2008年05月27日(火) |
小学生を今よりもっと馬鹿にする方法 |
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「どうしてそんな馬鹿なことをするのか?」とオレは小学校での英語教育必修化について苦々しく思っていたが、どうやらこの愚行は阻止できないようである。それどころかより狂った方向へと進みつつあるのである。なんということだ。新聞記事を読むとあきれるようなことがどんどん報道されているのだ。ただでさえよい英語教師は不足しているのに、小学校にいったいどうやって教師を配置するのか。そして小学校から教えることに効果があればいい。それ自体が無駄であることのためにどうしてゼニと時間を掛けなければならないのか。いや、ただの無駄ならまだいい。それ自体が有害なことのためのゼニと時間を掛けるのだ。全く馬鹿げているとオレは思うのである。
小3から英語必修 小中高の英語教師にTOEIC
政府の教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾長)が26日に福田首相に提出する第1次報告の全容が、明らかになった。英語教育の強化を掲げ、国に小学校3年から英語を必修化するように求めている。
また、小中高の英語教師の採用に際し、英語能力を測る世界共通の学力テストである「TOEIC」などで一定の点数を取っていることを条件とするように提言している。
報告は、〈1〉英語教育の抜本的見直し〈2〉こどもを有害情報から守る方策〈3〉留学生30万人計画の国家戦略化〈4〉実践的な環境教育の展開〈5〉若い保護者の子育て支援――が柱。
英語教育について、小学校から大学までの各段階での到達目標をTOEICなどを活用して具体的に定めるように求めた。さらに、英語教育を小学校3年生から年35時間以上行うモデル校を全国に5000校設けて支援するとしている。
こどもが有害情報の被害に遭うことを防止するため、小中学生が携帯電話を持つことがないように関係者に協力を促す。仮に持つ場合は、通話や居場所確認機能に限定した携帯電話を持つように推進するとした。
福田首相が提唱した「留学生30万人計画」については、政府が国内の30大学を指定して重点的に支援し、これらの大学で、留学生の比率を全学生の20%以上、特定学部の外国人教員の30%採用を目指すとしている。(2008年5月24日 読売新聞)
昔オレが大学生だった頃、学習塾の講師をしたことがある。そのときオレはものすごいオチこぼれの生徒に出会った。その少年は小学校6年でありながら足し算がちゃんとできなかったのだ。10000+10=1000010という計算をしていたのである。オレは仰天した。なんというアホな生徒だ。オレはその子のために小学校3年くらいまで戻って、せっせと算数の遅れを取り戻すためにがんばったのである。まず位取りをちゃんと教えた後、かけ算の九九はどうやらわかるようだったので分数を教え、どこでつまづいているのかを発見して、理解できるところからきちっとやりなおせばきっと追いつけるはずだと思ったのだ。
しかし、その子の母親からオレは抗議されたのだ。「どうしてうちの子にこんなアホなことをさせるんですか!」オレは心の中で「だって、アホやんけ」と思ってだまって聞いていた。すると母親はもっとアホなことを言い出した。そのときにオレは完全にあきらめたのだ。この母親は息子以上にアホなんだと。だから息子はこんなひどいオチこぼれになったのだと。そのもっとアホなことというのは「うちの子は中学校に入ったときに役に立つように今から英語を勉強させたいのです!」というセリフだったのだ。 結局その子は塾をやめてしまった。オレという教師に出会ってせっかく手に入れたチャンスを母親は奪ってしまったのである。
今、教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾長)がやろうとしているのは、この母親のような愚行である。そのことをオレは憂慮するのである。安西祐一郎という男の教育に関する認識は、この馬鹿な母親程度なのである。今の小学校で問題になってるのは英語ができないことではなく、学力格差や塾による教育破壊、ゲームや携帯のせいで子どもが勉強しなくなったことなんだということに気がついていないのだ。
たとえば「小中学生がPS2やWii、ニンテンドウDSなどのゲーム機で遊ぶことを全面禁止する」という法律を制定して違反者から罰金を取り立てるならば、かなり劇的な効果が上がるだろう。しかしそんなことは絶対にできない。ゲーム業界は今や自動車に代わる日本の基幹産業であり、その業界からの反発は必至である。しかも自民党はゲーム業界からも政治献金を受け取ってるからそんな方向に動くわけがない。
携帯電話を規制することは一定の効果は確かに上がるだろう。子どもたちが携帯をいじってる時間は相当長い。そのために奪われている時間が少しでも学習時間に取り戻せるならば効果はあるはずだ。「有害情報の被害に遭うことを防止する」なんて言わずに「携帯ばかりで遊ぶな!」とはっきり言えばいいじゃないか。もっとも本音はそこにあるのかも知れないが。
小中学生は昔よりも馬鹿になった。これは事実である。これを「ゆとり教育」のせいにする方もいるし、もちろんその影響もかなりあると思うが、オレはやはり元凶はゲームや携帯だと思っている。子どもたちが熱中するものがある以上、勉強よりもそちらに走るのは当然のことだ。それに輪を掛けてるのが小学校での学級崩壊、授業崩壊の現状だと思っている。英語教育のような学力格差のはっきりするものを取り入れたら、その崩壊が加速するとオレは思ってるし、それ以上に主要科目の学習時間の減少で学力低下が起きるだろう。今の小学生のお馬鹿ぶりを思えばオレは国語や算数、社会、理科の学習時間こそ増やすべきだと思っている。英語をやると言うことは他の科目の学習時間がそれだけ減ってしまうのである。いったい何を減らすのか。
英会話中心の授業を小学校に導入したとして、それを中学校での英語学習にどうつなげるのか。語学として体系的に学ぶことと、日常生活の会話を教えることとはオレはかなり別物だと思っている。もちろん両者は最終的には融合するわけだが、オレは前者重視の日本の英語教育は決して間違ってなかったと思うのである。オレが20年前に長期の海外放浪を行ったときにベースになったのは受験勉強で身につけた英語力だった。中学高校で受験勉強した蓄積があったから、テレビやラジオを使った数ヶ月の特訓でかなり実際に役立つ語学力が身に付いたわけだ。
上記答申には英語教師の能力の問題も含まれていて、TOEICの点数なんかも採用の条件にされるわけだがふざけるなと言いたい。英語の能力のある人が英語教師になるわけではなく、英語教師よりももっといい収入の道があるからそっちに行ってしまうのである。公立学校の教師の待遇なんて悪くなるばかりだ。それよりも、ちゃんと能力を正当に評価する世界に、よりすぐれた人が流れるのは当然である。
国際化の時代であっても誰もが英語を必要とするわけではない。むしろこれから日本人が良く接するようになるのは韓国人や中国人だろう。国際交流という意味ではむしろ韓国語や中国語を学ぶ方が効果は上がる。もちろんそれは大学生以降のことであり、小学校でその必要はない。もっともオレの息子たちが通った小学校には中国から来ている方が多くて、運動会には中国語のアナウンスも流れていたが。
ここでオレがいくら罵倒したところで小学校での英語教育導入という流れは変えられないのだろう。その結果もっと小学生が馬鹿になったという事実に愕然とするのはさらに10年、20年先である。そのころの日本がいったいどんな暗黒時代を迎えているのか。オレには予想もつかない。
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