2004年08月28日(土) |
いったい誰がこの責任を取るんだ? |
携帯用URL
| |
|
「大規模な環境破壊を行い、巨額の税金をドブに捨てる」
これがオレの定義する馬鹿公共事業である。長良川の水質を悪化させて鮎の遡上を妨害し、ヤマトシジミを絶滅させるという目的のために結果的に5000億円も掛けたという長良川河口堰と並んで馬鹿公共事業の双璧をなす諫早湾干拓事業に対して、佐賀地裁(榎下義康裁判長)は8月26日、「工事差し止め」という画期的(ある意味、国にケンカを売ったような無謀な)決定を下し、堤防工事は即日停止された。裁判所が国策に対して「NO」と答えたのである。(おそらくこの裁判長は出世の道を永久に閉ざされるだろう。)
ただ、この諫早湾干拓は事業費ベースで93.6%完成してしまっている。だからもはや遅すぎた決定なのである。死刑が執行されてから「無罪だから取り消す」と言ってるのと同じである。完全に破壊された干潟はもとにはもどらない。干からびたムツゴロウの死骸に海水を掛けても生き返るわけがないのだ。
干潟に水質浄化機能があることなど常識だ。有明海の水質が悪化したのは諫早湾干拓の当然の帰結である。漁民達が提出した申立書によれば、1990年の潮受け堤防の本格工事、1997年の排水門閉め切りによって、有明海沿岸4県の年間漁獲量は着工前(8万8000トン)の30%以下である2万5000トンに落ち込んだという。2000年度には壊滅的なノリ不作にも見舞われた。きれいな海がある限り将来ずっと手に入る貴重な水産資源を失った被害額など計算不可能だ。食べていけなくなった漁民は建設工事の作業員となって今度はさらに破壊に協力し、漁民仲間を裏切らないといけない。こんな理不尽な行為が国策として行われ、地元議員や知事が利権の片棒を担いできたのである。
漁民の訴えに対して国側は、漁業生産量の減少傾向は事業開始前の1980年代前半から始まっていたと主張し、事業との因果関係を否定した。潮流の変化や赤潮発生も「異常気象によって発生した」と反論していた。これは拳銃で人を撃ち殺した野郎が、「死んだ男はもともと末期ガンだった」と言ってるのと同じである。末期ガンならなおさら延命のためにできる限りのことをすべきだろう。とどめを刺してどうするんだ馬鹿。
大規模土木工事を受注したゼネコンからは巨額の献金が自民党に還流し、最終的に政治家のフトコロに納まるようになっている。公共事業で地元の景気が良くなると信じ込んでる田舎議員の馬鹿さ加減が悲劇に拍車を掛ける。一人の納税者としてオレはそんな馬鹿げたことを許したくないんだ。オレの納めたゼニを破壊の原資になどさせたくないんだ。いったい誰が責任を取るんだ。誰が海を元に戻せるんだ。あまりに情けなくて涙が出そうだぜ。
前の日記 後の日記