江草 乗の言いたい放題
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2008年12月13日(土) 景気はこれからどうなるのか?        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

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 12日の午後、アメリカの自動車大手3社(ビッグ3)への救済法案が米上院で廃案になった瞬間、ドルは急落して一時は1ドル=88.4円をつけ、後場の日本株も瞬間的に日経平均600円の下げを見せるなどの動きだった。廃案になった理由は、リストラ策の一つである賃金カットに全米自動車労組が同意しなかったからだという。労組が強すぎるというのも困りものである。アメリカにはジョブバンクというものがあって、そこには3000人ほどが所属しているのだが、全く仕事をしないで遊んでいても依然と同じ報酬が保証されているのだという。全くもってうらやましい話である。

ビッグ3:政府、公的資金での融資検討 救済法案は廃案に
 【ワシントン斉藤信宏】米議会上院は11日、自動車大手3社(ビッグ3)への救済法案について審議したが、法案に反対していた共和党の修正案を軸にした協議が決裂し、法案は事実上の廃案となった。これを受け、米ホワイトハウスのペリーノ大統領報道官は12日、声明を発表し、ビッグ3を救済するため金融安定化法に基づく公的資金7000億ドル(約63兆円)から資金を拠出し、つなぎ融資を実施する方向で検討に入ったことを明らかにした。
 ビッグ3の救済法案廃案は世界経済に深刻な影響を及ぼすと懸念されていた。米政府が支援に乗り出せば、ビッグ3は来年1月のオバマ政権誕生までは経営破綻(はたん)を避けられる見通し。
 ペリーノ報道官は救済法案の廃案を受け、「自動車産業の崩壊は米国経済に深刻な打撃を与える」と危機感を表明。「必要があれば、困難に直面している自動車大手が破綻するのを避けるため、金融機関向けの公的資金7000億ドルの中から資金を拠出する選択肢を検討する」と新たな救済策の作成に前向きな姿勢を示した。
 ブッシュ大統領やポールソン財務長官はこれまで、金融安定化法に基づく公的資金による自動車業界の救済に一貫して慎重姿勢を示してきた。議会民主党との協議の中でも、いったんはエネルギー法に基づく140億ドル(約1兆3000億円)の融資を実施することで合意したが、上院共和党の反対派を説得できず、結局、金融安定化法での融資を検討せざるを得なくなった形だ。
 ビッグ3のうちゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは、公的支援を得られなければ年内にも資金繰りに行き詰まると訴えてきた。両社とも、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)による企業再生に詳しい法律事務所と契約を結ぶなど、破産法の適用申請に向けた準備に入っていたという。


 上院での救済法案廃案でNYダウは暴落かと思ったら、なんと途中から上昇に転じている。それは上記記事にもあるように金融安定化法案による公的資金での「救済」という方向が打ち出されているからである。全米自動車労組の支持母体は民主党であり、民主党のオバマ政権はなんとしても業界を守らないといけないということなんだろう。

 オレは3社を破綻させるしかないと思っている。その結果アメリカで300万人の失業者が出れば大変なことになるだろう。しかし、破壊がなかったら再生もない。このまま逐次投入で米政府がゼニをつぎ込むことが景気回復につながるとは思えない。そうやってつぎ込んだゼニもどうせみんな無駄になる。だって、競争力のある商品が作れない以上、製造業としての命運はもう定まってるのであり、ビッグ3は自動車業界の負け組なのである。そこが市場から退場していくのは資本主義のルールではないのか。

 今ここで資金を与えて年末を乗り切ったとしても、赤字体質が改善されず、従業員の賃金コストがが高すぎる以上いずれは破綻する。北米トヨタの賃金コストが1時間当たり48ドルであるのに対して、ビッグ3平均は73ドルだという。そんなに賃金が高くて競争力があるわけがない。この賃金をそのままにして救済することはできないだろう。会社がなくなるのと給料が減るのとどっちかを選べと言われると従業員も困るだろうが、少なくとも倒産するよりはマシな選択を選ぶべきだろうと思うのである。

 アメリカ政府が財政支出をこうして増やし続ければ、その資金は米国債を発行して借金で賄うことになる。それをまた日本や中国は買わされるわけだが、ドルがじゃぶじゃぶ供給されればさらなるドル安につながるわけである。アメリカや欧州にとって今回の世界恐慌は「金融危機」という側面が強いのだが、日本にとってこの世界恐慌による円高は製造業を直撃するのだ。トヨタ自動車が下半期赤字決算になることがほぼ確実になったように、日本の基幹産業が大打撃を受けて利益を減らし、各社が減産体制に入って「守り」をかためだした結果、契約社員や派遣社員が大量に解雇された。企業はそれぞれ自己防衛しないといけないわけだが、その余波はいつも貧しい者に向かうのである。広島ではマツダが生産規模を縮小したために生活保護を申請する人が出ている。

 個人投資家でもあるオレは、最近の株価が恣意的に乱高下する中で翻弄されている。たとえば金曜日の後場に「ビッグ3救済廃案」と聞いて自動車株を全力空売りした投資家は、おそらく月曜日には逃げることができずに踏み上げを食らって含み損で死ぬことになるだろう。方向が読めないので安易に手出しできないのだ。日本政府が企業のCPを買い取ることで資金を援助するという方針を発表したら、これまで業績悪化で沈んでいた不動産株が味噌もクソも上昇している。マンションが売れずに死にかけていた企業の株まで暴騰しているのである。だからといって買う気にはなれない。現実問題としてマンションは売れていないのだし、そうした新興不動産の企業にキャッシュを与えて延命させたとしても、やはり少子高齢化の流れの中で地価は下がるし、建てすぎたマンションは値下がりしてるからいずれは破綻する。景気動向に関して、オレは悲観的な見方しかできないのである。しかし株価はそんなものを無視して需給だけで動く。特に参加者の少ない今は一部の機関投資家や仕手筋によって思いも寄らない方向に動かされる。だから怖いのである。

 日経平均はいずれ5000円くらいに下がるのかも知れないし、近々1万円台を回復するのかも知れない。それは全くわからない。高名なアナリストたちにもわからないのだろう。ただ確かなのは実体経済が恐ろしく崩壊しているということだけである。アメリカでは住宅ローンのデフォルトがこれからもどんどん増えるだろうし、クレジットカードの延滞率も上昇中である。想像もつかないペースで破滅が進んでいるのだ。あの大国はそんなことなんでもないようにイカサマを行って、徳政令で借金をみんなチャラにしてドルを刷って乗り切るのかも知れない。しかし日本はそのとき果たして無事でいられるだろうか。これから世界はどんな方向に進んでいくのだろうか。






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