オレの所有するカメラは全部がオリンパスだった。子供の頃、親からもらったオリンパスＰＥＮ、これはハーフサイズといってなんとフィルムを半分ずつにして使う、つまり24枚撮りで48枚撮れる貧乏人御用達のカメラだったのだ。中学生・高校生の頃はずっとこのカメラを使っていて、サイクリングの時にはいつも走った場所の記念写真をそれで撮っていた。関門橋の前で、あるいは松本城の前で自転車と一緒に写った写真が今もアルバムに貼られている。今でもこのカメラは家のどこかにしまってあるはずだ。

　次に買ったのは大学生の時、一眼レフが欲しくてオリンパスＯＭ１０というカメラを買った。大場久美子がＣＭに出ていて、ファンだったから買ってしまったという不純な動機だったが、一眼レフとしてはNIKONやCANONのものよりもはるかに安かったことも理由の一つである。北海道や信州を回るのにも愛用したし、このＯＭ１０はその後東欧北欧放浪旅行の時もズームレンズ付きで持って行ったのである。18歳から28歳までの10年以上の長きにわたってこれはオレの愛機であり、かわいい女の子の写真を撮るためのナンパ用アイテムとして大活躍してきたのだ。今は押し入れのどこかに眠っているのだが。

　ただ、自転車を担いで山にはいるときには一眼レフはでかすぎる。それで小型軽量のカメラも手に入れていた。それもやはりオリンパスＸＡというカメラだった。これは胸ポケットにも入る超軽量カメラである。そういうわけでオレの頭の中には、カメラ＝オリンパスという構図が染みついていたのである。

　デジタルカメラを初めて購入することになったときも、全く迷わずにオレはオリンパスのＣ900−ZOOMというのを買った。これは131万画素だったが、そのわりにはかなり美しく撮れて今でもアルバムの中にはお気に入りの写真が多い。しかし、もっと高性能でズームも倍率の大きいのを・・・ということでＣ700−ULTRA ZOOMというのを買った。しかし、撮れた写真は前と比べてさほど美しくはなかった。なぜ画素数が増えてるのに写真がさほど美しくないのか、それは撮影技術の問題なのか、あるいはカメラ自体がよくないのか、その後写真をあまり撮らなくなったオレには検証できない。

　それでも長いことオレはカメラならオリンパスだとずっと思い続けてきたのだが、どうもデジカメの世界では分が悪かったようである。実際はCANONやSONYに完全に負けていたのである。最近は浜崎あゆみのせいで松下にも抜かれる始末だった。

　５月10日、オリンパスは主力の映像事業に携わる国内外の約１万4000人のうち、約4000人を今年９月末までに削減すると発表した。デジカメの不振で当期赤字に転落したため、生産体制を大幅に見直し、収益構造を改善するためだという。長期雇用を経営理念としてきた同社としては、戦後の混乱期をのぞいて初の本格的な人員合理化となるという。 オレが心配するのは地元長野県の雇用環境の悪化である。日本の高度成長を支えた老舗の企業がこうして没落してしまう姿を見ると、なんともせつない気持ちになってしまうのだ。

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