2007年06月29日(金) |
大阪市の赤バスの悲劇 |
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大阪市内を赤バスと呼ばれるコミュニティバスが走っている。赤い塗装はくすんでいていかにも造りの悪さを感じさせるのだが、この車体は国産ではない。ボルボ関連会社でスウェーデンのオムニノーバ・テクノロジー社製造のマルチライダーというバスである。もう少しまともな塗装にしてくれよと思うのだが、きっと安物なんだろう。(といっても一台2000万円するらしいが)ちなみにこのオムニノーバ社は倒産してしまい、マルチライダーの製造は終了している。とにかく故障が多くて維持費が高く、なんでこんなクソバスを買わされたのかというようなひどいシロモノらしい。オレは一度しか乗ったことはないが、ひどい塗装を見ればクソということはよくわかる。
運賃は100円均一で、運行しているのは大阪市交通局ではなくて大阪運輸振興となっている。2000年5月20日に試験的に5路線での運行を開始。2002年1月27日に21路線で本格的な運行を開始している。オレはこのバスがいつも乗客ゼロで走ってるのによく遭遇する。はっきり言ってほとんど利用されていないのである。じゃあなんのために走らせているのか。それは定年退職後の市交通局職員の雇用確保である。給料の安い大阪運輸新興という別会社を作って、そこで給料はかなり減るがとりあえず退職後も働けるようにしたわけだ。自分たちの福利厚生が目的だったわけである。
オレが「誰も乗っていない」と思ったとおり、ほとんど誰も乗っていない。2002年7月における全路線の1便あたり乗客数は16.1人/便となっている。運賃が100円だから1便で1600円しか稼げないのである。どう考えても赤字である。なんでそんな意味のないものを走らせてるのかとオレは思ってしまう。まあ「雇用対策」という理由でこんなもんを走らせてるのならば、客がなくてもかまわないわけだが。
この存在価値のない赤バスに関して、大阪市は、乗客数、営業キロ、走行キロ、在籍車両数、料金収入、補助金額、委託先の社長名、事業内容、従業員数、など一切のデータの公表をしていないらしい。いったいどれほどの赤字を垂れ流し、どれほどの補助金がつぎ込まれ、どれだけの客が実際に利用してるのか全く公表されていないのだ。その理由は自治体側には公表の義務がないかららしい。(乗客に関しては7000人/日という推計もあるが)。
誰も客を乗せずに赤バスは市内をドライブして回る。客がないとは全く気楽なものである。それでも運転手は給料がもらえる。赤字は大阪市が補填する・・・というか大阪市の補填がないとこんなものやっていけないに決まってるじゃないか。いったいどれだけ税金が無駄に費やされてるか、オレはそれが不思議でならないのである。
JRの赤字ローカル線を第三セクター化したり、バス転換したりして維持しようとするのはその路線が地域社会にとって必要だからである。さて、赤バスはこれまで市バスの路線のなかったところを中心に走っている。大型バスではカバーしきれない公共施設や病院と駅などを結んでいるのである。しかし、路線がなかったということはそもそも需要がほとんど存在しなかったからではないのか。その需要がないところにバスを走らせれば需要が生まれるかというと、やはり需要は存在しないわけで空っぽのバスが空気を運んで走るだけのことなのである。なんでそんなものを走らせるのかとオレは不思議なのだ。そこでこのバスが「定年後の雇用確保」という役割も果たしていることにオレは思い至るのである。そんなことのために大阪市はまた借金を増やしていたのかと。
オレがよく帰りに寄り道する地下鉄田辺駅近くのたこ焼き屋のそばにこの赤バスは時々駐まっている。時間調整のためかかなり長時間駐まっている。乗客はいない。そして誰も乗らないままに発進していく。塗装のくすんだその後ろ姿を見送りながら「無駄だなあ」とオレはあきれる。
赤バスの実態はいずれ明らかになってマスコミから叩かれることになるだろう。このままならこれからどれだけ赤字を重ねるのかわからない。確かなことは数年先か十数年先にこのコミュニティバス事業は巨額の借金のために崩壊するだろうということだけである。大阪市民ではないオレには無関係な話で、そんな借金は大阪市民が頭割りで負担すればいいかと思うのだが、それにしても大阪市は借金を増やすことの天才である。破産するのはいつだろうか。近々そういう運命が待っていそうでオレは少なからず期待してしまうのである。どんなときもオレは単なる野次馬だからだ。
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