2007年08月14日(火) |
ヤクは元から絶たないとダメだ! |
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オレはいつも思っている。麻薬や覚せい剤を使った人間が検挙されるたびに「それはどこから手に入れたんだ!」「それを売ってるのは誰だ」ところがいつも捕まるのはせいぜい末端の売人止まりである。大きな組織がそこから壊滅に追い込まれるようなことはない。あの北朝鮮の工作船が東シナ海で日本の巡視艇に沈められた時でさえも、日本側の協力組織である暴力団がどの組だったのかは報道されることはなかった。おそらくそうした非合法な世界の利益はいつのまにかマネーロンダリングされてオモテの世界の資金に化けていて、今度は株取引の資金や政治家への献金に化けてしまうのである。だから麻薬や覚せい剤という悪は半ば野放しになってるのである。たまに誰かが見せしめのように捕まるが、それは運の悪い一部の不用意な薬物中毒者だけであり、大多数の巧妙な人たちは捕まることもなく一般人に混じって日常生活を送っているのである。
たぶん警察も本気で撲滅しようなんて思っていないだろう。トンボ鉛筆の社長も覚せい剤を使っていて検挙されてるが、今やこうした薬物は社会のあらゆる階層に広がっていて、普通の主婦や会社員、女子高生、警察官や自衛官、国会議員までありとあらゆる人たちがその顧客なのである。むしろ上流階級の人の方が、購入資金を潤沢に持つからバレないと言える。貧しいジャンキーたちはそのゼニを手に入れるために犯罪に走ることになり、検挙されるリスクが高まるからである。全人口に於ける覚せい剤の使用率はいったい何%くらいにまで上がってるのだろうか。もう0.1%くらいに達してるのだろうか。それらを扱うことでヤクザはいったいどれほどの売り上げを得ているのだろうか。
どうも大阪はそうした薬物取引の大きな中継点になってるようである。大阪南港に陸揚げされた後、それぞれの組織に流されるルートがどうも存在しているらしい。大阪には全国で唯一、一見さんが覚せい剤をその場で買えると言われる驚愕の場所が存在し、オレも何度かクルマで通りかかったことがあるが客と間違われて大変だった。いかにも覚せい剤を買いそうなオッサンに見えるのだろうか、オレのような善良な市民に向かって、指でサインを送ってくるのである。もしも警察がここでおとり捜査をおこなったらいくらでも売人を検挙できるのにと思うのだが。もしかしたら大阪府警は暴力団と何か密約でもあってそこでの販売を容認してるのではないかと思いたくなるほど公然と売買されているのだ。以前に作家の中場利一もここで覚せい剤を買って逮捕されていたくらいである。その場所をクルマで通過するとき、オレは絶対に売人たちと目を合わせないようにして速度をあげて一気に走り去ることにしている。
さて今回一挙に見つかったカナダ経由、建材に混ぜて輸入された覚せい剤、大麻、合成麻薬の押収量はなんと一年間の押収総量を上回ったという。ということは発見されて押収されてる量なんて全体のほんの一部であり、ほとんどは巧妙に税関をスルーして持ち込まれているということなのである。これって末端価格でいったいいくらなんだ。以下毎日新聞の記事を引用しよう。
大量薬物押収:昨年1年分上回る覚せい剤や大麻 大阪港で
大阪府警薬物対策課と大阪税関は13日、カナダから大阪港に入港した貨物船から陸揚げされたコンテナ内に、覚せい剤約155キロと大麻約280キロ、合成麻薬「MDMA」とみられる錠剤約68万8000錠計約206キロを発見、押収したと発表した。いずれの薬物も昨年1年間の国内押収総量を上回り、末端価格は総額約131億円相当。府警は中国人4人を覚せい剤取締法違反(営利目的所持)容疑などで逮捕し、背後に大がかりな中国系密輸組織があるとみて調べている。
調べでは、貨物船はカナダ・バンクーバーから先月20日に入港。大阪税関の検査センターで今月1日、コンテナごとX線検査し、コンテナ内の住宅用建材の束(高さ70センチ、幅245センチ、奥行き98センチ)七つの間に段ボール箱(高さ35センチ、幅45センチ、奥行き40センチ)が3箱ずつ挟まっているのを発見した。段ボール箱には薬物が入っていた。
