2005年01月04日(火) |
賢いゾウに命を救われた人たち |
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ゾウが賢い動物であることは多くの人に知られている。太平洋戦争末期の上野動物園で、空襲で園が破壊された時に備えて多くの猛獣たちが毒殺された。これは「かわいそうなぞう」では軍の命令だったと書かれているが、東京都長官であった大達茂雄の指示であったらしい。彼は「勝ち戦」を信じて疑わない国民に警告を発するために、あえて「猛獣処分」を行ったそうである。上野動物園にいたジョン、トンキー、ワンリーの3頭のゾウは、毒入りのエサを食べようとしなかったために餓死させられた。やせ細ったゾウが必死で芸をしてエサをもらおうとするくだりは涙を誘う。そして、この話からもわかるようにゾウはかなり賢い動物である。
タイ南部のリゾート地、カオラックではスマトラ沖地震の津波の高さが最大10.5mもあった。地震の発生した12月26日午前8時、カオラックの海岸ではゾウたちがこれまでにゾウ使いの人も聞いたことがないような奇声を発したという。1時間余り後、ゾウは再び興奮して背中に観光客を乗せたまま近くの丘や高台に向かって突進した。ゾウをなだめようとしてゾウ使いの人が追いかける時にふと振り返ると、海岸を津波が襲っていたという。お客を乗せていないので鎖につながれていたゾウは、すごい力でその鎖を引きちぎって逃げた。逃げまどう観光客の中にはゾウの鼻で拾い上げられ、背中に乗せられて難を逃れた人もいた。カオラックの浜辺には当時3800人の観光客らがいたが、ほとんどが波にのまれてしまったという。
近くの北ラノーン県沿岸でも、津波の直前に草を食べていた100頭余りの水牛が一斉に海の方を見てから高台に向かって走り始めた。あわてて水牛を追いかけた村人たちは、「おかげでかすり傷ひとつなかった」と話しているということだ。
オレは12月30日の日記の中で、スリランカで野生動物の被害が確認されなかったことを書いた。しかし、少なくともこのゾウたちは厳密には「野生」とは言えない。人間に飼われていて、観光客を乗せるという芸を仕込まれていた以上、本能の多くは失なわれているはずだ。それでもこうして地震の危険を察知する能力を持っているのである。これは大変重要なことだ。
今すぐ気象庁は「地震予知」のために全国の主要都市にゾウ飼育のための施設を建設し、すでに動物園がある都市には飼育補助金をその動物園に支出すべきである。ゾウの檻に24時間監視可能なカメラを設ければ、わずかな変化も見逃さずに済むはずだ。ただ飼ってるだけなのが問題ならば、重量物の運搬などの仕事をさせればどうだ。荷車を引かせて、ゾウのパン屋とかゾウのクリーニング屋をやらせればいい。エサ代くらいは自弁できそうじゃないか。少なくとも東海地震、東南海地震の危険地域には今すぐゾウを配置すべきである。他に地震予知の方法なんかないわけだから、できる限りの対策はたてるべきだろう。震源域が予想される静岡県の浜岡原発では、敷地内でゾウを飼った方がいいんじゃないのか。
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