2007年03月17日(土) |
20XX年、東証が滅びる日 |
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利益を150億円水増しするという粉飾決算を行って500億円の社債を調達した日興コーディアルグループがなぜか上場廃止にならず課徴金5億円だけでOKという驚愕の発表があった数日後、日興コーディアルグループに比べればはるかにみみっちい額の粉飾決算の疑いで強制捜査を受けて会社をめちゃめちゃにされた堀江貴文被告には、証券取引法違反(偽計・風説の流布、有価証券報告書の虚偽記載)で懲役2年6月(求刑・懲役4年)の実刑判決が言い渡された。山一証券、カネボウなど過去に多くの企業が粉飾決算などで上場廃止になったが、その責任者が実刑判決になったことはない。今回の判決は極めて異例である。この不公平な扱いは、改めて日本の証券市場の歪んだ実態を世間に知らしめた。粉飾決算という株式を公開する企業にとって絶対に許されない行為に対する処罰が日本に於いてはきわめて恣意的に行われ、政治家と癒着してる一部の企業においてはルールなど存在しないも同然という現実を世界の投資家たちは知ることになったのである。
「閑話休題」(オレは裁判の量刑というのはあくまで「犯した罪」に比例するモノであると思っている。反省してるから罪が軽くなるとか言う考えには反対だ。たとえば殺人犯がふてぶてしい反応を示したから死刑、嘘泣きの涙を流したから懲役15年なんてことはあってはならないと思う。今回堀江被告は「反省していない」という悪印象を裁判官に与えたことが量刑のひとつの基準になってるらしいが、簡単にウソの涙に惑わされる馬鹿裁判官こそがオレは有害だと思っている。真の悪人はおまえらの理解を超えた世界に居るんだ。)
3月15日付「きっこのブログ」では、今回の日興コーディアルグループに対する処分の甘さの理由の一つとして、有村前社長と安倍晋三総理の関係について触れている。もしもそのようなやりとりがあったとすれば、一国の総理が個人的な理由から犯罪を看過しているわけで断じて許すことは出来ない。耐震偽装が1年近くも隠されたままだったアパホテルやアパマンションの場合も、アパグループの会長が安倍晋三首相の後援会の副会長だったといいう事実を考えればひとつの説明はできる。総理の権力で捜査に手心を加えるように頼んだのだというふうに。
政府首脳というのは基本的にボンクラばかりであるから、これから先に起きる最悪の事態に対して想定しておくことなんて誰もできやしない。あの太平洋戦争の時だってそうだ。戦争が長引けばどういうことになるのか。日本が空襲されたらどうなるのか。そんなことを開戦前に想像することの出来た政治家など皆無だった。あろうことか日本がアメリカまで攻めていって勝利すると思っていたくらいである。そして、自分たちの愚かさのために国民にどんな犠牲を払わせてもどんなに国民を苦しめても、その責任が自分にあるなどとは思っていない。そんな無責任な連中が政治家であり官僚どもなのだ。
いまもしもアメリカの著名な証券アナリストの誰かが「粉飾決算がまかり通っていて、上場廃止されることもなく単なる罰金で済むような不公正な市場では資金を運用しない方がいいですね」と発言すれば、世界中の投資ファンドは一斉に東京市場から資金を引き揚げるだろう。それだけでは済まない。日本株に強烈な空売りを浴びせてくるだろう。空前絶後の大暴落が発生するのだ。世界同時株安の余波による暴落の後、17000円台をなかなか回復できない日経平均は、この発言によって半値くらいまで売りたたかれることは確実だ。株価が半値になってしまえば、日本の個人投資家の多くは壊滅的な打撃を受けることになるだろう、日本企業がこれまで世界で築いてきた信頼もまた失われることになるかも知れない。
ただでさえ株式相場に影響を与えるネガティブな要因が重なった今、このような不公正な判決のもたらす影響をオレは限りなく怖れているのだ。オレは東証がまともな世界だとは思っていない。単なる鉄火場だ。そしてそこはイカサマ賭博がやり放題になっている。例えば今日丸紅によるTOBが発表されたムトウ(8005)の値動きは非常に怪しかった。それまでほとんど値動きがなかったのに1時近くなってから急騰、大きく動き出した時にこのようなニュースが流された。
ムトウ 608 +96
急騰。丸紅と資本・業務提携について3時に会見と報じられている。TOB期待な
どを背景に、短期資金の思惑物色の動きへ。(FISCO)
