2005年04月01日(金) |
パソコン通信、ニフティサーブの終焉 |
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オレがパソコンを仕事に使うようになった頃といえばもう20年近く前のことだ。その頃、通信速度1200bpsなどという今から考えれば信じられないようなスペックのモデムで、パソコン通信というマニアックな遊びができた。モデムの代わりに音響カプラーなどという受話器に装着する道具さえあったのだ。そして、パソコンを買えば無料で一ヶ月パソコン通信が楽しめる入会キットたいていがついていた。
オレはニフティサーブに入会し、その広大な通信世界の中で自分の居場所を探し求めた。いろんなフォーラムを渡り歩き、最後にたどり着いたのがBBSの#8(スピリットのコーナー)と呼ばれるフリーボードだった。そこでは多くの論客達や罵倒家たちがしのぎを削っていた。まさに大人の乱闘場だったのである。オレも当然のことながらそこに参加して暴れまくった。
思い出すのはそこで起きた喧嘩オフ事件だ。オレの掲示した文章に対して罵倒してきた相手との論争はすぐに口汚い罵りあいとなり、決着をつけるためにオレはその罵倒相手と逢うためにクルマを飛ばしてはるばる松本まで出かけたのだから。一緒にメシを喰い、デジカメで証拠写真を撮り、友好的(?)に別れたことを思い出す。ネットの上では乱暴な言葉が飛び交っても、実際に会えば殴り合うどころか楽しくメシを喰い酒を酌み交わしたものだ。
通信費が1分10円かかり、しかもオンラインの状態、接続したままでメールを書いたりするものだから一ヶ月の課金が3万も4万も掛かったりした。NTTが真夜中にテレホーダイという通話料定額のサービスを行っていたこともあり、パソコン通信をする人たちはみんな夜更かしだった。
それからどれほどの月日が過ぎただろう。2ちゃんねるという巨大匿名掲示板の出現により、本名でしか書けないスピリットのコーナーは参加者が徐々に減っていった。512本しか書き込めない掲示板のせいで最盛期は一日で自分の書き込みが押し流されるほどだったのに、参加者が激減した今は一ヶ月前の書き込みも残っているようになった。パソコン通信が今のオレの原点であったことは疑いもない。
その思い出の場所であるニフティのBBS#8は、2005年3月31日をもって閉鎖された。パソコン通信サービス自体もあと一年で消滅する。これでひとつの時代が終わったことは確かだ。もうあの世界には二度と戻れない。オレは文章を人に向かって発信する楽しさをそこで教えてもらった。人とネットの上で議論する快楽をそこで覚えた。かつてお世話になった多くの人々にお礼を述べたい。おーいみんな、本当はここに来ているんだろう。せっかく来たんだから掲示板にヒトコト書いてくれよ。オレの日記を読んでくれてるってことはわかってるんだぜ。
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