2009年08月31日(月) |
自民党はなぜ敗れたか |
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衆議院選挙が終わった。自民党は大敗した。このことはある程度予想されていたとはいえ、実際にそうなってみるとやはり大きな衝撃である。1996年にそれまでの中選挙区制をやめて小選挙区+比例代表制にしたことが、そもそもの敗北の原因であるということに自民党幹部は気がついてるだろうか。
オレは小選挙区制になったときにびっくりした。なんてひどい仕組みになったのかと。40%の得票があれば7割の議席がとれてしまう。細川内閣が成立して政権与党の座から滑り降りたことがよほどのショックだったのか、自民党は強引に「自分たちの政権が永遠に安泰である仕組み」を導入したのである。どんなに悪くても40%くらいの票はとれるだろうと思っていたわけである。当時のように多くの野党に票が分散する状況下では、自民党は第一党を守れる可能性が高かった。
しかし、共産党も社民党もどんどん衰退していった。自民党の対抗勢力として生き残るのは民主党だけになっていった。ただ、2005年の郵政選挙で自民党は一気に大量の議席を確保して、小選挙区のメリットをフルに活かしたのである。まさかその逆の現象が4年後に起きるとは思ってもみなかっただろう。
サブプライム問題から昨年秋のリーマンショック以降の世界恐慌の中で、自民党は常に大企業の方だけを向いていた。この不況の中で守るべきものは国民の生活ではなくて大企業の利益だったのである。自民党のスポンサーは国民ではなくて献金してくれる大企業だから仕方がない。景気対策として行われた定額給付金も、エコカー減税もエコポイントもすべて企業の業績を建て直すことが目的であり、窮乏した国民生活をどうこうするものではなかった。大企業が利益を守るために非正規雇用をどんどん切り捨てた時、政府はそれに対してなんら逆らわなかった。守るべきものは大企業であって、切り捨てられた名もない人々の生活ではなかったからだ。これは自民党という組織が本質的に大企業との利益共同体であることから起きる必然なのである。
もっとも民主党も幹事長がイオングループ総帥の息子であり、小沢一郎のスポンサーが西松建設であることからわかるように本質的には企業献金なしではやっていけない組織である。だから自民党から民主党への政権委譲は、大企業からの利益供与を受ける対象が変わっただけで政治の本質的な部分の変化ではない。
自民党が企業の方だけを向いていて国民生活が窮乏してる状況に対して何も手をさしのべようとしないことは、麻生太郎がこの選挙戦で「景気対策」しか強調しなかったことからも明らかである。景気を良くして欲しいのは産業界の要請であり、一人一人の国民にとっては景気なんかよりも自分の生活が大切なのである。
景気が良ければ国民生活が向上するのかというとそんなことは全然無くて、2000〜2007年に企業業績はどんどん伸びたが、労働者が受け取るゼニは逆に減少していた。非正規雇用が増加することで総人件費は抑えられたのである。本来、労働者に還元されるべきゼニは企業の内部留保の形でため込まれるか、役員たちへの法外な報酬になったのである。そして景気が悪くなれば、真っ先に切り捨てられたのは弱者である非正規雇用の人たちだったのだ。彼らは人間ではなくて生産現場の部品扱いだったのである。日本を代表する企業トップの意識もその程度であった。経団連会長になった便所野郎などは特にひどかった。偽装請負が発覚したときに謝るどころか、ルールが間違ってるという暴言を吐いたのである。
本来なら良質の公営住宅を安い家賃で大量に供給することで国民の生活を支えなければならなかった政府は、財閥系不動産や銀行と結託し国民を住宅ローンの奴隷にすることに成功した。国民は企業や国家から搾取されるだけの存在だったのだ。人民を企業や官僚の奴隷にすることで日本社会は成立していたのである。
国民が今回の選挙で民主党を選んだことは、そうしたこれまでの社会のありかたに対して「NO!」と表明しただけのことである。民主党も本質的には大企業よりの政党だとオレは思ってるので、いずれ化けの皮が剥がれるかも知れないし、もしかしたら政権についたことで責任意識が芽生えて少しはまともな方向に軌道修正してくれるかも知れない。
自民党政権は完膚無きまでに打ちのめされた。それはまぎれもない事実である。自民党に献金してきた企業はこれからも甘い汁を吸うために献金先を民主党に変えるだろうし、民主党議員の多くが官僚出身であることを思えば、政治の方向性に本質的な差違は発生しないだろう。
自民党はなぜ敗れたのか。それは1996年に自分たちが慢心のあまり導入
した小選挙区制のためである。ボロ勝ちもない代わりに大敗もない中選挙区制を捨てたことが、この結果を招いただけのことである。
「景気対策」と「国民生活」のどちらが大切だったのか。自民党は「景気が良くなれば国民生活も自然に向上する」と説いたが、民主党は「まず生活を建て直すことが先」と訴えた。好景気の中でも決して生活は向上しなかった過去を思えば、麻生太郎の主張が国民の共感を得られなかったのも当然である。もしも一年前、麻生太郎が首相就任時にいきなり解散総選挙に打って出ていればここまでの歴史的敗北はなかっただろう。政権交代はあっても、こんな大差はつかなかったと思うのである。ずるずると開戦を引き延ばしたことが今回の歴史的敗北の最大の原因だったことを自民党の幹部は理解してるのだろうか。
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