2009年01月18日(日) |
阿部野橋はもうすぐ沈没します! |
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2007年8月9日の日記「きみは阿部野橋を知ってるか?」でオレは、近鉄がそこに建設しようとしている高さ300mの日本一の高層ビルのことについて書いた。まさかその計画を立てたときにはこんな世界恐慌になるなんて近鉄の人たちは思ってもみなかっただろう。だったらそんなむちゃ計画は中止したらいいのに、着々と工事は進んでいるのである。オレは駅ホームの電車の発着位置が移動してるのを見て「ホントに建てるんだ!」と驚いたのである。近鉄は破滅に向かって走り出したのである。高層ビルの完成と同時に倒産するなんてことになればそれこそ笑いものだろう。ここは中止する勇気こそが必要だとオレは思うのである。大阪市内のオフィスの空き室率はどんどん上昇している。それなのに次々とビルが完成してオフィスが供給されるのだ。これからますます景気が悪くなのに、4、5年前の景気が良かった頃に計画された物件が次々と完成する。ところが誰も借り手はないのだ。そんな時期に超高層ビルを建てて、いったい誰が入ってくれるんだ。
ところが阿部野橋再開発の参加者はまだ居たのだ。アサヒコムの記事を引用しよう。
大阪・阿倍野の大型商業施設着工、東急ハンズなど出店 2009年1月13日
大阪市と東急不動産は13日、JR天王寺・近鉄大阪阿部野橋両駅前の再開発地区で、市内最大級となる延べ床面積約18万4千平方メートルのショッピングセンターの建設を始めたと発表した。核テナントとしてイトーヨーカドーと東急ハンズが出店し、11年春開業の予定だ。
施設は地下2階、地上6階建てで、内部に吹き抜けのある開放的な作り。両駅と空中通路で結び、14年に新ビルが完成予定の近鉄百貨店と向かい合う。ファッション、飲食、エンターテインメントなど約250店が出店し、洋食の老舗(しにせ)「グリルマルヨシ」など、元々敷地内にあった店も入る予定という。
建設に合わせ施設の東側を走るあべの筋を幅24メートルから40メートルに広げるほか、敷地の南端約0.6ヘクタールを公園として整備する。同再開発は94年、そごうを核テナントとする都市計画が決定されたが97年に同社の撤退により頓挫。02年には米系の商業施設開発会社を主体に計画を練り直したが、再び頓挫していた。
三度目の正直となる建設開始に、大阪市都市整備局の担当者は「日本一の高さとなる近鉄百貨店と合わせ、阿倍野地区が大きく変わる。大阪全体に与える経済効果も大きい」と期待している。
なんと、東急ハンズとイトーヨーカドーもやってくるのである。なんてことだ。そんな見込みのない場所で競争なんかしてどうするんだ。そもそもこの2社はどうしてそんな誰も見向きもしない場所に進出してくるんだ。そごうも撤退したし、ウォルマートも敬遠したあの場所でうまくいくはずがないだろう。そんなこともわからないのだろうか。オレはこの無謀な計画にあきれ果てたのである。
大阪にはすでに東急ハンズが2店ある。一軒は江坂にあるので阿部野橋には無関係だが、もう一軒は心斎橋にある。阿部野橋からは地下鉄で10分ほどである。新しく完成する予定の東急ハンズまで陸橋を渡って歩いて移動する時間程度で心斎橋まで地下鉄で移動することは可能だ。だからこんなところで作ってもただ客が分散するだけのことでありなんの意味もないのである。イトーヨーカドーの出店も同様であり、近隣には競合店となる地元のスーパーがいくつもある。不毛の客の取り合いになるだけだ。そして多くの人々にとってこの阿部野橋・天王寺ターミナルというのは単なる通過点なのである。オレが電車で出かける時もそうである。阿部野橋で寄り道する理由といえば、山ちゃんでたこ焼きを食べることくらいしかない。多くの人にとってその程度でしかない場所なのである。
このハンズとイトーヨーカドー出店予定地の南隣には 「あべのベルタ」「というすでに一部が廃墟になった商業施設がある。ほとんど客が入らず、さびれたシャッター通りのようになっているのである。そこでは地方都市のさびれた駅前通りのような光景が見られるのだ。かつて一階に入っていた「サイゼリヤ」も撤退した。180円のドリンクバーで3時間粘るような中高生の客しか来ない場所で、郊外型のファミレスがまともに収益を上げられるわけがないのである。その失敗を目の当たりにしながら進出しようとしている東急ハンズやイトーヨーカドーには果たして勝算はあるのだろうか。どんな好条件で誘われたのかはわからないが、オレからのアドバイスは一言「無理するな」である。やめられるのなら一刻も早く撤退しろ。たとえ違約金を払うことになってもいまならまだ撤退できる。一度建設工事が始まってしまったらもうどうしようもないだろう。
今回の開発計画の登場で、阿部野橋界隈は交差点をはさんで「JR天王寺駅」「近鉄阿倍野橋駅」「東急ハンズ・イトーヨーカドー」と3方がかためられたわけだが、残る一方向、つまり北西側には天王寺公園とホテル街が広がってる。その場末のホテル街の周辺にはかつては美人だったのかも知れない老いた街娼たちが出没する。そんなうらぶれたターミナルが果たして若者の集まるおしゃれな街に生まれ変われるのか。オレはその将来を限りなく危ぶんでいるのである。そして不幸な結末を予想するのだ。「阿部野橋は沈没する」というふうに。果たして3年後4年後のこの街はいったいどうなっているのだろうか。
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