2005年04月05日(火) |
おっさんフリーターに未来はあるか? |
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フリーターと言えば若者、せいぜい30歳までというイメージをオレは持っていた。ところがUFJ総合研究所が4月4日に発表した推計では、35歳以上でフリーターをしている中高年フリーターが、2001年の46万人から、2011年には132万人に増え、2021年には200万人を超える見通しだと発表した。どうしてこういうことになったのだろうか。これは「手に職をつける」という大切なことがないがしろにされた結果だと思うのである。フリーターの増加は同時に、あらゆる職業の中でプロが減ったことと同じだと思うからだ。
職人の世界は後継者がなく、工場で働く熟練工はリストラされる一方だ。タクシードライバーは道を知らない。一つの職業を長くじっくりやるということがどんどん減っているのである。その結果、何の能力もないオッサンオバハンが増加してしまうのだ。フリーターの多くは「この仕事は一時的なもの、自分の天職じゃない」「いずれ定職を持ちたい」と考えているが、年齢が高くなるほど正社員になるのが難しくなるため、加速度的に今後フリーター人口は増加していくことになる。
さて、そうしてフリーターが増えるとどんな弊害があるのか。正社員に比べて所得が少ないために国に入る税収が減る。社会保険料も減る。年金を払わないフリーターも多いので年金の掛け金も減る。生活が安定するまで結婚しないと考えれば晩婚になり、少子化の原因となる。このようにフリーターの増加は社会構造に大きく関わる問題なのだ。しかし、この流れは変えられない。それは「ひとつのことをじっくりと」という生き方がもう今は評価されなくなったからである。飽きたらすぐにリセットしたくなるのだ。まるでゲームである。
「我慢するよりも好きなことをする」ということが当たり前になり、楽しくない仕事はすぐに辞めてしまう。結婚しても、この相手とは合わないと思ったらすぐに離婚する。(もっとも我慢して人生を無駄遣いするよりはその方がずっといいが)というふうに社会がどんどん無秩序で不安定なものに変化してきてるのである。 はっきり言って今は乱世なのだ。徒手空拳でIT長者がのし上がり、西武の堤一族のような財閥が没落するそんなダイナミックな変貌の時代、誰も20代前半で人生のレールをきっちりと敷いてしまおうとは思わなくなったのである。残りの人生が長すぎるからだ。その結果、40近くまで「自分は何ものだろうか」と悩めるようになったのである。いや、実にうらやましい限りだ。(実はオレもかなり悩んでいるが。)
UFJ総研はこの状況に対して悲観的なコメントだが、おっさんフリーターでもいいじゃないか。寿命が延びた分、若い時代が延長されたと思えばいい。この際定年も伸ばして、80歳90歳でも元気ならどんどん働けるようにしたらいいじゃないか。40近いオッサンがコンビニで働きながら「ゼニを貯めて法科大学院に入りたいと思っています」なんて生き方を周囲が応援してやれる、そんな未来になって欲しいぜ。
ただ、オレはこのことも言いたい。死ぬまでフリータというのは辞めてくれよと。さすがに老人フリーターはどうかと思うからである。
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