動をとったのか。

 実は襲撃は突然のことではなく、クマの姿は以前から目撃されていたという。もちろん観光客や登山者の側には「こんなに人が多いところでは襲ってこない」という安心があっただろう。この襲撃が人の少ない登山道で起きていたら襲われた人は助からなかっただろう。それにしてもなんでクマはこんなところまで登ってきたのだろうか。こんなに標高の高い場所では木の実も逆に少なくなるだろうし、他の動物も減ってしまう。そんなことは本能的にわかっているだろうに、その行動は「なぜ?」と思ってしまうのである。また、本来クマが出ないような場所で目撃されてるということに対して、もっと警戒をして欲しかったという気もするのだ。シルバーウィークというかき入れ時の前にはネガティブな情報を出したくないという計算が働いていたのだろうか?そんな理由で危険が伝えられてなかったのだとすればとても残念なことである。何よりも優先されないといけないのは観光客の安全だからだ。

多くの人を傷つけたわけだから射殺されるのは当然なのかも知れない。しかし、オレはこのクマがなぜかかわいそうでならない。このクマにも守るべき家族がいたのかも知れない。冬眠のためのエサを求めていたのかも知れない。ところが思うようにエサが手に入らない。いつも食べていた木の実がない。それで食べ物を求めて畳平駐車場にやってきたのかも知れない。だったら食べ物を与えれば解決するのかというと、そんな単純な問題ではないだろう。そんな発想は人間の傲慢さの表れである。そもそもエサが少なくなったことは人間の活動の結果ではないのか。そして3000m級の高山に登山者が多数出入りしてることの方が問題じゃないのか。

 遭難すれば携帯電話で誰でもすぐに救援が要請できる。お手軽になったのでますます人は簡単に山に登る。しかし、大勢の人がやってくることが果たして正しいことなのか。登山という趣味が大衆化して山が賑わい、観光客が増えてその地元の方々の収入が増えることは無条件によいことなのか。オレはその意味を考えてしまうのである。高速1000円が無料化となることはさらに観光客を増加させるだろう。静かな生活を脅かされる野生動物たちにとっては迷惑な話である。


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