2006年12月26日(火) |
ハメこまれた人たち10 |
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12月18日、証券大手の日興コーディアルグループは2005年3月期決算で子会社間に生じた利益を計上しながら損失は計上しないという利益の水増し、いわゆる粉飾決算を行って実際よりも150億円多い利益を計上していたことが報道された。ライブドアの粉飾決算の金額の実に10倍である。東証はこの件に関して一部上場の日興コーディアルグループの監理ポスト入りを発表し、マネックス証券は信用取引に於ける日興コーディアルグループの、信用保証金代用有価証券としての掛目の引き下げを発表した。それまでの80%から0%の引き下げである。
この代用掛け目0%というのは、昨年のライブドアショックの直接の引き金になった措置である。これによって日興コーディアルグループ株を担保にして信用取引をしている個人投資家の投げ売りが発生し、株価の暴落が起きるはずだった。事実翌12月19日には売り注文6100万株に対して買い注文がわずか88万5000株しかなく、前日の1419円からマイナス200円の1219円(ストップ安)で引けたのである。そのまま数日間はストップ安を続けてもおかしくはない勢いだった。殺到する5000万株の売りを買い支えることなど不可能なはずだった。金額にして500億円を超えるのである。
翌20日も寄り付きから5000万株を超える大量の売り注文が殺到し、寄り付き前の気配値はジリジリと下がった。ストップ安の1019円で寄りつくと誰もが予想したその時、突如大量の買い注文が発生して1099円(マイナス120円)で寄りついたのである。ありえないことだった。誰がそこで買い支えたのか?これは永遠の謎である。
日経平均の採用銘柄225の一つであり、時価総額1兆円を超える日興コーディアルグループがそのまま暴落すれば、ここまで高値圏を維持してきた日経平均も一気に崩れることが確実な状況であった。証券会社が協力して買い支えたのか、あるいは政府がPKOを発動して株価を無理やりに維持させたのかはわからない。とにかく500億円を超える資金が突如出現して買い支えたのである。そして、寄りついたところから一気に日興コーディアル株は反発を開始したのだ。このまま下げ続けるだろうと予想した個人投資家はこの日大量に空売りで参戦してきたのだが、彼らの多くはこの日の寄り付きの1099円、つまりチャートの一番底にあたる位置で空売りを入れてしまったのである。なんという悲劇だろうか。彼らは値上がりした日興コーディアル株を必死で買い戻して損切りしなければならなかった。
そこからいったん1188円まで89円も上昇した日興コーディアル株は結局1155円の終値で引けた。翌21日は1237円(+82)、22日は1259円(+22)、掛け目ゼロになる25日も1270円(+11)と一貫して上昇したのである。当然下げるものだと思って空売りの準備をしていたオレにはこの動きは全く信じられなかった。
なぜ糞食、いや粉飾決算という同じことをしてライブドアはぶっつぶされ、日興コーディアルは「一個人のミス」ということで不問に付されて社長の辞任と課徴金だけで済まされるのか。両者の扱いにこれほど大きな差があるのはなぜか。粉飾決算は上場企業にとって絶対に許されないことである。我々投資家は決算の報告を見て投資の判断を下すのである。そこにウソがあったら何を投資の尺度にすればいいのか。
虚偽の報告をする企業に対して、東証は過去に上場廃止の処分を断行してきた。カネボウが上場廃止になったのも、債務超過のミサワホーム九州がいずれ上場廃止になる予定なのも厳密にルールが適用されているからである。しかし日興コーディアルだけはどうもそうでない動きをしてるのだ。また多くの個人投資家がこのイカサマに気づき、本来売られなければならない日興コーディアルを逆に買ってるのだ。なんてことだ。オレにはこのイカサマは断じて許せない。どうしてこんなに扱いが違うのか。ホリエモンよ怒れ!ここで日興コーディアルが「お咎めなし」や「5億円という軽い罰金」で済むのなら、なぜ堀江は証券取引法違反で求刑4年なんだ。あまりにも差がありすぎるじゃないか。
おそらく東証の関係者は「上場廃止した場合、影響が大きすぎて株主の利益を損なう」とでも理由をつけるのだろうか。だったらなぜライブドアは上場廃止したんだ。最盛期のライブドアの時価総額は6000億はあったはずである。そっちも市場に与える影響は大きく、株主利益も実際に大きく損なわれたじゃないか。たとえそうなることはわかっていても、ルールを破った企業は退場してもらうのが株式市場のルールじゃないのか。なぜこんな不公平な扱いなのか。オレはこんなイカサマは断じて許せないのである。
証券会社はたいていクソである。レーティングを恣意的にいじって株価を操作し、企業からのMSCBを引き受けると空売りして株価を暴落させてから新株で返済して暴利をむさぼる。そうやって個人投資家のゼニを巻き上げるわけだ。ゴールドマンサックス証券のボーナスは日本円にして平均7500万円だそうだ。日本の個人投資家たちから巻き上げたゼニが存分にあるのでそんな大盤振る舞いが可能なのである。三菱UFJ証券は転換価格900円台で手に入れた大量のサンリオ株を売り抜けるために2500円まで株価を吊り上げた。「サンリオがビルゲイツに買収される」という風説を2ちゃんねるやヤフー掲示板で流布したのはいったい誰だ。そんなガセネタに踊らされた個人投資家は結局一番高いところで掴まされる羽目になったのだ。その後サンリオ株は1300円台まで暴落し、個人投資家は高値でつかんだ株を投げさせられたのである。証券会社はこうしていくらでもイカサマを仕掛けてくるのである。そして個人投資家は懲りずにだまされ続けるのである。
オレは日本の株式市場が公正でフェアなものになることは永遠にありえないと思っている。常に企業の情報は証券会社によって恣意的に流され、マスコミもその管理下に置かれている。ライブドアの時はあんなに騒ぎ立てたマスコミが、今回どこも日興コーディアルに関して報道しないのは箝口令が敷かれているに他ならない。証券会社が勝手に作ったルールの中で、大切な資金を巻き上げられるためだけに参加させられてるのが多くの哀れな個人投資家である。しがない個人投資家の一人として、オレは今回の日興コーディアルへの厳正たる処分を望んでいる。上場廃止以外の処分が下されるとすれば、その日は日本の株式市場から正義が失われた輝かしい記念日となることだろう。
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