2007年09月10日(月) |
オレは阪神ファンでよかった! |
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重陽の節句である9月9日日曜日、延長10回5時間にわたる死闘を終えて阪神タイガースは接戦を制して巨人に3連勝し、ついに10連勝ということになった。
虎延長制し10連勝!久保田7勝、藤川40S
<巨人8−9阪神>◇9日◇東京ドーム
阪神が初回に先制した。先頭鳥谷から浜中、シーツと3連打であっさり1点をものにした。巨人はその裏、3点を挙げ逆転した。無死二塁から矢野の適時二塁打でまず同点。続く小笠原が勝ち越しの中前適時打を放った。なおも無死満塁で阿部が中犠飛を打ち上げた。阪神は3回、先頭浜中の4号ソロに1点差に詰め寄った。4回には2死一塁で代打狩野の適時三塁打で追いついた。5回には浜中、シーツの連打で無死二、三塁とし、金本が右翼フェンス直撃の適時二塁打を放ち、2点を勝ち越した。巨人は5回、1死一、二塁で二岡が左翼フェンス直撃の適時二塁打を放ち、1点差。続く阿部の二塁ゴロの間に三塁走者が生還し、同点となった。阪神は7回、2死から葛城の四球と赤星の二塁打で二、三塁とし、矢野の2点適時打で再び勝ち越した。
だがその裏、巨人は二岡の19号2ランで再び試合を振り出しに戻した。試合は7−7のまま延長戦へ。阪神は10回、1死二塁で鳥谷が適時三塁打を放ち、勝ち越した。藤原が右前適時打で続き、リードは2点になった。
その裏、阪神は守護神の藤川が登板。小笠原の適時打で1点差となったが逃げ切り、10連勝した。久保田が7勝目、藤川が40セーブ目を挙げた。[2007年9月9日23時10分]
ついに首位まで1.5ゲーム差となった阪神が迎えた東京ドームでの巨人との3連戦はどれも壮絶な試合だった。どれ一つとして阪神にとって楽勝と呼べるものはなかった。すべて1点差の接戦だったのだ。オレは胃を痛くしながら試合を見守り続けた。
第一戦、巨人は7本のホームランで8点を取りながら8−9で敗れた。逆に言えば阪神はホームランをそれだけ打たれながらもしのぎきったのである。巨人が9回同点で送ったストッパーの上原は、阪神の桧山に代打ホームランを打たれそれが決勝点となった。上原を出したのに負けたという巨人にとって信じられない展開だったのである。阪神は9回お約束のように藤川球児が登場し、巨人を0点に抑えた。
第二戦、阪神は2本のホームランでとった2点を守りきって勝った。この日も藤川球児が最後を締めた。
第三戦、もっとも激しい戦いだった。初回いきなり3点を失ったことでオレは負けを覚悟した。しかし阪神は信じられないほどの粘りを発揮して追いつき、追い越した。しかし巨人も絶対に負けられない試合ということで試合は最後までもつれた。阪神の誇るストッパー3人衆JFKの一人であるウィリアムスが体調不良で欠場していて、その代わりに登板した江草は二岡にホームランを打たれて同点に追いつかれた。延長10回に阪神が入れた2点を守るために登板した藤川球児は明らかに疲れていて1点を取られてしまった。イ・スンヨプを抑えられずに歩かせた。二岡への初球はフォークだった。いつもの直球勝負の藤川じゃなかった。二岡のハーフスイングが振ったと判定されて三振に終わったとき、オレは安堵の涙が出た。
もうこれで十分だ。藤川球児、もうきみは投げなくていい。この10連勝の間、きみは10連投した。それがどれほど大変なことなのか、オレはその瞬間をこうしてテレビで観ることができたことを幸福に思う。阪神タイガースの歴代の抑え投手の中で最高の働きをしているきみをリアルタイムで観戦できたことをとにかく幸福に思う。江夏豊の全盛期の頃、オレはまだ野球がよくわかっていない小学生だったからだ。
オレは阪神に優勝して欲しいと思う。日本一になって欲しいと思う。しかし、その一方でもっと別の屈折した思いもあるんだ。それは、阪神の選手たちがみな、自分の能力の限界のところで戦っているということだ。半月板を損傷しながら連続試合フルイニング出場を続ける金本、年間90試合登板に達するかも知れない久保田、もしもプロ野球が今年限りならそれでもいい。しかし、来季もまたその先もプロ野球は存続するのだ。それを考えたとき、まるで今シーズンでプロ野球が終わってしまうような阪神の戦いぶりの激しさにオレは逆に胸が痛むのである。
もう十分素晴らしいドラマをオレは堪能した。これまでずっと阪神ファンを続けてきて、こんなに嬉しかったシーズンはない。それは本当だ。だからこそもうこんな苦しい戦いはやめてくれ。もう勝たなくてもいい。これで十分だ。しっかりとメイクドラマは見せてもらった。今この瞬間を味わえただけでもうオレは十分満足だ。
シーズンが始まってしばらく、今岡や赤星といった主力選手の不振のために阪神は勝てなかった。その主力の穴を埋めて若手が次々とヒーローになり、世代交代がこんなに一気に進むとはオレは思わなかった。今やその若手がチームをどんどん引っ張っていく状況だ。狩野や桜井、上園、林といった選手たちの活躍がなかったらここまでの快進撃はなかっただろう。そして今、桧山のようなベテランも活躍しだした。チャンスでいつもセカンドゴロ併殺だった桧山が、上原から決勝ホームランをかっ飛ばしてくれるなんてオレには信じられないぜ。
日本シリーズに出るには3位までに入ればいい。何もがむしゃらにリーグ優勝を狙う必要なんかないんだ。ここから後の試合は勝ったり負けたりの5分でいい。でも、そんなオレの心配をよそにきみたちタイガースの選手たちは残り試合も全力で勝ちにいくのだろう。なんてことだ。もう十分だ。オレはこんないい夢を見させてもらったことで十分なんだ。きみたちはよく戦った。この伝説のシーズンは、1985年や2003年の戦いにも劣らない素晴らしい一年として永遠に語り継がれるだろう。少なくともオレは決して忘れないぜ。
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