2004年04月21日(水) |
アルバイトからマクドCEOに! |
携帯用URL
| |
|
米マクドナルドは4月19日、心臓発作で急死した会長兼最高経営責任者(CEO)のジム・カンタルポ氏の後任の新CEOに、社長兼最高責任者(COO)のチャーリー・ベル氏(43歳)を昇格させる人事を発表した。ベル氏はオーストラリア出身で、同社のCEOに米国人以外が就くのは初めて。会長職にはマッケナ氏(74歳)が就き、若い新CEOを補佐することになる。
驚くべきことはこのベル氏は15歳でシドニーのマクドナルドアルバイト店員になったことからスタートしたことである。19歳で最年少の店長、27歳で現地法人の役員とトントン拍子に出世し、その手腕を米本社から認められてアジアや欧州の事業責任者を務めたという。特にBSE(牛海綿状脳症)問題で売り上げが落ち込んだ欧州事業を立て直した功績は高い評価を受けた。2003年1月にはついに社長兼COOに就任、次期トップの有力候補とされていた。前CEOの急死という突然の出来事で異例の若いCEOが誕生したのである。
オレはこのニュースを知って、まだアメリカンドリームは健在だったという感を強くした。だが、学歴もなく家柄にも恵まれない若者が、自らの努力と才覚でのし上がり、ついには頂点に立つといったことが果たして今の日本で可能だろうか。
官僚の世界でキャリアとノンキャリアの間に厳然たる差があるように、大企業でも入社する時に大きな壁がある。大卒でなければ採用してくれない企業も多いのだ。秀吉が草履取りから天下を取ったように、お茶くみ(今はこの語は差別用語らしい)やバイトから社長になれるなんてことはまず起こり得ない。それどころか今後は契約社員やアルバイトの比率が上昇し、最初から出世を期待できない雇用形態が増加するのである。ますます出世の道は狭くなってしまうのだ。
かつて日本にもジャパニーズドリームがあった。貧しい家に生まれた子供でも能力があれば奨学金を受けて公立高校から東大や京大に合格し、官僚を目指すことができたのである。今は貧しい家に生まれれば塾に通えないために受験勉強で大きなハンデを背負い、結局のところ偏差値の高い学校の生徒はほとんど裕福な家庭の子女が占めてしまっている。子どもはせいぜい親の暮らしのレベルにしか到達できないのだ。親が貧しかったらその貧しさが子どもに受け継がれて再生産されていくだけである。親がド外道ならその子も高い確率でド外道になる。腐った人間の論理しか幼い頃に学べないのは人生で最も不幸なことである。
前の日記 後の日記