2009年02月11日(水) |
タミフルじゃなくてリレンザです! |
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執筆時に書いた内容がかなり誤解を招く内容であり、批判メールもいただきました。それで関連部分を訂正加筆し、医療関係者各位にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。
インフルエンザになったらゆっくりと治るまで寝ていればいいのに、一日も早く治して仕事や学校に復帰させようとするのが日本なのである。そういうわけで即効性のある薬としてタミフルが大人気で、世界中で一番使われていたのが日本だったのだが、そのタミフルが効かないインフルエンザということで今度はリレンザが大人気なのである。読売新聞のWEBサイトから記事を引用しよう。
今年はタミフルが効かない!リレンザ緊急輸入200万人分
インフルエンザ治療薬「タミフル」が効きにくい耐性ウイルスの流行を受け、グラクソ・スミスクライン社は10日、同治療薬「リレンザ」200万人分を、フランスから日本に緊急輸入すると発表した。
タミフルの代わりにリレンザを使うケースが急増しているのに対応するのが狙い。
同社によると、今月中に40万人分、3月に60万人分、4月に100万人分を輸入する計画。同社は今冬の前には、300万人分を準備していたが、医療機関などからの注文が1月中旬から急に増え、在庫不足を防ぐため、先月22日から出荷量の調整を行っていた。
国内のインフルエンザ治療薬の年間使用量は平均で、600万人分と言われており、今回の大量輸入で治療薬が不足する恐れはないとしている。
国立感染症研究所によると、今冬に検出されたインフルエンザウイルス全体の52%がAソ連型で、その大半が「タミフル」の効きにくい耐性ウイルスという。(2009年2月10日23時03分 読売新聞)
オレの立場としては、タミフルもリレンザもどちらかというと使いたくない。それを使用して「早く治したい」という背景には、早く仕事や学校に復帰しないといけないという強迫観念があり、それが日本社会のゆとりを失わせているからだと思うのである。
医療機関はタミフルがあまり効かなかったということで、今度はリレンザを投薬するわけだが、どうして最初からリレンザではなかったのか。最初から「今年はタミフル効かないぜ」という認識があればその無駄がはぶけたと思うのである。そのあたりオレはゲスの勘ぐりなんだが、「手元にあるタミフルの在庫をとりあえず捌いてしまいたい」ということだったのじゃないかと思うのだ。(もっとも医薬分業の体制になっているので在庫を抱えるのは薬局の側であり、医療機関に在庫一掃の必要はないのだが・・・)何しろこの商売では「効き目がなかったらゼニを払わなくてもいい」なんて慣習はない。そこが他の業界と違うところである。すべての医療行為に100%の効果が求められているわけではなく、治るのかどうかは最終的には患者次第である。たとえば重症の患者が運ばれてきて、それが手当ての甲斐もなく死亡したとしても「死んだから治療費タダ」にはならないように、無駄に終わった医療行為に対してもちゃんと対価を払ってもらえるというのがこの業界の慣例だ。もちろん「死んだからタダ」なんてことむちゃくちゃであり、そんなことを言い出せば終末期医療は成り立たないことは百も承知なんだが、その一方で「もう助からないなあ」と思っても家族はそこで「もうゼニを掛けずに死なせてください」とも言えないわけで、そのあたりの線引きが難しいのである。最近増えているモンスターペイシェントの中にはとてつもないことを言うヤツもいるだろう。そのあたりはオレも十分承知している。タミフルが最初から「効く」とわかっていたとは言えないし、ワクチンもそうである。それは誰の責任でもないのかも知れない。
今回の200万人分のリレンザ輸入で日本中の医療機関は治療薬不足を解消できることになる。春になれば流行も沈静化するだろう。不況脱出のために働かされるサラリーマンたち、受験を乗り切る子どもたちはこのリレンザで救われることになるかも知れない。もうずいぶん前のことだが、ある流行っていない医院で医師が語っていたことがある。
「こうして客が少ないと、今年も早くインフルエンザでも盛大に流行ってくれないかと正直思いますわ!」
病院や医院がまぎれもなく客商売であることを認識した瞬間だった。昨年に型が違うから効かないという無駄なワクチンを注射されてそれでゼニをぼったくられた人たちに対して「無料でワクチン打ち直します」にはならないのだろうか。そういう動きを聞かないところを見るとそんなサービスはないのだろう。オレはどうも納得がいかないのである。効かなかったから金返せと思ってる方々は多いはずだ。
ただ、そうした状況に対して現場の医師たちにはなんの責任もない。その効かないワクチンを配布された医療機関の側はむしろ被害者であり、客から「効かなかったぜ」と文句を言われたところでどうしようもないのである。むしろ「流行ってくれたら客が増える」と正直に思ってるような医師が多いということはそれだけどこの病院も経営が苦しいということであり、公立病院の多くが赤字を抱えて中には閉院するところもあるというのに厚生労働省は医療費を削減しようと躍起になっているのだ。その一方で巧妙に医療費の不正請求を行ってる病院は暴利をむさぼるという詐欺も横行している。
オレの教え子で医学部に進学する者、医療現場で働く者たちも大勢存在する。こうした混乱の中で誰が得をしているのか、膨大な医療費はいったいどこに消えてしまってるのか、それが実際に現場で過重な労働に耐えている方々に還元されないのはなぜか。そうしたことを改めて思った次第である。
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