2004年07月13日(火) |
天然温泉だなんて、うそだよーん |
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北アルプスの懐に抱かれ、乳白色の湯で人気が高い長野県安曇村の白骨(しらほね)温泉の公共野天風呂では、湯に市販の入浴剤を入れて着色をしていたことが7月12日にわかった。この着色は約8年前から続けていたという。
野天風呂を運営する白骨温泉旅館組合によると、1996年ごろ、湯量の減少に伴い源泉を移動した際に、湯の色が灰色に変色した。管理人がたまたま草津温泉の成分の入った入浴剤を入れたところ、以前と同じような白い湯の色になったため、毎朝約0・8リットルを混入するようになったという。白骨温泉は実は草津の湯だったのである。組合の歴代役員たちも、こうした事実を知りながら観光客の減少を恐れて黙認してきたという。
外部からの指摘を受け、同組合では7月8日から入浴剤の使用をやめた。組合長は「乳白色の湯というイメージが浸透しており、(ごまかしているという罪悪感よりは)湯が元の色に戻ったという喜びが勝ってしまった。お客様を欺いてしまったことをおわび申し上げたい」と話している。
白骨温泉には年間約40万人の観光客が訪れ、1994年にオープンした野天風呂は、温泉内では唯一の公営露天風呂で、年間約7万人の日帰り温泉客が訪れていた。また、同組合が13軒ある温泉旅館を調査してみたところ、2軒が同様に入浴剤を使って着色していた。残りの11軒の湯は十分白濁していたという。
さて、オレはこの一件に関してはかなり同情してしまうのである。ガンガンお湯を使えば源泉が枯渇することも当然あるだろう。源泉を移動させたらわき出すお湯の色が変わってしまったわけで、大切な観光資源が台無しになって組合側もあわてたはずである。草津温泉の入浴剤を使って同じ色が出せるようになるまでには、おそらく数多くの試行錯誤があっただろう。白骨温泉の乳白色の湯というイメージを守りきったその涙ぐましい努力にオレは拍手を贈りたいのである。ただ、ウソはいけない。
客はその温泉を「白骨温泉の湯」と信じて入りに来ているのである。正直に事情を話して、新たにわき出したその「ねずみ色の湯」に入ってもらえば済むことである。もちろん乳白色のお湯が好きな人もいるからちゃんと「草津温泉入浴剤の湯」も用意すればいいのだ。あの道後温泉でさえも塩素をぶち込んでお湯を殺菌する時代である。もう何でもありなのだ。大都市の真ん中でもボーリングすればお湯は出る。温泉なんてもうちっともありがたくないのである。
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