江草 乗の言いたい放題
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2006年06月12日(月) ホームランを台無しにした男!        ブログランキング投票ボタンです。いつも投票ありがとうございます。m(_ _)m 携帯用URL by Google Fan

 好プレーと珍プレー、どちらも野球好きの人間には記憶に残るものである。阪神ファンのオレとしてはやはり新庄が巨人・槙原の投じた敬遠球を強引に引っ張って三遊間を抜きサヨナラ勝ちした瞬間は忘れられない。新庄が今でも多くの阪神ファンに愛されるのは、その記憶がファンの間で共有されるからであり、その痛快な勝ち方があの憎い巨人から奪ったものであるからだ。

 一方凡プレーの凡プレーたるゆえんは、その情けないプレーが自分にとって情けないだけではなく、他の選手の努力や功績を一瞬にして水の泡にしてしまうところにある。まぎれもなく、その凡プレーは悪魔の所業なのである。もちろん、当人の能力の足りなさから凡プレーをしてしまう場合がある。しかし、それは単なる「ヘタクソ」ということであって、それを凡プレーと呼ぶのはかわいそうだ。プロ野球選手のレベルは千差万別であり、よく調査しないで獲得した外人選手の中にはかなりひどいのもあるらしい。いちおう野球技術の未熟さが原因のプレーはここでは凡プレーと呼ばないことにしたい。

 そんなふうに考えるオレにとって、これまで見た中で史上最悪の凡プレーというのは、巨人にいた謎のダメ外人、レイサムが外野フライを捕球したときにアウトカウントを間違えてチェンジと勘違いし、ボールをスタンドに投げ込んでしまい、その結果走者がタッチアップしてホームインしたあのプレーだ。その時マウンドにいた高橋尚成の情けない表情は忘れられない。レイサムはほとんど試合に出なかったが、その凡プレーによって野球ファンの記憶に焼き付いたのである。

 6月11日のプロ野球交流戦、ロッテ−巨人最終戦(千葉マリンスタジアム)は雨の中、両チームのエースである渡辺俊介と上原が登板した。両チームが1点ずつ取り合った後の3回、2死1塁で巨人のイ・スンヨプはライトスタンドに勝ち越しの2点本塁打を打った・・・はずであった。しかし、次打者が打席に入った時に渡辺俊介は3塁に送球、3塁塁審によってすでに生還したはずの1塁走者小関のアウトが告げられ、2死だったためにそのままチェンジ、つまりイ・スンヨプのホームランは走者である小関が3塁でアウトになったためにシングルヒット扱いとなってしまったのだ。なんという悲劇だろうか。小関はうっかり3塁ベースを踏み忘れていたのである。

 セ・リーグではこれまでに打者走者がベースを踏み忘れたり、前の走者を追い越すなどで9本の本塁打が取り消されている。パリーグでも昨年新庄がホームランを打ってベースを一周する際に走者と抱き合って回転したために「追い越した」と見なされて本塁打を取り消されるという珍プレーがあった。ただ、塁上の走者がベースを踏み忘れて幻の本塁打となるのは今回が初めてだという。打った本人には何の落ち度もなくても、走者の落ち度でホームランは取り消されるのである。

 今巨人は主力選手が次々と欠場してたいへん苦しい状況にある。高橋由伸、小久保、阿部と主力3人を欠き、清原やローズは退団してしまい、そんな巨人軍の4番を守って孤軍奮闘する韓国の英雄、イ・スンヨプにとって、この小関のうっかりミスで自分のホームランが取り消されたことは前代未聞の悲劇である。彼を支えてくれるはずのチームメイトが彼の足をひっぱったも同然なのだ。オレはイ・スンヨプに深く同情するとともに、これが日本と韓国の外交問題に発展しないかと危惧するのである。ベースを踏み忘れたという単純うっかりミスが、「韓国出身の選手に対する露骨ないやがらせだ!」と受け取られやしないかと思うのだ。

 せっかくのホームランが台無しになった例として阪神ファンのオレが思い浮かべるのはやはり新庄のことなんだが、レフトスタンドに飛び込むはずの打球がファンの振っていた巨大な応援旗によってたたき落とされてフェンス前に落ちたということがあった。なんてついてないんだとオレはその悲劇を呪ったが、当時の弱い阪神を象徴するような出来事としてオレは覚えている。

 イ・スンヨプのホームランが取り消された結果、雨中の死闘を制することができずに巨人軍は敗れ、ついに6連敗となった。貧打にあえぐ阪神、パリーグのチームになぜか弱い中日などセリーグの上位3チームのどこも決め手を欠いている今、優勝争いはシーズン終盤までもつれる可能性は高い。僅差で優勝が決まって巨人が優勝を逃した時、改めてこの凡プレーが脚光を浴びるような気がしてならない。ホームランを台無しにした男、小関竜也。かつては新人王に輝き、2002年にはベストナインに選ばれた名選手は、奇しくもこのような形でファンの記憶に永遠に残ることになってしまった。彼が大活躍して汚名返上する機会はあるのだろうか?


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