2007年04月19日(木) |
バージニア工科大学乱射事件についての私見 |
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間違った情報に基づいて書いた部分を一部修正いたしました。読者の皆様を混乱させてしまったことをお詫びいたします。
アメリカのバージニア工科大学で起きた韓国出身学生による銃の乱射事件はなぜ起きたのか。事件を起こした学生が、女子学生をストーカー的に追い回していたことや、周囲から孤立していたことなどもわかってきていて、「女に振られたことでヤケになった馬鹿が暴発した単純な事件」と言う結論に落ち着きそうなのだが、米国社会の韓国人排斥運動にもつながりかねない状況である。オレは今回の事件を起こした学生の国籍がどこであるかはこの際無関係だと思う。最大の原因はアメリカという国家の持つ銃社会としての性格(憲法で保障されている)であり、市民が比較的簡単に殺傷能力の高い銃を購入できるということである。
アメリカでは年間に約1万3000人の人が銃で撃たれて死んでいる。これは日本の交通事故死者の2倍近い数字である。銃で撃たれて死ぬということはアメリカ社会では珍しくも何ともない極めてありふれた日常的光景なのである。おそらく全米のどこかで毎日殺人事件が起き、射殺された犠牲者が発生しているのだ。今回の乱射事件で33人の犠牲者が出たというが、アメリカでは一日平均35人の人が銃で撃たれて死んでいるのである。オレが感じる欺瞞性はそこにあるのだ。ブッシュ大統領もそしてアメリカ国民も、今回の事件に哀悼の意を表明することはあっても問題を根本的に解決しようとは考えていない。アメリカが銃社会であるという現実を変えようとはしないのである。今後もこのような事件はきっと起こるだろうし、米国憲法が国家の根幹として銃を受け入れる社会であることを規定している以上、この事件はやはりアメリカが生み出した事件であると言うしかない。身近な武器に対して鈍感だから、核兵器のような「身近でない武器」に関しても米国は平気なのである。つくづくあきれてしまうぜ。
今回の事件に関して、全米ライフル協会では「バージニア工科大学では銃の所持が禁止されていた。もしも学生が銃を携帯していればこのような悲劇は防げた」という意味のコメントを発表したらしい。なんともふざけた発言である。こんな発言を平気で出来る連中がアメリカの政治を動かし、イラクに侵略戦争を仕掛けるのである。日本はそんな情けない国の同盟国であることを恥じるべきであろう。
中国の春秋時代、斉の政治家晏嬰が楚国に使者として赴いたとき、楚王は盗みをして捕まった斉国出身の男を連れてきて「斉人は盗みをするのか」と晏嬰に問う。すると晏嬰は「その男は斉にいるときは盗みをしなかった。楚に来てから盗みをするようになったということは悪いのはその男ではなくて楚の国である」というやりとりがあった。今回の乱射事件を起こした韓国人の学生がもしも日本に留学していればどうなったのか。彼がそのような行動を取ったのは、銃社会であるアメリカに来て、その風潮に影響を受けたからではないのか。宅間守は包丁という殺傷道具を用いて、大量殺人可能な幼い子どもを狙った。もしも彼が銃を手に入れていれば、別に子どもを相手にするのではなく大人相手に無差別テロを行ったような気がする。
もちろん私は加害者の学生を弁護する気は全くない。無差別に人を殺すような人間には生きている資格はない。もしもこの事件を起こしたのが日本人ならば、その学生の両親は「世間に迷惑を掛けて申し訳ない」と自殺したかも知れない。息子がこのような事件を起こしてしまい世間に申し訳ないということである。そうした文化は日本だけのものなのかも知れず、日本以外の国で同様の事件が起きたとしても親が「世間にお詫び」するとは思えない。「息子は息子、わたしはわたし」という価値基準で行動するような気がするのだ。この学生の両親はいまどんな気持ちでいるのだろうか。
浮気をしていた妻が帰宅して現場を発見した夫に向かって「レイプされてるのよ」と言い訳して、夫はその浮気相手の男性を射殺したという事件がアメリカでは起きている。人を安易に殺せるというのはこのようなことである。オレがかつて教えた生徒たちの中にアメリカ社会で今暮らしている人が何人もいる。彼らがこのような痛ましい事故の犠牲に合わないことをオレは切に願う。こんなことに巻き込まれて死ぬことほど無念なことはない。よりよく生きようと思っていても、その生は時にこんな理不尽な形で奪われてしまう。今回バージニア工科大学で亡くなった学生さんたちの冥福を祈ってオレも祈りを捧げたい。
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