府警と税関の合同捜査で、6日に建材が堺市北区の倉庫に運ばれるのを確認し、同日、倉庫内にいた中国籍の大阪市天王寺区生玉町、健康食品販売業、李欣容疑者(42)ら中国人男女4人を現行犯逮捕した。李容疑者は「中国の組織に受け取りを頼まれただけ」と供述している。李容疑者は昨年11月まで日本に短期滞在、先月23日に香港から再入国していた。木材の発送元はバンクーバーの会社で、大阪府内と神戸市内の2業者が輸入を仲介していた。
倉庫は日本人男性の名義で借りられていた。府警は倉庫内で、今回の建材以外にも、段ボール箱が既に抜き取られたとみられる同様の建材の束二つを発見。以前にも薬物が運び込まれていた可能性が高いとみている。【稲垣淳】
毎日新聞 2007年8月13日 20時44分 (最終更新時間 8月13日 21時45分)
オレが今回気になるのはこの4人の中国人に対して課せられる罰である。この4人、おそらく釈放されたとしたら組織の人間に「ヘタを打った」ということで殺されるだろう。押収されてしまった麻薬や覚せい剤の売り上げ金額はいったいどれだけになるのか。覚せい剤だけでも末端価格100億円分くらいの量なのである。それだけの収入が「押収」されてしまえば組織には入らないのだ。しかし、仕入れ先にはおそらくゼニを振り込まないといけないわけでその損失は計り知れないのである。(押収された場合はゼニを払わなくていいのかどうか、そうしたウラ社会のルールに関してオレは全くわからないので推測で語ってるのだが)
おそらく日本の裁判がこの4人に科す罰というのはせいぜい懲役10年くらいであり、組織内の私刑にくらべれば天国である。4人は完全黙秘して組織について一切語らずに逃れようとするだろう。そこで捜査は行き詰まるのである。この持ち込まれた大量の薬物を売り捌くためのルートとして暴力団が関わっていないはずがないのだ。ところが捜査はいつも末端にしか及ばない。この4人と司法取引を行って「組織の全容についてすべて話せば無罪にする」という条件ですべて語らせ、黒幕というか真の悪人をオモテに引っ張り出さないとダメだろう。真に死刑にするべき存在とは、麻薬や覚せい剤の流通組織のトップにいる人間なのだ。そいつを引っ張り出すことはかなり困難なことであり、もしかしたらその顧客が政財界に多数存在するために社会が大混乱するのかも知れない。それでもオレは日本社会から麻薬や覚せい剤を完全に排除するためには司法取引しかないと思っている。
司法取引の結果無罪になって釈放されたとしても、その後の安全まで警察は保証してやる必要はない。組織が裏切り者を消そうとしても守ってやらなくていい。それは悪の組織の内部の問題であり、警察が関与するべきことではないからだ。
覚せい剤について検索しているとこういう記事も発見した。
覚せい剤押収:末端価格14億円…3容疑者逮捕 警視庁
カナダから大量の覚せい剤を装飾用の石柱の中に隠して持ち込もうとしたとして、警視庁組織犯罪対策5課と東京税関などは31日、香港在住の自称会社役員、李●強容疑者(49)ら中国籍の男3人を覚せい剤取締法違反(営利目的所持)容疑で逮捕し、覚せい剤23.62キロ(末端価格14億1000万円)を押収したと発表した。押収量としては全国で今年2番目。
調べでは、李容疑者らは7月12日、関西国際空港の税関貨物検査場(大阪府泉南市)で、覚せい剤23.62キロを所持した疑い。園芸に使う石こう製の石柱5本(直径19センチ、長さ91〜115センチ)をくりぬいた中に隠されていた。【曽田拓】
●火へんに日の下に立
毎日新聞 2007年7月31日 12時18分 (最終更新時間 7月31日 12時42分)
どうやら北朝鮮や中国から直接輸入するというルートはかなりチェックが厳しくなってしまったために、今はこうしてカナダ経由で持ち込むというのが流行しているようである。しかも重くてかさばる建材の中に隠せばわかりにくい。それにしても輸入される建材といえばものすごい量である。その膨大な量の中からこうしてしっかりと覚せい剤や麻薬を発見して検挙する税関職員の働きには敬意を表したい。ただ惜しむらくはそうして検挙しても末端の運び屋しか捕捉できず、捜査がその上の大きな組織に及ぶことがほとんどないということである。オレはそのことが残念でならない。
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