2005年07月23日(土) |
危うし100円ショップ!人民元切り上げ |
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人民元切り上げのニュースが世界を駆けめぐった。切り上げ幅はわずか2%ということで影響は限定的ということだが、今後も様子を見ながら徐々に再度の切り上げが行われるだろうし、いずれ変動相場制に突入していくだろう。
中国がこうして対ドルの固定相場制を捨てて将来の変動相場制を睨みながら方向転換してきた理由はただ単に「ものを安く輸入したい」「原油を安く買いたい」だけのことである。こんなに原油高だというのに馬鹿みたいに高いスポット価格でどんどん中国が買うから、いつのまにか原油価格が高値安定になってしまうのである。そのうちに中国政府も気がついた。「このまま原油価格が上昇するととんでもないことになる。だったら元も上げてしまえば、結果的に同じ値段輸入できていることになる」という戦略に転換してきたわけだ。日本の馬鹿政治家と違ってこのあたりの変わり身はさすがである。
中国にとっての将来の最大の不安定要素とは、エネルギー資源の多くを輸入に頼っていて、今後さらにその需要が拡大することが避けられないことだ。自国でも産出はするが、人口が多いせいで消費量もものすごく多いのである。ところが元を変動相場制にすれば、自国通貨を切り上げることで原油値上がりに対応できるわけである。今のところオレのような予想を書いてる人は誰もいないようだし「影響は限定的」と語ってる経済人も多いが、オレはそいつらを馬鹿だと思う。
まず打撃を受けるのは中国で生産したものを輸入しているユニクロや100円ショップの大創産業などである。中でもオレは100円ショップの打撃が大きいと思う。100円で売られるものの原価率がどの程度なのかオレは知らないが、仮に今まで80円で輸入していたものが切り上げによって82円になるとすれば、20円の利益が18円になって10%の利益が失われるのである。しかも人民元の切り上げはこの2%で終わるのではなく、さらに切り上げが進んでいくことや将来の変動相場制への移行を思えば、中国で生産する品物のコスト計算ができなくなってしまうのだ。これは大変な打撃である。
かつての1ドル=360円に固定されていた頃、日本は世界に輸出を伸ばして高度経済成長の原動力となった。その後は品質の高さが信頼されて高くても売れるようになったのである。さて、中国はこの危機を乗り切っていけるのだろうか。それにしてもこれまで頑として固定相場を崩そうとしなかった中国がここにきて突然の方向転換、これにはきっと何かのウラがあるに違いない。オレはずっとその意味を考えてるのである。ヤツらは日本の政治家よりもはるかにしたたかである。
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