2009年01月04日(日) |
おめでとう!東洋大箱根駅伝初V |
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駅伝の2大イベントと言えば、全国高校駅伝と箱根駅伝である。京都で行われる高校駅伝の方は何度か観戦したこともあるし、関西人のオレにはかなりなじみがあるのだが、もう一方の箱根駅伝はテレビで見ることしかなく、実感がわかなかった。大阪府の教員採用試験に合格したときに健康診断で知り合った体育教師の方が東海大で箱根駅伝を走ったランナーだったことを知って驚いた記憶がある。自分でも持久走にはかなり自信があって、大学生の頃は1500mを4分30秒くらいで走れたので、マラソンや駅伝にはかなり興味がある方だ。サイクリング部のトレーニングで鴨川縁をランニングすることも多かったからなあ。東北地方を旅行したときは円谷幸吉選手の生家を訪問したくらいである。遺品の中にあった血染めの遺書は今でもしっかりと覚えている。
箱根駅伝には関西の大学が出場できない。そういう理由で高校駅伝で活躍した高校生ランナーの多くが箱根駅伝に出られる可能性のある関東の大学、それも出場実績を積み重ねてきた大学に進学を希望するために、関西にはいい選手が残ってくれない。そんなことをオレは残念に思っていた。あんなに注目されるレースである。西日本からも出場する機会を与えてやって欲しいとオレは思ったのである。
その箱根駅伝に出場する権利を得ていた東洋大の陸上部員が、痴漢で逮捕されるというこのニュースは大きな衝撃だった。産経新聞の記事を引用しよう。
女子高生の下半身触る 東洋大陸上部の男逮捕 2008.12.2 20:12
このニュースのトピックス:性犯罪
電車内で女子高生の体を触ったとして、警視庁高島平署が、強制わいせつの現行犯で、東洋大経済学部2年で陸上部に所属する小林和輝容疑者(20)を逮捕していたことが2日、分かった。「欲求不満だった」などと供述している。
同部は来年1月の第85回箱根駅伝に出場する予定。大学側は小林容疑者を1日付で退部処分にした。
調べでは、小林容疑者は1日午前8時20分ごろ、東武東上線上り電車内で、女子高生の下半身を触った。女子高生本人が取り押さえて、成増駅で駅員に突きだした。小林容疑者は、埼玉県内の自宅から通学途中だったという。
東洋大によると、関東学生陸上競技連盟などと協議し、箱根駅伝への出場を含め今後の対応を決定するという。
陸上部の川嶋伸次監督は「被害者の方にご迷惑をかけ、心からおわびする。今後このようなことがないように部員の指導を徹底する」とのコメントを出した。
監督が責任をとって辞任するということでとりあえずの決着を見たわけだが、一人の馬鹿のために、もしも出場辞退などということになれば部員たちの気持ちはどれほど傷ついただろうか。このような不祥事の場合オレは思うのだが、それが「個人」の問題なのかそれとも「集団」の問題なのか。それを区別して考えて欲しいのである。
たとえばアメフト部の部員が数人で輪姦行為をしたということがあれば、「集団」の問題であることは誰もが認めるだろう。そのような部の体質が事件につながった可能性が高いからだ。しかし、「個人」の痴漢行為や万引きなどは、あくまで「個人」の犯罪であるとオレは思うのである。その責任は「個人」が取ればいいことであり、「集団」には基本的にその累を及ぼすべきではない。これは高校野球の甲子園出場の場合も同様だと思う。
もうかなり昔のことだが、愛知県の享栄高校が甲子園大会の期間中に宿舎で部員たちが集団で喫煙してるところを盗撮したカメラマンがいて、写真雑誌に掲載されたことがあった。享栄高校は出場辞退にも不戦敗にもならず、その次の試合で負けた。あの事件に関してはいちおうお咎めはあったがそれは大会後だったと思う。しかし、オレは少なくとも「みんなで喫煙してる野球部」なんて甲子園に全然ふさわしくないと思うし、それが発覚した時点で出場停止半年くらいの処分を即座に行って、甲子園では不戦敗にするくらいの処罰が適当だったと思うのだ。もしも開き直って勝ち進んだらどうするつもりだったのだろうか。
明らかに「個人」の罪でありながら「連帯責任」という名の美名で全く無関係な者たちの長年の努力が水泡に帰したとして、ではその事件を起こした者に責任が取れるのだろうか。それこそ罪を償って死んだとしても、それによって事態が回復するわけでもない。事件を起こした者だけではなくその家族までもが針のむしろで暮らすことを余儀なくされるのである。
だからオレは東洋大が箱根駅伝の出場を辞退せずに済んだことに対しては率直によかったと思うし、無事に出られることになった部員はその喜びをかみしめて全力を出し切って欲しいと思った。しかし、この好成績を誰が予想しただろうか。再び産経新聞の記事である。
【箱根駅伝】東洋大、チーム一丸V 若手中心の布陣 2009.1.3 19:45
このニュースのトピックス:陸上
肩を組んで待ち受ける仲間のもとへと向かう東洋大アンカーの高見に思わず笑みが浮かんだ。そしてゴールテープが目に入ると、タスキを握りしめる。「全員の汗と気持ちを感じ、泣きそうになった」。出場67回目にして初の栄冠は、昨年12月に部員が逮捕され、チームの基礎を築いた川嶋伸次監督らが辞任するという衝撃をチーム一丸で乗り越えてつかんだまさに“汗の結晶”だった。
「無名の選手たちが結束して戦うことができた。(事件で)苦しかったが、選手が耐えて、力を発揮してくれた」とは佐藤監督代行。事件後、「走れることに感謝しよう」を合言葉に臨んだ選手らは、一列に並び深々とした一礼で、レースを締めくくった。
高校駅伝で活躍した選手はいない。「山登りの柏原が注目されたが、ウチのチームらしかったのは(復路)後半のつなぎ」と佐藤監督代行が語った通り、チーム一丸の走りが光った。
7区区間賞で、早大との差を詰めた飛坂が「もうちょっと後を楽させたかったが、最低限の仕事はできた」と話せば、8区でトップを奪い返した千葉も「勝負どころの後半で粘れた。自分の役割を何とか果たせた」。メンバーの誰もタスキをつなぐことに徹した。
そこには「流れと折れない心」を訴えた川嶋前監督の思いが確かに引き継がれていた。「柏原の頑張りで優勝が実感となり、みんながトップでつないでくれた。この思いを無駄にできないと思った」と高見。気持ちを一つにする大切さを知ったメンバーに、ルーキーの柏原が刺激を与えての栄冠。復路だけでも2年生が4人という布陣をみれば、この日が東洋大時代の幕開けとなるかもしれない。(金子昌世)
奇跡というのは本当に起きるのだろうか。4区までは9位だったのに山登りで5区の柏原がごぼう抜きしてまさかの往路優勝。それだけでもありえないような展開なのに、並み居る強豪校を抑えてなんと復路でも一時は失ったTOPの座を奪い返し、みごと優勝に輝いたのである。もしも東洋大をあっさりと出場辞退させていればこのドラマは起きなかったのである。しかし、もしも事件が起きなかったら東洋大は勝てただろうか。そんな不謹慎なこともオレは思うのだ。駅伝というメンタルな競技の中で、川嶋伸次監督の無念を晴らすために絶対に勝つんだという部員たちの強い意志が、この奇跡を起こしたのではないのか。オレはそんなことを想像してしまうのである。
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