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ジャン・バルジャンはパンを1本盗んだ罪で19年も獄につながれた。大阪府立高校の某教師は食パンなどを盗んだ罪で懲戒免職となり、1000万近い年収3年分と退職金約3000万円を失った。読売新聞の記事から引用したい。
給料日に小遣いなくパン万引き、大阪府立高の教諭懲戒免職
大阪府教委は11日、食パンなどをスーパーで万引きしたとして、府立高校の男性教諭(57)を懲戒免職処分にした。
教諭は「月々の小遣いが少なく、やってしまった。(食パンは)学校の冷蔵庫に入れて、翌週に食べるつもりだった」と話しているという。
府教委によると、教諭は4月17日の昼休みに、電車で移動した隣駅近くのスーパーで、食パン、インスタントコーヒー、ピーナツバターなど7点約2000円相当を手提げかばんに入れて盗んだ。
同日は給料日で、午前中に校内で200円でパンを買ったため、所持金はゼロだった。ほかにも6回、おにぎりなどを盗んだことを認めているという。
店側が被害届は出さなかったため、刑事処分はなかった。(2009年5月11日21時48分 読売新聞)
この57歳高校教師の小遣いはいったいいくらだったのだろうか・・・
妻が家計を握ってる場合、夫は月々いくらかの小遣いをもらうことになる。それは約22日分の昼食代込みで月に1万円という場合もあれば、それに何度かの飲み代を含めて3万円という場合もあるだろう。自分が稼いだ給料から逆に小遣いをもらうというのもなんだか不思議な感じがするが、妻が光熱費や住宅ローンなどの家計を管理していて、夫はただの給料運び屋だったのかも知れない。そのような家庭は珍しくない。
万引きした品物が食パンとピーナツバターというのもなんだかもの悲しい。それはおやつというよりは、翌週の昼食用だったのだろう。だったらその日が給料日なんだから、小遣いが出てから買えばよかったのにと思うが、それなら翌週に間に合わない。盗んだ品物が一点ではなくて数点まとめて2000円だったというあたりはどうも常習性を思わせる。おそらく府教委がこの教師に「懲戒免職」という重い処分を科したのは、その万引きが一回こっきりのものではなくてきわめて悪質な常習行為であったからだとオレは想像するのである。
人間は時としてものすごく馬鹿な行動を起こす。校則の厳しい高校ならばパン1個を万引きして退学処分になる高校生もいるだろう。電車内の痴漢行為でクビになる大企業のエリート社員もいるだろう。大麻を吸って京都大学を退学になるヤツもいれば、塾の教え子を殺して同志社大学を退学になるヤツもいる。そういう事例をいくらでも知ってるので、この教師が特におかしな人間であるとも思えない。ただ、行為の軽重が全くわかっていない馬鹿なんだなとは思うのである。
オレは府教委の「懲戒免職」という処分が特に重いとは思わない。少なくとも教師として生徒を指導する立場にある人間が窃盗なんて言語道断である。窃盗だけではなく強制わいせつも詐欺もどれでも言語道断なんだが。自分たちの習っていた教師がある日突然クビにされていなくなって、その理由が万引きで懲戒免職であることを知った生徒たちは、何よりも犯罪が引き合わないものであることを生きた教材を通じて学ぶことになるだろう。それだけでも大きな教育効果なのである。だからこそこの重い処分は必要なのだ。
卒業した教え子と結婚した高校教師が、その教え子が半年後に子供を産んだということから「在学中に子作りした!」ということがバレて停職3ヶ月だかの処分を受けたことがあった。オレはそのニュースを知って「恋愛」という人間の根本的自由に関わる行為まで制限されるのが教師という身分なんだなとその時に理解したのである。なぜ「恋愛」「結婚」という私的行為が処罰の対象にされるのか。そのようなことを取り上げて処分を科すのは憲法違反ではないのか。生徒と教師であっても校門を一歩出れば対等の人間であって、そこで恋愛することは自由じゃないのかと無責任で勝手なことを言うのは、今のオレがもう大阪府の公務員ではなくて、生徒との恋愛なんてありえない(いや、ホモなら別だが)男子校の教師であるからだ。そんな進歩的思想を口にすることが断じて許されないほど閉鎖的なのが学校という世界であり、オレはまぎれもなくその構成員なのである。
日本国民には指紋登録の義務はない。これは犯罪を実行しても指紋以外の証拠を残さなかったら逃げ切れる可能性があるという権利が確保されてるのだとオレは思っている。もしも全国民が生まれてすぐに指紋とDNAを登録され、その居住地が常に国家に監視されているならば犯罪の検挙率はかなり高くなるだろう。そうではないということは、国民には「見つからないように犯罪を犯す」という権利が付与されているのだと裏返しにとらえることができるのかも知れない。ただ犯罪を起こす者はそのリスクももちろん背負うわけである。
2000円を万引きしたセンセイは懲戒免職だが、国家のゼニを何百億円も浪費させて自分の選挙区に意味もないハコモノを作って札束をばらまくセンセイはいつまでも国会にふんぞり返っている。そんな不思議な国、それが日本である。
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