2004年10月29日(金) |
神よ、その愚か者を見捨ててもよいか? |
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ヨルダンを旅していた風来坊の青年が、わずか100ドルのゼニを手にして「物見遊山」気分でイラクへ、それも半ズボンという軽装でやってきた。これはまるで夜の新宿歌舞伎町を若い女性が全裸で歩くような無謀な行為である。その結果として、外国人誘拐を自分たちのビジネスにしている武装グループはその獲物、香田証生さんを拘束した。ただの風来坊が、日本人であるというだけで大きな価値を持つのである。
彼を拘束した武装グループは自衛隊の撤退を求めて48時間以内という期限を通告してきた。何も考えてない小泉首相は「撤兵しない」という最もブッシュ大統領が喜ぶ答えをいきなり語ってしまった。人殺しには何百億ドルも支出するのに、新潟県中越地震の救援(いわゆる人道支援)にはたった5万ドルしか出さないオッサンを擁護する必要などないと思うのだが。
政府は香田証生さんの解放に向け10月27日、米国やイラク暫定政府など関係国に支援を要請した。ザルカウィ氏が率いるグループの犯行とみられているが、同グループとは同日夜まで接触できておらず、犯行声明以外の情報は今のところ得られていないという。
今、イラク入りするのなら少なくとも生命の危険があることを覚悟しながら入るべきだ。一般市民が毎日のように無差別テロの犠牲になっている場所なのである。そこに行く以上、必要なのは「勇気」ではなくて「覚悟」である。なぜテレビを通じて流れた彼のことばが「助けてください」だったのか。もしも彼が「これはぼくの勝手な行動のもたらした結果です。日本政府やマスコミが大騒ぎすることがこの連中の利益になるのです。ぼくのことなど無視してくださってけっこうです。」と堂々と語ったならば、オレは思うだろう。「その勇気ある若者を救え!」と。世界の報道機関は新聞に争って「 SAMURAI 」の文字を記すだろう。
日本政府は在ヨルダン大使館内に現地対策本部を設置し、指揮をとるために谷川秀善外務副大臣をヨルダンに派遣した。 副大臣を派遣するということは、その随行員として大勢の外務省の職員も出張することになる。そのために何億の国費が浪費されるのか。そのゼニにはオレが払った税金も含まれるのである。なんという税金の無駄遣いなんだ。こんな事件、報道しなくてもいい。「日本では誰も全く無関心です」ということになれば、武装グループどももばかばかしくなって人質を解放するに決まってる。オレが保証するぜ!
オレがこの日記を書いた2日後、香田さんは首を切断され星条旗にくるまれた遺体となって発見された。彼はなぜ自分が死ななければならなかったのか、なぜ自分を包むものが星条旗なのか、わからないまま殺されてしまった。その無鉄砲さを責めるのはたやすい。しかし、息子を失ったご両親の無念さを思うと、オレはこんな楽観的なテキストを書いていたことを深くお詫びしたい気持ちである。今は香田さんのご冥福と、一日も早くイラクに平和が訪れることを祈っていたい。
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