2007年03月31日(土) |
オムライスも満足に作れない店 |
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その日オレは河内松原の駅ビルの地下にある近商ストアで買い物をしていた。この駅ビルにはオレが高校生の時から店主と顔なじみの正文堂という本屋も入ってるし、ユニクロも100円ショップのダイソーもあってなかなか便利なのである。しかも近商ではクレジットカードが使用できる。そういうわけでカードのポイントをせこく貯めたいオレとしてはわずか100円の買い物であってもクレジットカードを使ってしまうのである。ところが久しぶりに来たその近商では、いつのまにかレジの位置がずいぶん移動して、売り場面積が広がっている。なんのことはない、同じフロアにあった専門店街が壊滅して、その空きスペースにスーパーの売り場が広がってきているだけなのである。そこにかつて存在したケーキ屋とか駄菓子屋とか天ぷら屋はいつのまにか姿を消してしまっていたのだ。やっぱりこういう場所はテナント料が高すぎて採算が合わないのだろうか。
オレはいつものようにお弁当や総菜のコーナーを眺めていた。何かおいしそうなものがあればと思って店内を旋回していたのである。ふとオレは目の前に並べられたオムライスを見て仰天した。なんと、そこに並べられているオムライスには一つとして満足な形のモノがない。みんな切腹して無惨にはらわたを露出してるのである。ライスを包んでいる卵焼きの部分が大きく裂けていて、中味のチキンライスが無惨にもはみ出ているのだ。それが一つだけなら「単なる失敗」とオレは判断しただろう。しかし、そこに置かれている6個すべてが無惨にも切腹してるのである。これはいったいどういうことだろうか。
まず考えられることはこの6個が売れ残りであるということだ。時間は夕方の5時頃であった。そうすると昼間に陳列したものの中で見栄えの悪いものだけが売れ残り、それが今目の前に存在する6個であるということである。もともとはそこには30個のオムライスがあり、そのうちの6個が切腹オムライスならば切腹率は20%しかなかったということになる。5回作ってそのうち一回失敗する程度ならまあ許されるだろう。ところが客の方はやはり形の整ったオムライスを買い求めることになる。その結果時間が経つにつれて不細工な形状のモノばかりが残存しているということになる。
しかし、そもそもその程度の規模のスーパーでオムライスを30個も作るだろうか。そんなに作ってもほとんど売れ残ってしまうのではないか。だとすると最初から切腹したオムライスをわざと作っているのだろうか。あるいは今日初めてオムライスを作るという作業をした人がことごとく失敗したのだろうか。オレは中でもひどい状態のものを見ながら「いくらなんでもこれはないだろう」と思った。それはもはやオムライスとは到底呼べず、チキンライスの脇にスクランブルエッグが添えてあるだけの料理に見えたのである。そんな無惨なモノをいったい誰が買うだろうか。こんなものに「オムライス」というシールを貼り付けて売ってること自体がそもそもオムライスという文化に対する冒涜である。
オレはオムライスが好きだ。何軒かお気に入りのオムライス屋がある。「北極星」や「明治軒」はオレのよく行く店である。最近では「ポムの樹」にも行くようになった。そんなオムライスをこよなく愛するオレにとって、この切腹オムライスは断じて許せないのである。たとえスーパーの売り場に並べてあるオムライスであっても、やっぱり見栄えにも気を配って欲しいのである。どうせ398円だからと妥協はして欲しくないのだ。オレがそのスーパーの店長なら「どうしてちゃんとした形のを作らないんだ!」と叱りつけていただろう。
オレはヨーグルトでも買おうと思って別の棚を見ていて今度は「まったりプリン」というものを発見した。なんとその小さなプリンは367円もしているのだ。これは「ふらの牛乳プリン」よりも高いのである。あの評判の「実身美の豆乳プリン」よりも高いのである。そんなに高いものならおいしいのだろうかと思ってオレは買ってみた。一個だけだ。さすがに367円のプリンを2個も3個も買うわけにはいかなかったのである。帰宅してさっそく食べてみた。一口食べてびっくり!なんて濃厚な味なんだ。オレはそのプリンがなぜ小さな容器に入っていたのかわかった。これで量が多かったらちょっと苦しいかも知れない。この味はちょっとしつこすぎるぜと、オレはグリコのプッチンプリンの何個でも喰えそうなあのあっさりとした味がなつかしくなったのである。やっぱりオレはただのB級グルメであった。
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