2008年09月27日(土) |
きみは「ビッグイシュー」を読んだことがあるか? |
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クルマではなくて電車で街に出かけたとき、オレは必ず天王寺で「ビッグイシュー」を買うことにしている。一冊300円で売られているこの雑誌はホームレスの方の自立支援を目的としたものであり、300円中の160円が販売員の収入となる。アサヒコムにこの「ビッグイシュー」に関する記事があったので引用したい。
「ビッグイシュー」創刊5年、進まぬ就職に支援基金始動 2008年9月26日
ホームレスの自立を支援しようと大阪で生まれた雑誌「ビッグイシュー日本版」が、9月で創刊5年を迎えた。全国のホームレス約800人が街角で販売し収入増に貢献してきたが、再就職につながった人は1割にとどまる。発行会社は基金設立による就業支援など新たな活動に乗り出している。
「ビッグイシュー、いかがですかー」。大阪市北区のJR大阪駅前の路上。仁田(にった)賢三さん(58)はぴんと上げた左腕に雑誌を掲げ、通り過ぎる会社員らに呼びかける。
仁田さんは転職に失敗して00年ごろ大阪市西成区に移った。NPOと市が管理運営するシェルター(臨時夜間緊急避難所)に寝泊まりし、炊き出しで飢えをしのぐ日々だったが、5年前に販売員になって生活が変わった。2年半前からは販売員仲間3人でアパートを借りる。
ビッグイシューの販売をしながら仁田さんはハローワークに通った。だが仕事は見つからない。「この年ではなかなか……。売り上げも場所や季節で波がきついから、本格的に職探しをできるほど貯金もたまらない」
売り上げの半分以上が販売員の収入になる仕組みのビッグイシュー。当初は大阪だけの販売だったが、現在は東京、兵庫、広島など11都道府県で売られている。これまで約3億円余りがホームレスの収入になった。一方で、収入を元手に新たな就職先を見つけた人は80人ほどで、登録者全体の1割にとどまる。
「1割という数字は確かに少ない。販売者の平均年齢は50歳ぐらい。中高年のホームレスが社会復帰するのはそれだけ大変ということです」。同誌の発行会社「ビッグイシュー日本」の代表佐野章二さん(66)は話す。
厚生労働省が07年に実施した全国のホームレスの生活実態調査によると、平均年齢は57.5歳で、前回調査の4年前に比べ1.6歳上昇。55〜64歳の割合が増え、高齢化しているという。
ビッグイシュー日本は07年秋にNPO法人を設立。就業支援や医療相談などで社会復帰をサポートする「ビッグイシュー基金」をつくった。市民や企業からの寄付を運用し、月1回の健康診断や、弁護士相談のほか、バンドやフットサルなどの「クラブ活動」を実施する。
佐野さんは「路上生活者は仕事を失っただけでなく、孤独になって『ホープレス』になっている。基金との両輪で、一人でも多くの人の社会復帰につなげていきたい」と話している。(藤田さつき)
◇
〈ビッグイシュー〉 91年にロンドンで創刊、日本版は03年9月に創刊した。「若者のオピニオン誌」がコンセプトで、国内外の有名人のインタビューや社会問題記事を掲載する。当初は1冊定価200円で販売者の収入は110円だったが、赤字が続き07年10月に300円へ値上げし、160円が販売者の手元に残る。今年8月に第100号を刊行した。
一度ホームレスの境遇に陥った方が自立するのはかなり困難なことである。それをこうして「ビッグイシュー」の販売員として一日中駅頭に立って、自力で困難に立ち向かおうとしている人々がいることをどうかより多くの方が知って欲しいとオレは思うのだ。駅の売店に並んでる週刊誌のHな記事やヌードグラビアを楽しみにしてるオッサンたちも、たまにはそういうエロ本ではなくてこの「ビッグイシュー」を読もうじゃないか。オレはいつもバックナンバーを含めて複数買うのだが、持ち帰って父に見せると「この雑誌は面白い!」と言ってしっかりと読んでるぜ。映画に関する記事なんかがかなり充実していたことをオレは覚えている。
ところでこの「ビッグイシュー」を発行してるNPO法人には国からどれだけの支援があるのだろうか。オレはそれを少し心配しているのである。前は200円だったこの雑誌が赤字のために300円に値上げされてしまった。それは国からの支援が不十分だからではないのか。麻生太郎が総理になって、景気回復のためのバラマキ政策を考えてるようだが。どうせばらまくのならこうしてもっとも低収入の状況でがんばっている方々に手厚く行き渡るようにして欲しい。企業に補助金を出して最低賃金の引き上げを行うならば、そのゼニが制度を悪用する企業にだましとられるのではなくて確実にパートやアルバイトの労働者に支払われるように厳正に運用して欲しいのである。
たとえばホームレスの方が集めているアルミ缶の買い取り価格だが、政府が補助金を出して高く買い取るようにすればどうか。それで彼らの生活がほんの少しでも豊かになって、いつかはアパートや公営住宅に移って自立できるようになることを目指すべきだろう。株の売却益を非課税にするなどという金持ち優遇の税制を導入しても、金持ちどもはそうやって得たゼニを死蔵するか別の株に再投資するだけで、それは基本的に市場を循環しないゼニである。ところがホームレスの方が手にしたお金はすぐに消費に回る。ゼニというのはすぐに使われてこそ価値があるのだ。
5万円というゼニを一人が1ヶ月ずっと持ち続けているよりも、それを最初に受け取った人がすぐに使い、順々にゼニが回っていって15人がそれぞれ平均2日ずつ持っていたとするなら。みんなが「今月は5万も入ってきてその5万をパーッと使ったよ!」という形で豊かさを享受できているのである。すぐにゼニを使ってしまう貧乏人の中をゼニがぐるぐる回るような仕組みを構築すべきなのだ。
昔の商店街にはそれがあった。商店街の住人は自分たちが経営者であると同時に他の店にとっては客だったのである。豆腐屋は豆腐を売ると同時に散髪屋の客であり、散髪屋は魚屋の客であり、魚屋の子どもはおもちゃ屋でゼニを使う・・・というふうに自分の得た収入はすぐに他の仲間の売り上げとなり、順々に人々の間を渡っていくという形でみんなを豊にしたのだ。残念ながら今、日本の各地でこうした商店街はみなシャッター通りと化してしまっている。個人がスーパーやコンビニで使ったゼニはすぐにその本社や親会社に吸い上げられていく。地元にはほとんど残らないのである。もちろんバイトやアルバイトの給与という形でほんの一部は戻ってくるかも知れないが、全体から見ればほんのわずかである。
たとえコンビニが賑わっていても、もうかってるのは売り上げの数%が確実に収入になるその親会社だけで、現場で働く店主たちは過労死寸前の過酷な状況に追いつめられている。一昔前なら循環してみんなを豊かにしたはずのゼニが、今はすぐに大企業に取り戻されてしまうのだ。そのカラクリにどれだけの人が気づいてるのだろうか。
我々が「ビッグイシュー」を購入してホームレスを支援するとき、そのゼニはちゃんと販売員の方とその支援をする組織に確実に届く。雑誌を手渡すときにいつも販売員の方は満面の笑顔で「ありがとうございます」と言う。その程度のことでこんなに丁寧にお礼を言われると、かえって恐縮してしまうのである。どうかこの日記を読んだみなさんもぜひ通勤の時はエロ本ではなくて「ビッグイシュー」を買って読んで欲しい。
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