江草 乗の言いたい放題
コラムニスト江草乗の日記風エッセイ クリック募金にご協力お願いします。

日記目次(検索可能)前日翌日 エンピツ投票ランキング  江草乗の写真日記  ブログ  お勧めLINKS  

ご愛読ありがとうございます。「江草乗の言いたい放題」は読者100万人を目指す社会派コラムです。一人でも多くの方が読んでくださることで、執筆意欲は倍増します。ぜひ、お友達に勧めて読者数UPにご協力ください。掲示板へのご意見の書き込みもお願いします。

2007年02月05日(月) フィリピンに行けば腎臓が買えます        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 重い腎臓病で人工透析を受けている患者数は2005年現在で約25万人いることになっている。この人工透析に掛かる費用はすべて保険医療の適用になっており、患者はすべての医療費が無料になっているそうだ。(ちなみにその医療費は年額1兆5000億円ほどになるらしい)いくら無料とはいえ、週2回や3回の透析に数時間拘束されるのは患者にとってかなりの負担であるし、また透析患者の10年後生存率も4割ほどであると言われる。透析を不要にする唯一の方法は腎臓移植を受けることだが、日本では提供者が少なく、また死体腎の供給数も少ないために順番待ちしてもなかなか当たらない。

だったらどうすればいいのか。宇和島徳洲会病院で病気摘出の腎臓を移植用に使っていたことが明らかになり世間の批判を浴びたが、だったら移植手術のために中国やフィリピンに行き、そこで闇で売買される臓器を移植してもらえばいいのか。移植用の臓器のために殺される人もいる国で、自分の命や健康のために勝手に他の人を犠牲にしてもよいわけがない。そんなことをオレが思っていると、オレの想像を超えたニュースが飛び込んだ。

比が腎臓売買を公認へ、闇取引対策で年内導入目指す2月2日9時29分配信 読売新聞
【マニラ=遠藤富美子】フィリピン政府は、腎臓移植を希望する外国人患者に対し、一定の条件を満たせば腎臓提供を認める新制度を導入する方針を固めた。
 闇で横行する臓器の国際取引を事実上公認するもので、10日に保健省が公聴会を開いて各界の意見をくみ上げた上で、今年中の制度実施を目指す。外国人を対象とする政府公認の臓器売買は世界に類例がなく、実際に制度運用が始まれば移植待機者が1万人を超す日本から患者が殺到することも予想される。
 新しい生体腎移植制度案は、外国人患者に〈1〉腎臓提供者(ドナー)への生活支援費〈2〉別のフィリピン人患者1人分の移植手術代――を支払わせるのが骨子。ドナー生活支援費などが1万2000ドル(約144万円)、フィリピン人患者の移植代が円換算で96万〜120万円相当とされ、外国人患者の手術・入院代とあわせ、外国人患者は総額5万ドル(約600万円)を支払うことになる。仕組み全体は政府が管理し、ドナーは民間のドナー支援団体「腎臓財団」を通じて生活支援を受ける。


 この仕組みを利用すれば日本での腎臓移植待機患者は、600万円払えばフィリピンで腎臓移植を受けることができるわけだ。オレは最初に書いた医療費1兆5000億円のことを考えてみた。もしも25万人の透析患者全員がこの仕組みを利用してフィリピンで手術を受けた場合、それに掛かる費用は600万円×25万人=1兆5000億円になる。これは全額無料になっていて保険から支出されてる医療費の総額にほぼ等しい。極端な話だが、この手術費を保険適用にしてしまって、透析患者全員をフィリピンに送ってしまえばそれで医療費負担は発生しないことになってしまうのだ。年々膨らむ医療費の総額を抑制する方法として、これはかなり効果を上げることになるが、むちゃくちゃな手段である。

 腎臓は二つあるから一個を取っても生活に支障はないという。しかし、二つの臓器が分担しあって仕事をしてるのを、一個がなくなったから残る一個ですべての仕事をやらせることが果たして大丈夫なのかと考えるとオレは大いに不安だ。自分が仮に提供者になるとしたらそれは妻やわが子が重い腎臓病になった場合くらいであり、いくらゼニをもらっても赤の他人のために貴重な臓器を与えたくはない。しかし、それがたとえば法外な金額で取引されているとしたらどうだろうか。もしも腎臓を売り飛ばしたことで得られる金額が10億円とかなら、いくらオレが「健康はゼニには換えられない」とここできれいごとを語ってるとしてもちょっと心が動く。1億なら安いと思うが10億ならもしかしたら売るかも知れない。

 その金銭感覚は人によってかなり違うだろうし、生活に困っていて明日食う米も買えないような貧困に喘いでいれば、それがわずか10万円でも売りたいと思うかも知れないだろう。フィリピンの物価は日本と比較して1/5から1/10くらいらしい。そうするとこの生活支援費というのは日本の物価に換算して720〜1440万円くらいに相当するとうことになる。果たしてその金額であなたは自分の腎臓を売るかと言われれば多くの日本人はどう答えるだろうか。

 オレは基本的に臓器売買に関しては反対の立場を取る。オレが売り飛ばしてもいいと思うのは凶悪犯罪者の臓器だけだ。無期懲役にされるような凶悪犯罪者や飲酒運転で多数の人を殺しても反省しないクソ野郎は基本的に死刑にしてもいいとオレはいつも思ってるし、そういう人間を刑務所に入れて税金で3食昼寝付きで面倒を見てやることほど納税者を馬鹿にしたことはないと思っている。多くの凶悪犯罪の被害者にとって、その被害の賠償などはほとんどなされていないのが現状である。その賠償を可能にするのがオレは臓器売買だと思っている。

 死刑囚が出れば絞首刑なんて残酷な方法ではなくてちゃんと全身麻酔して、その利用できる臓器や皮膚、骨などすべてを必要とされる人に与えた上で静かにあの世に逝ってもらう(というか消滅してもらう)ことにして、その時に臓器をもらった人に対価を払ってもらう。心臓は500万とか腎臓は一個250万、角膜は100万とかいうふうに値段を付けていけば、人間一体分でなんとか3000万円くらいにはなるだろう。殺された人の補償には遠く及ばないが、それでも全然取れないよりはマシである。世の中の役に立たないから死刑判決を受けた凶悪犯を、最後にお役に立てさせるという点でもこの案に共感する人は多いのではないか。「そんなヤツの臓器は要らない」というきれいごとが言えるのは、臓器移植でしか治せない病気で自分や家族が苦しんだことのない人だけである。

さて、国策として自国民の臓器を売ることを決めたフィリピン政府の英断、果たして諸外国はどのように判断するのだろうか。600万という金額は高いのか安いのか。そういえば昔、帝人が家庭用の人口透析機を開発していたがあれはその後普及したのだろうか。一台あたりの金額はそれくらいだったと思うのだが。


↑エンピツ投票ボタン。押せば続きが読めます。登録不要です。投票ありがとうございます。←国内でドナーを確保すべきだと思う方は投票をお願いします。


My追加
江草乗の言いたい放題 - にほんブログ村

前の日記   後の日記
江草 乗 |ファンレターと告発メール   お勧めSHOP エンピツユニオン