2008年03月27日(木) |
願はくは花の下にて春死なむ |
携帯用URL
| |
|
ブログランキングの投票いつもありがとうございます。1位が目標ですのでよろしくお願いします。株に興味がある人もない人も、世界の株価が一目でわかる江草の投資情報室をお気に入りに入れて時々ごらんになってください。
願はくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ
これは西行法師の有名な和歌である。この和歌のとおりに彼は桜の満開の頃に入滅した。その終焉の地と言われるのは大阪府南部の河南町にある弘川寺である。まさか西行にあこがれたわけでもあるまいが、最近満開の桜の下で死ぬ人が増えてるというショッキングなニュースをオレは知ったのである。産経新聞のWEBサイトからの記事を引用したい。
「桜の三大名所」奈良・吉野山、花見客の高齢化で転落死相次ぐ 2008.3.25 22:35
「桜の三大名所」の一つとして知られる世界遺産、吉野山(奈良県吉野町)で近年、高齢の花見客の転落死や急病が相次いでいることが分かった。全国から格安バスツアーで入山し長時間歩いて観桜するため、身体的な負担が高まっていることが背景にあるとみられる。事態を重くみた地元は車いすを増やしたり今年初めてAED(自動体外式除細動器)を配備するなど、花見シーズンを控え対策に追われている。
吉野山の桜は約3万本。山すそから順に「下千本」「中千本」「上千本」「奥千本」と続き、いずれも一目で1000本が見えることから「一目千本」と称されてきた。
人口9300人の吉野町に訪れる花見客は例年30万人。関係者によれば、このうち7割は高齢者だといい、近年は格安代金による日帰りバスツアーが主流になっているという。
ツアーの中には東京を深夜に出発して早朝に吉野へ着く「弾丸ツアー」も。下千本の駐車場で弁当を手渡され、上千本まで山道を1時間以上歩いた上、弁当を食べる余裕もなく午前11時には東京へとバスに乗り込んで去っていくという。
また、吉野の桜は山桜のため、花見は都市部で行われているようなシートを敷いて酒や料理を楽しむスタイルでなく、山道を歩きながら急斜面に咲く桜を見渡すことになる。
こうした中、2005年の花見シーズンには高齢の花見客3人ががけから転落するなどして急死。06年は同様に2人が死亡した。07年は死者は出なかったものの、急病人が増えたという。吉野広域行政組合消防本部によると、吉野山での救急搬送は例年4月、各十数件あり「その多くが花見客」(消防本部)としている。
地元では今年から、これまで2台しかなかった車いすを5台に増やしたほか、初めてAED4台を購入した。
関係者は「高齢女性の中には『吉野の桜を見られたからもういつ死んでもええ』と話す方もいらっしゃいますが、本当に死んでしまっては大変です。体調管理には充分気をつけてほしい」と話す。
桜の三大名所は、吉野山のほか青森県弘前市の弘前公園、長野県伊那市の高遠城址公園が並び称されている。吉野山は04年7月、熊野古道へと至る「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界文化遺産に登録されるなど近年、脚光を浴びている。
オレはお花見が好きである。満開の桜も、そしてあの喧噪も、桜の下で酔っぱらってゲロを吐いてるおっさんも、浜寺公園の満開の桜の下で繰り広げられるバーベキューも、みんなお花見に欠かせぬ要素である。和歌山城とか、紀三井寺とか、円山公園とか、インクラインとかいくつかお気に入りの場所もある。吉野山ももちろん好きな場所の一つである。吉田兼好は徒然草の中で「花は盛りに、月はくまなきをのみ見るものかは」(桜の花は満開を、月は曇り無く晴れ渡ったものだけを見るものだろうか、いやそうではない。)と書いたが、それはぼやぼやしていて満開を逃したアンラッキーなおっさんのただの負け惜しみである。やっぱり満開の桜は最高だ。オレは桜の花の下で、日本にはなんて美しい風景があるのだろうかとつくづく思う。そのお花見の名所で関西随一と言えばやはり吉野山である。
吉野山に花見にやってくる人の7割が高齢者なのだという。確かに若者はあまり行かないと思う。まだ20代の頃のオレは吉野山でお花見デートしたことがあるが、きっとそんな酔狂な若者は減ってるのだろう。吉野山に行くには大阪・阿部野橋から近鉄特急で行ける。「阿部野橋」と言っても関西の人にしか通じないわけだが、JR天王寺駅(これは東京駅に対する新宿駅みたいなもので、大阪環状線の南側、大阪駅から見てちょうど反対側に位置する)のすぐ向かいにある近鉄南大阪線の始発駅なのである。平面に5本のホームがあるかなり大規模な駅である。そこから吉野行きの特急が出ているのだ。吉野に行くならやはり近鉄特急のさくらライナーで行くべきである。
その吉野山に遠くから観光バスで運ばれてきて、時間の余裕もないままにあわただしく見て回り、疲れが限界に達したお年寄りが体調を崩したり、山道で足を滑らせたりしてしまうのである。なんのために旅行に来ているのかわからないのである。「願わくは花の下にて転んで死なむ」などと誰も思っていないわけだが、結果的に打ち所が悪かったりして命を落とす人もあるのだという。なんとも痛ましい話である。2005年には3人、2006年には2人と毎年のように死者が出ているのだ。地元ではAED(自動体外式除細動器)を配備したり車いすを用意したりして万全の体制で備えてるのだが、地元にとってもある意味迷惑な話である。いくら観光地だからといって、そこまでの受け入れ態勢を整えないといけないのかとも思うのだ。お年寄りが多いと言うことはそういうことなのだろうか。
日本三景とかいうふうに日本人は3つにしぼることが好きだが、吉野山、弘前城、高遠城址公園が桜の3大名所なのだそうだ。残念ながらオレは吉野山しか行ったことがない。高遠も弘前も桜の季節ではないときになら行ったことがあるのだが。桜を愛するオレとしては機会を見つけて弘前と高遠に行かなければならないだろう。3大名所に京都が入ってないのは不思議なのだが。
不謹慎な言い方かも知れないが、吉野山にお花見に来て満開の桜の中で気分が悪くなってそのままぽっくり逝ってしまうなんて臨終のしかたは、ある意味安らかで幸福な死だとオレは思うのだ。少なくとも最近よく発生する「人を殺してみたかった」などとほざくクソガキの犠牲になってお亡くなりになってしまう悲劇の理不尽さに比べればはるかに人間的であり、かつ抒情的でもある。願わくば、このオレもそうありたいものだ・・・などと言うと吉野山の方々に迷惑を掛けてしまうことになって申し訳ないのだが。
←チベット独立を支援してください。 m(_ _)m