2007年04月26日(木) |
野球で特待生でもエエじゃないか! |
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日本高校野球連盟は学生野球憲章に抵触するとしてスポーツ特待制度を禁止している。このルールがどこまで拘束力があったのかわからないのだが、現実に多くの野球名門校にはスポーツ特待制度が存在していた。その中にはPL学園、東北、済美など甲子園大会にたびたび出場する高校ももちろん含まれていたのである。有力な選手をかき集めるためにはスポーツ特待制度は不可欠のものであり、公立高校以外の私学の甲子園常連校は全部、選手はスポーツ特待で集めてるモノだとオレは思っていたくらいなので、今回のルールの厳正な適用によって多くの学校が処分を受けることにオレは違和感を感じている。
野球をするにはお金がかかる。息子がプロ野球選手を目指している親の金銭的負担は大変なモノである。イチローのように毎日のようにバッティングセンターに通ってトレーニングに励むためにはどれほどゼニがかかるだろうか。そして栄養のバランスの取れたお弁当をいつも用意したり、チームの監督や部長の先生にお中元お歳暮を贈ったりとなかなか大変なのである。そんな中でスポーツ特待制度によって奨学金を受けられるのならば、どれほど親たちの負担は軽減されるだろうか。自分ががんばって野球の実績で認められることで、親を少しでも楽にしてあげられると練習に励む選手もいるはずだ。そのどこがいけないのだろうか。
学校側が成績優秀な生徒に奨学金を出すことは全く問題ないのだという。スポーツで実績を残すこともそれと同じくらいに価値あることではないのか。鍛える部位が脳であるか肉体であるかの違いだけで、オレはその両者にさほどの差があるとは思えない。スポーツの世界で頂点を目指した人たちの中には一個の人間としても素敵な人格者たちが多い。ヤクルトの古田監督や阪神の星野SDなどを見れば明らかだろう。それは厳しいトレーニングやスポーツを通じて築かれる人間関係がその人を成長させるからである。その努力を金銭的に最小限サポートすることがなぜそれほどまでに問題視されるのだろうか。
2004年春の選抜で初出場優勝した愛媛県の済美高校では野球部員に月額2万円の奨学金を支給しているという。昨夏の甲子園ベスト8の福知山成美高校は「クラブ特技制度」として野球部だけではなくすべての運動部員を対象に授業料の全額または半額を免除していた。この場合野球部だけダメということになればかえって不公平である。金額にしてせいぜい年間20〜30万、全額免除でも高くて70〜80万だろうか。その程度のゼニがどうだというんだ。学校にとってそれを広告宣伝費と思えばちっとも高くない金額である。その生徒たちの達成した実績が生徒募集に役立つわけで、いわば先行投資なのである。
また選手たちは法外な金額を得ているわけでもなく、本来支払わなければならないゼニの一部が免除されているだけで、それによって巨額のあぶく銭を得ていると言う構造ではない。もしも経済的に困窮している家庭に生まれれば、いくら甲子園常連校に行きたいと思っても私学に入るだけのゼニがない。あきらめて甲子園とは縁遠いが学費の安い公立高校に行くことになる。いくらプロで活躍できるだけの素質や能力があったとしても、そのまえに存在すら知られずに終わってしまうことになる。
今回、高野連は一切の金銭の提供を禁じる方向で処分を行うようだが、その一方で野球以外のスポーツにおいてはそうした行為を禁じるルールがない。同じ高校の部活動でありながらこれでは現場も混乱するだろう。どうしても野球ではだめだったら、例えばその生徒をバスケット部やバレー部に在籍することにしてスポーツ特待生にしておいて、実際は野球部に所属しているという裏技はどうなんだ。でもこれはバレるとかなり週刊誌とかで叩かれそうである。
さて、ルールを厳正に適用し、ルール違反をしていた学校を対外試合出場停止にするとしよう。駒大苫小牧、横浜、大阪桐蔭、広陵などの今年の春の選抜出場校では、その奨学制度の枠で野球部員が授業料などの免除を実際に受けている。これをいきなり廃止にしてしまい、ルール違反していた学校を大会に出場させなかったとしたら、有力校がほとんど参加できないカスみたいな甲子園になってしまう。そして弱小チームだけの寄せ集めの退屈な甲子園がやってくることになる。そんなものつまらないじゃないか。
勉強の得意なヤツはしっかり勉強しろ。三度の飯よりも野球の好きなヤツは野球にとことん打ち込め。エラ呼吸してるのかと思われるほど水の中が好きなヤツは水泳で金メダルを目指せ。それが「個性重視の教育」ではないのか。その能力に応じてその能力を鍛え、伸ばすことができる場所がちゃんと用意されていること、それが「教育の機会均等」ではないのか。
野球で特待生でもいいじゃないか。そうやって選ばれるのは本当に一握りの特別な人たちだけだ。彼らに対して、体力にも素質にも恵まれなかった我々は素直に敬意を表するべきだろう。今回の件で高校側は制度の廃止や自粛という流れになっていて、高野連に堂々と刃向かって論戦を挑もうという輩はどうもいないようである。それはオレにとってつくづく残念なことなのである。大人たちが私利私欲のためにゼニをばらまいてきたことの尻ぬぐいが、こんな形で高校球児たちやその両親に負わされる理不尽さにオレは納得できないのである。
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