2004年04月30日(金) |
羽田空港に突入したテロリスト |
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4月28日午後7時10分ごろ、住所職業不詳の寺内利明(32歳)は川崎市内で盗んだクルマで羽田空港にやってきた。彼は空港の東旅客ターミナルビル近くで道路に飛び出して女性(48歳)の運転する乗用車を止め車を強奪した。そのクルマで国際線ターミナル近くにある工事車両用の鋼板製仮設ゲートを突き破って制限区域内に侵入し、送迎用のリムジンバス、安全パトロール車を次々に奪い、そこら中を暴走しまくって約2キロ逃げ、滑走路東端に停車した。
管制塔ではまさかそんな大事件が起きていると当初は把握できず、暴走中になんと5機が着陸していたという。もしも奪ったリムジンバスで着陸中の旅客機に激突していたら大惨事になっていただろう。寺内利明は午後8時ごろ、フェンスを乗り越えて東京湾に飛び込んで逃走を図ったが、まもなく水死した。
連休を控えて警視庁は約100人が空港内外で不審者などを警戒していたという。空港周辺のフェンスには赤外線センサーや監視カメラを設置していたのだが、侵入地点にはセンサーがなくていとも簡単に侵入を許してしまったのである。たった一人の無計画なテロリストによってこれだけの被害が発生したのだ。もしも武装グループが空港を征圧しようとして襲ってきた場合は防ぐことは全く不可能だっただろう。その場合にどれほど被害が拡大するか想像もつかない。
この暴走事件のために国土交通省は午後7時40分ごろから3本の滑走路を最大で約1時間40分閉鎖した。34便が目的地変更、5便が欠航し、少なくとも85便が遅れ、2万9000人の足に影響が出た。ハイジャックした飛行機でビルに突入するという方法で行われた同時多発テロのことを思えば、空港はこれからもテロの標的として狙われ続けるだろう。だからなおのこと警備には完璧を期して欲しかったのである。羽田のこの事件は、日本の空港警備態勢の脆弱さを世界に暴露したようなものであり、もしも利用者が「テロに対する安全」ということを第一に考えるなら、一台の暴走自動車で簡単に突破される程度の警備しかできてなかった羽田空港は真っ先に失格となる。アジアのハブ空港を目指す関西空港はこの事件をなにより教訓にすべきだろう。
オレは滅多に飛行機には乗らないし、東京に出張する際はいつものぞみに乗るんだが、考えたらテロの可能性なんてどこにでも転がっている。高架橋から新幹線の線路にクルマでダイブしようとするヤツだって出ないとも限らない。市民生活の平穏なんて、綱渡りのような微妙なバランスの上に存在しているものなのかも知れない。
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