江草 乗の言いたい放題
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2006年06月29日(木) 日産自動車、ゴーンマジックの終焉        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

  初心者のための株式投資入門を加筆しました。ぜひごらんになってください。


6月26日、自動車大手5社は5月の生産・販売実績を発表した。その中でも日産自動車の不振は深刻で、昨年10月から8ヶ月連続の前年比マイナスとなっている。トヨタ、ホンダ、マツダの3社は国内販売こそ前年割れだが北米などの販売増を背景にして海外生産は5月としては過去最高を記録しているが、日産は国内も海外もマイナスである。特に国内販売は2ケタの減少でかなり大きなダメージだった。昨年9月まで大規模な販売促進活動に取り組んだ反動がある程度やって来るのは仕方ないが、売れ筋と言えば昨年5月に発売したセレナ(ミニバン)くらいしかなく、軽自動車がいくら好調といっても一台当たりの粗利は少なく、小型車・普通車に限ったマイナス幅は20.4%減という無惨な状態なのだ。

 日産自動車のこの苦しい実態が徐々に明らかになる、要するに化けの皮がはがれるにつれて株価も下げだした。連休明けの5月8日には1556円の高値を更新したのにそこから一直線に下落、50日後の6月28日には安値1167円をつけて実に25%も値下がりしているのである。この調子では2008年までに株主配当を倍にすると公約したゴーン社長の思惑を達成するのはかなり困難だ。そんな業績悪化の中、さらに株主たちを激怒させるできごとが起きていたのである。それは法外な役員報酬の支給だった。

 2005年度の事業報告で、取締役11人に支払われた報酬総額が25億2700万(一人当たり平均2億3000万)、これはトヨタ自動車の9億4000万(取締役26人)と比較して6倍以上である。1兆円以上の利益を上げている企業よりも日産の役員報酬は高いのである。どう考えてもこれはもらいすぎだ。日産の株主配当は一株当たり34円、発行株数は約45億だから配当に回す原資は1530億ということになる。一方トヨタは一株当たり100円、発行株数は36億株だから3600億円ということになり、一見すると日産の方が実際の配当性向が高く、株主重視という風に見えるが、日産の最大株主はルノー(44%保有)、つまりこの1530億円のうち673億はルノーに持っていかれるのである。なぜゴーン社長が配当を倍にしたいかわかっただろう。すべては本国フランスの親会社に利益を与えるためなのだ。ちっとも個人株主を大事にしてるわけではないのである。

 この法外な報酬バラ撒きは日本の投資家の反発を招き、ウワサになってからは一気に下げ幅が大きくなった。その企業体質自体が否定されたのである。配当利回りを比較するとトヨタ1.75%に対して日産は2.87%もある。本来なら日産の株価はもっと高くてもおかしくない。それがこの水準にあるのはなぜか、オレはその背景に法外な報酬を分捕る役員やゴーン社長への不信感があるせいだと思っている。アメリカやヨーロッパで経営者や役員が超高額な報酬を得るという話はよく聞く。しかし、日本にはそんな習慣はない。プロ野球選手を超えるような役員報酬は日本の風土になじまない。

 ゴーン社長がどん底から日産自動車を再建した手法は、コストカッターと呼ばれる徹底的な合理化とコスト削減、下請けいじめだった。納入価格の大幅な値引きを要求され、多くの下請け工場が倒産するか利益をほとんどゼロにするかの二者択一を迫られた。この納入価格引き下げに応じた結果、鉄鋼メーカー各社の失った利益は合計1兆円と言われる。つまり日産が立ち直ったのではなく他を犠牲にして楽になっただけなのである。実際のところ日産から「これはすげぇ!」という新車など出なかった。決して良い商品を出して立ち直ったわけではないのである。かつて日産はなぜ人気があるか、売れているかを理解せずに馬鹿げた改悪、いやモデルチェンジを繰り返した。ホンダ・プレリュードからデートカー首位の座を奪った超人気車種であったS13シルビアから、不人気車S14シルビアへのモデルチェンジなどはその顕著な例である。それにあきれて、日産ファンであったこのオレでさえも日産車をやめて三菱車に乗り換えたくらいである。

 6月27日の株主総会でゴーン社長は『ゴーン・マジックが通用しなくなった』という否定的な報道がこれからも出るだろうが、どうか私を信じてほしい」と語ったそうである。その株主総会の翌日も日産自動車の株価は大きく下げた。株主はゴーン社長を信じていないということが明らかになったのである。見せかけの経営再建に過ぎなかったゴーンマジックが終焉した今、日産自動車に明日はあるのだろうか。幸いなことに日産株のホルダーでも日産車のオーナーでもなくなっていたオレは安堵の胸をなでおろすのであった。


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