2006年10月04日(水) |
バイオエタノールに殺される人たち |
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原油高によって最近脚光を浴びるようになったのがバイオエタノール、つまり植物性の原料から作られたエタノールを燃料油に一定の割合で混ぜることでガソリンの消費量を減らすという政策である。ガソリンにエタノールを10%混合した燃料はE10と呼ばれ、現行のエンジンにそのまま使用できるという。バイオエタノールから排出されるCO2はもともと空気中に存在したものであり、地球温暖化への影響が少ないとして注目されているのだ。
だったらもっとたくさん混合したらいいように思えるが、ガソリンへのエタノールの混合比率が10%を超えると、電子制御燃料噴射装置、燃料ポンプ、イグニッションシステム、燃料タンク、触媒式排出ガス浄化装置などの変更が必要となるという。さらに25%をこえるとエンジンそのものの設計変更などの大規模な改造が必要になってくる。逆に言えば、10%混合のE10までは今のクルマでそのまま使えるということなのである。
日本では2003年8月に「揮発油等の品質の確保等に関する法律」に基づきエタノールの混合率は3%以下と定められた。つまりE3については使用過程の自動車も含めて安全性、環境性の両面から技術的な問題のないことが確認され、スタンドさえ整備すればいつでも給油可能なのである。
さて、ここで問題なのはその原料である。アメリカではサトウキビやコーンがバイオエタノール製造の原料として使用されているわけだが、食料や飼料として出荷するよりもバイオエタノールの原料にした方が高く売れる。その結果、本来食料や飼料用だった農作物が、どんどんバイオエタノールの生産のために消費されるようになっていくわけだ。生産する側はより高く買ってくれる方に売りたいわけで、それ自体は責められない。その結果サトウキビが品薄になれば粗糖価格は上昇するだろう。昨今の原油高を思えばこの動きはどんどん加速していくのは間違いない。
E10の生産コストはこれから研究が進めばさらに下がっていくだろうし、その使用が義務づけられるようになれば、消費量に合わせて供給しなければならなくなる。もしもアメリカというガソリン消費大国でその10%がバイオエタノールに置換されるとすれば、いったいどれほどの原材料を必要とするのか。それは本来食料や飼料として消費されたはずのものである。食料として供給されなくなった分の代替品はいったいどこで作ればいいのか。コーンやサトウキビがバイオエタノールに化けた分、原油からコーンやサトウキビが生産できるわけではない。つまりクルマがこの方向に進化することは世界の食糧問題に大きな影響を与えるということなのである。
世界の農業生産量には限りがある。熱帯雨林をすべてぶっつぶして耕地化してもよいわけではない。乾燥地域を緑化して農業を行うためには大量の地下水をくみ上げる必要がある。もうすでに世界の農業生産力はほぼ限界に達しているのである。生産量をここからさらに飛躍的に上昇させることは不可能だ。そうすると、今でも飢えている多くの人たちがさらに困窮する可能性もあるのである。
オレはバイオエタノール添加燃料にすることでクルマの性能が著しく低下するということなら使いたくない。しかし、研究を重ねた結果そうした問題はすでに克服されているはずである。E10の方がいつも入れてるハイオクよりも安かったら迷わず入れるだろう。しかし、その結果世界にはさらに飢えた人が増加することになる。バイオエタノール燃料の普及は確実に多くの人たちから食料を奪い飢えをもたらす。飽食の日本人や西欧人がその食料の10%を削られるくらいならたいした影響はないだろう。しかし、今でも飢えた人たちが世界の紛争地域や貧しい国に存在する。世界の人口が増えすぎて食糧不足になった時、最初に見捨てられてしまうのは誰か。バイオエタノールの普及によって殺される人は確実に存在する。それは何十万人、何百万人というスケールとなってくるはずだ。
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