2006年04月27日(木) |
トルコ建国の英雄を侮辱した人たち |
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トルコ国民でトルコ共和国初代大統領ケマル・アタチュルクを知らない者はない。彼はトルコ建国の英雄である。もしも彼がいなかったら、今のトルコ共和国は存在しなかったに違いないからだ。第一次大戦でオスマン・トルコ帝国が敗北して連合軍とギリシアによってその国土が分割されそうになったとき、有能な軍人だった彼は祖国の独立を守るために戦いを開始したのだ。連合軍が決して一枚岩ではないことを見抜き、トルコ国民軍を結成してオスマン帝国政府と連合軍を敵に回してトルコ独立戦争に勝利したのである。共和国の初代大統領に選ばれてからは法律を整備し、トルコ語をアラビア文字からローマ字表記改める言語の改革、男女平等の思想に基づいた女性の地位の改革、教育の改革、そして政教分離を推し進めてトルコを文明国家にしたのである。
1996年、新潟県柏崎市にオープンしたテーマパーク「柏崎トルコ文化村」の開園時には、トルコ政府からこの「建国の父」ケマル・アタチュルク初代大統領(1881〜1938)の銅像(高さ5メートル)が贈られた。この柏崎トルコ文化村、開園当初はかなりの観光客を集めて賑わったそうである。トルコのお姉さんが腰やオッパイをウニュウニョ揺らせながら踊るベリーダンスが怪しくてとっても人気があったそうだ。トルコから派遣された軍楽隊の演奏があったり、バイキング形式のトルコ料理のレストランがあったりしてなかなか内容も充実していたらしい。
しかし、いつのまにか経営不振に陥り、メインバンクの新潟中央銀行の破たんで2001年に倒産してしまう。約5万2000平方メートルの敷地と建物は2002年に柏崎市が整理回収機構(RCC)から取得した。その後運営を引き継いでいた地元企業も、新潟県中越地震の影響で2005年3月には解散したのである。柏崎市は今年一月に施設をすべて売却することを決定し、このケマル・アタチュルクの銅像も売却対象に入れたのである。トルコ建国の英雄の銅像が売り飛ばされると知ったトルコ大使館は1月31日、ソルマズ・ユナイドゥン大使の名で 「およそ(友好関係が深い)日本人らしからぬ慎重さに欠ける行為」と再考を求める文書を柏崎市に送ったという。
実はこのトルコ文化村が経営危機に陥ってから、トルコ政府は何度も公式に支援を申し出ていて、経営を引き継ぎたいという意志表明もしていたらしい。ところが会田柏崎市長はあれこれ理由を付けてそれらの訴えを聞き入れなかったのである。トルコは日本の大切な友好国である。トルコ国民には親日的な人も多い。和歌山県の串本沖で遭難したトルコ軍艦の乗員を村人が救助した話はトルコの教科書に載っていて、トルコ国民はその恩を忘れていないという。そのトルコの偉大な人物を侮辱するこの「銅像売り飛ばし」に対して、トルコ政府が不快感を抱くのは当然である。こんな恥ずかしいことが平気で出来る柏崎市にはもう地方交付税交付金などやらなくていい。とっとと見捨ててしまえ。日本の至る所にこのようにバブルの不良債権となったテーマパークの廃墟が存在するのである。オレはこのことで日本とトルコの親善関係にひびが入らないかということを心配するのである。
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