2005年11月11日(金) |
10万円のステーキを無理やりおごらせた男 |
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オレは肉が好きだ。ステーキは特に好きである。(ちなみに豚肉をオレは肉とは認めない。豚はブタだ。肉とは牛肉のことである。)ヨーロッパを放浪旅行したときは貧乏旅行者のはずなのにステーキばかり喰っていたくらいである。自分でヒレ肉を買ってきて焼いて喰うのも好きである。
ただ、ファミレスで提供されるクズ肉を型にはめてステーキの形に成形したとしか思えないいわゆる合成肉のステーキは嫌いだ。ここであえて名前は出さないが、そういう肉を提供することが多いファミレスではオレはハンバーグを選んで喰うことにしている。そのハンバーグすらある日突然、それまでの手ごね風のおいしかったものがいきなり冷凍食品のまずいハンバーグに変化してることがあるので警戒が必要だが。500円以下の低価格でまずいものを提供されるよりも、値段は1000円以上でもいいからちゃんとおいしいハンバーグを出してくれる方がオレは嬉しいのである。
さてそのステーキだが、学生時代に自転車で松阪に立ち寄ったときに、やっぱり喰うなら松阪牛だなと思って店にはいるとあまりの値段に卒倒しそうになって店を出て、結局伊勢うどんを喰ったという思い出がある。今なら6000円や1万円と言われても別に驚かないが、大学生の自分には目の玉の飛び出るような価格だったのである。
しかし、世の中にはもっと高いステーキがあったのである。なんと一人前10万円のステーキがあるのだ。ランチをせいぜい1000円程度で済ませるオレのような貧乏人には想像もつかない世界である。そんなのを喰うくらいなら5000円のを20回喰う方を選ぶのである。しかし、それが他人のゼニなら別である。誰かが奢ってくれるのならば、少しでも高い店の方が嬉しい。人間とは実に卑怯なものである。回転寿司の函館市場でふだんは120円や160円の皿をちまちまと選ぶのに、「奢るから好きなモノ喰っていいよ」と言われたら、400円500円の皿を何のためらいもなく選ぶだろう。人間とはそういうものである。オレの回りにはそんなせこいヤツらが無数にいる。だからオレは函館市場に人を連れて行きたくないのである。
約10万円の高級ステーキを無理やり同僚におごらせたとして、栃木県警石橋署は9日、恐喝の疑いで県立国分寺養護学校の職員浜野善行容疑者(34歳)、秋山務容疑者(34歳)を逮捕した。2人は9月30日夜、同僚の男性職員(32歳)を脅して同県大田原市の高級ステーキ店に同伴。「大田原牛」のステーキディナーを3人で食べ、代金計31万6500円を支払わせた疑い。2人は「おごってもらっただけ」と容疑を否認しているという。何が悲しくてこんなオッサンどもに10万のステーキをごちそうしないといけないのだ。もしも相手が絶世の美女で、そのディナーの後に素敵な夜が待ってるとしたら、10万円も惜しくないという男はいくらでもいるだろうが、オッサンに奢って上げるような奇特な男は、少なくともオレの知る限りでは一人も存在しない。
この3人は勤務先の学校の清掃などを担当していて、勤務歴が長い浜野容疑者が、おとなしい性格の男性職員にたびたび暴力を振るっていたという。この男性職員が仕事でミスをしたことにつけこみ、「迷惑を掛けられた」などと言いがかりをつけては飲食代やパチンコ代なども支払わせていたらしい。それが34歳の大人のすることか。中学生や高校生でこういう恐喝事件はこれまでも何度も起きている。金額が数百万という事例もある。しかし、大人の場合は異例だ。30を過ぎたオッサンが、まるで子供のようにつまらない恐喝を繰り返し、ついでに暴力まで振るって相手を支配していたのである。全く情けない連中である。もっとも、そうして恐喝されていた被害者もある意味「ヘタレ」だとオレは思ってしまうのだが。ただ、こうして事件が明るみに出たことで、この二人の恐喝野郎どもは仕事をクビになるだろうし、巻き上げた金額も賠償させられることになるだろう。問題は被害者の方である。好奇の目にさらされて、やはりその職場に居辛くなってしまうような気がする。
いずれにしても実に情けない事件で、そんなつまらないことで自分の名前を全国の人に宣伝することになったたかり野郎のオッサンたちは自業自得だからまだいいが、もしも子どもが居たら「おまえの父ちゃんサイテー」と言われてしまうわけで家族もまた被害者である。しかし、その10万円のステーキ、その値段の価値があるのなら一度喰ってみたいのである。オレはその大田原のステーキ屋の名前が知りたいのだ。株式投資で大金持ちになったらいつか喰いに行くからな。
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