TOBによって株価が暴騰することを期待した投資家たちは我先にと買い注文を出し、ムトウの株価は一時ストップ高の612円をつけた。なぜか上方修正のニュースも流れた。今思えばそれらすべてが個人投資家をはめ込むために仕組まれた罠だったのだ。飛びついた投資家たちはみな、肝心の情報を忘れていたのである。つまり、TOBされるとしたら価格はいくらであるかということだ。その企業に高い成長性があってどうしても欲しいという場合には高く買われる訳だが、必ずしもそうであるとは限らない。自力再建が難しいので創業者一族が会社を投げ出して大資本(大和ハウス)に拾ってもらおうとしたエネサーブ(6519)のような場合もある。エネサーブの場合のTOB価格はその時の時価603円に対してわずか61%に過ぎない368円だったのである。
混乱を回避するために東証は一時的にムトウ株の取引を停止した。確実な報道があるまで取引は中断され、ヤフーの掲示板ではムトウ株を買っていたホルダーたちが狂喜乱舞して勝利宣言していたのである。
次にながされたのはこんなニュースだった。
ムトウが午後2時40分まで売買停止――丸紅に第三者割当増資、筆頭株主に
ムトウ<8005.T>が午後2時40分まで一時売買停止。同社はきょう16日午後2時10分、第三者割当増資による210万株の新株式発行を発表、丸紅<8002.T>が筆頭株主になると発表した。この発表により、ムトウは一時売買停止となっている。
株価は一時100円ストップ高の612円まで買われていた。
[ 株式新聞ニュース/KABDAS−EXPRESS ]
提供:(株)株式新聞社 (2007-03-16 14:24)
2時40分を過ぎて取引が再開されると、現在の株価に対して安すぎる470円という新株の発行価格を嫌気して投げ売りが出て、結局売り気配のまま寄りつかずに引けたのである。ニュースに飛びついてムトウ株を買った投資家たちは天国から地獄へ突き落とされた。一瞬の歓喜は直後に落胆に変わった。彼らのどこに落ち度があるのだろうか。投資は自己責任だという。しかしこれは悪質な投資家に対する「はめ込み」であり、詐欺行為であるとは言えないだろうか。報道後の一瞬の上昇を見越して株を売却し、しかも空売りを仕掛けていたインサーダーたちが多数存在したことは、その日の信用取り組みを見ても明らかである。なぜ東証はこの連中に対して証券取引法違反の容疑で調査を行わないのか。その中に政治家などが含まれてるからタッチしないのか。あまりにも疑惑の根は深い。来週になればムトウ株はどれほど下げるだろうか。おそらく増資価格である470円まで一気に下落していくだろう。
今回の事例でオレが許せないのは、発表されたムトウ株に関する二つのニュースの時間差である。TOBやそれに類する企業価値を高めるようなニュースを先に出して個人投資家にしっかりと買わせておき、ほどよく株価が上昇したところで今度はマイナスの材料をわざと報道したのである。たちまち暴落するが、タイミングを分かっている側は巨利を得ることが可能だ。てめえら、なんて汚いんだ。どうしてこんな不公正がまかり通るんだ。可哀想なのは報道の中味を十分に理解できずに「TOB」の連想だけで飛びついてきた参加者である。
東証のこの欺瞞性が世界に伝われば一体どうなるのか。フェアじゃないことがわかっている市場でどうやって世界の投資家たちは資金の運用ができるのだろうか。オレは激しくそれを憂えるのだ。この事件を知った海外の証券アナリストたちはそれに対してコラムを書いたり情報を交換したりしてたちまち世界に広めるだろう。そして世界中の投資家たちが東証をアンフェアな市場と判断して見限ったとき、それまで外資の買いに支えられてきた東証は一気に崩壊し、日経平均は5000円台まで落下するだろう。それによってどれほど多くのモノが失われることになるかは予想もつかない。そんなひどいことになるんだったら日興コーディアルグループだけつぶしておけばよかったと誰もが思ったとき、すでに事態は手遅れになってしまっているはずである。たかだか時価総額1兆5000億円のヘタレ証券を守るために、失われる金額が100兆にも200兆にもなるとすれば、今回の判断の責任者は死刑にされても文句は言えないだろう。個人でその金額に対して責任を負える人間などいるのか。もしもオレがゴールドマンサックスやモルガンスタンレーのような外資のファンドマネージャーをしていれば、そのネタで世界中に日本株売り崩しを呼びかけるに決まってる。日興のイカサマによって日本経済が壊滅し、滅びる姿を高みの見物することになるだろう。もしもそんなことになればいったい何十万人の自殺者が出てしまうだろうか。想像力に欠けた連中には全く見えていないようだが。
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